謎の鍵3
「村川さん。工藤が死んでからのサクラは活発な活動をしていないみたいです。私の勘なのですが、幹部の中山は組織の金庫番をしていたようなので、その中山と工藤が死んでから、組織の運営資金のありかが不明になってしまったのではないでしょうか。そしてその鍵がサクラの運営資金と関係があるのかと思うんです。」
佐々木は言った。
俺は佐々木の推測に納得した。
佐々木は思い立ったように話を続けた。
「工藤アキラのハッキリした居場所がわからないのですが、おととい成田空港から死んだ中山の名前でロサンゼルスに飛んだ人物がいるみたいです。それが工藤アキラのような気がします。もしその資金を調達した後、アメリカでなんらかな計画を実行するのではないでしょうか。」
佐々木は手帳を閉じ、立ち上がった。
「さて、そろそろ夜も更けてきました。頃合いですね。行きますか。」
そして俺は答えた。
「はい。行きましょう。」
俺と佐々木は豊島のアパートから数キロ先の実家に徒歩でむかった。
佐々木は歩きながらどこかに電話をしていた。
数分後電話を切ったと同時に俺に話した。
「村川さん安心してください。今私の部下にあなたの実家の半径三キロ圏内に怪しい人物がいたら、すべて事情聴取してくれと言っておきました。」
俺の危機を死んだ中村が助けてくれている感じがした。
「佐々木さん。ありがとうございます。なんとお詫びしていいのか。あそこが僕の実家です。」
住宅街の一画を指さし、佐々木に示した。
横を歩く佐々木の横顔は中村そっくりだった。




