謎の鍵5
俺は佐々木に鍵を手渡した。佐々木はいたって変わったところはない一般的な鍵をじっとみていた。
「ちょっとこの鍵、私に預からせてください。」
俺は首を縦にふった。
「でも気をつけてください。組織の人間がその鍵を探しています。もしあなたの手にあると知ったら命の保証はないとおもいます。」
「大丈夫です。サクラの人間は私とあなたとの関係はしられていませんし、私は曲がりなりにも警察の人間です。身を守るすべを学んでいます。それよりも、牧草ともみに違う鍵を渡したことを組織が知ったら、また血眼になってあなたを探すことでしょう。しかもその鍵は豊島さんの部屋の鍵としったら、あなたが身を隠す場所がない。そこでどうでしょう、私の家に当面お隠れになっては。多分豊島とあなたとの関係もわかってしまうのも時間の問題と思うので豊島とあなたが私の家にいることを進めます。豊島には事情を話しておきますので。それに三人常に一緒にいればサクラの動きや今後の計画も話せますので。」
俺は佐々木の言い分に納得した。
「わかりました。その方がよさそうですね。」
「それでは私の家にむかいましょう。」
俺は佐々木の車に乗り込んだ。
「佐々木さん。僕はこれからどうすればいいのでしょう?ついこの前までともみと一緒に暮らしていたのに、今はそのみゆきに命を狙われている。おかしな話ですよね。」
俺はすべてがどうでもよくなっていた。
「そうですね。村川さんはここ数日で生活が激変しましたから、自暴自棄になるのはしょうがないです。でもサクラをこのままほっておくと私の息子のように死ぬ人が増えます。それを阻止する為にあなたの力が必要なんです。」
俺は佐々木の話をききながら、車の窓から流れる景色をみていた。
俺は握りしめていた携帯の電源のスイッチをいれた。
携帯が稼働の合図とばかりに小刻み震える。
と同時に着信音が鳴り響く。
ともみだった。
「もしもし」
俺は恐る恐る電話にでた。
「やっとでてくれたのね。ヒロシ。お父さんが死んだ今、すべて破壊することに決めたの。日本中に爆弾しかけたわ。焼け野はらになるの楽しみ。それとお別れの挨拶してなかったわね。私のあげた靴はいてくれてる。高かったんだから大切にはいてよ。なんたって爆弾いりなんだから。」
俺は靴を脱ぎ捨て、運転してる佐々木に叫んだ。
「止めてくれー。」
車はタイヤの焼けるにおいとともに急ブレーキでとまった。
俺は後続車をきにしながら、靴を千葉の海岸めがけておもいっきり投げた。
投げた靴は巨大な人魂 のように空中で赤く燃え上がり海に消えた。
ヒロシの携帯ごしにともみは笑っていた。
「あははははは。お別れの挨拶届いたみたいね。」
俺と佐々木は唖然とし、
火薬のにおいが蔓延とした海辺をみていた。