破滅
俺は佐々木の家にやっかいになり、数日がたった。
佐々木の家は埼玉の山奥にあり、静かな場所だった。聞いたことのない鳥の鳴き声が静寂の中際立ち、時間が止まってるようだった。
俺は全くといっていいほど世間の情報をシャットアウトし、ただ目にはいるもの耳に聞こえてくるものだけを純粋にうけとめていた。それは鳥の鳴き声であり、青々と繁った多数の木々。木々達は光合成をしながら新鮮な空気をはきだし、俺の頭を軽くしてくれる。
ここにきて数日間変わったことと言えば東西南北の空が日を変えて夕焼けのように真っ赤になり、多くヘリコプターが横切ったことだ。
『日本中で何か起こっている。』
俺は直観した。
佐々木がきたのはそれから二日後だった。
「村川さん大変だ。日本中で爆弾が次々と爆発してる。予告なしの爆発で警察も自衛隊も対応できないでいる。おかしいのは、首謀者はサクラの奴らと私は確信しているのですが、工藤アキラ、牧草ともみ、その他の幹部の名前があがっていないことなんです。落ち着いて聞いてください。実行犯は村川ヒロシ。あなたになっています。警察もあなたを全国的に指名手配し、マスコミもあなたの全てをあらゆる媒体に公表しています。多分ですが牧草総理の仕業ではないでしょうか。」
俺はサクラと関係をもち、ともみと結婚し、闇の中をのぞきこんだときから、こうなることは予想していた。たどり着くとこは俺の死。
「そうですか。」
俺は佐々木にいった。
佐々木は更に話を続けた。
「とにかく今はここにいてください。もう国内爆発が多すぎて、政府も緊急体勢で躍起になっています。このペースで爆発が進むとあと一週間で日本は壊滅です。そうならないように、我々警察や自衛隊が動いているのですが、なかなかうまくいかず、爆発が拡大する一方でして。それともうひとつ残念なお知らせが。」
佐々木は話しを止めた。佐々木は下から見上げるように俺をみた。そして口を開けた。
「豊島が自殺しました。」