謎の鍵2
昨日から降り続く雨は、ともみへの俺の割りきれない気持ちを洗い流し、リセットしてくれるような心持ちにしてくれた。
俺は考えていた。
ともみ、アキラ、そしてともみの母の牧草の目的は何だろう。再三行われたテロ活動の目的は。以前、工藤が第三次世界対戦の火種のようなことを言っていたが本当にそうなのだろうか。リーダーの工藤が死んだ後、本当にその思いが受け継がれているのだろうか?それに、ともみがみゆきを殺したのは母親の牧草は納得しているのだろうか? 考えれば考えるほど俺の思考は出口のないトンネルの奥に一人歩きしていく。
時計が12時を指したと同時に部屋中にチャイムがな鳴り響いた。
『誰かきた。』
俺はソファから飛び起き、恐る恐る玄関に近づき、扉から外をのぞきこんだ。
そこには先日会った佐々木がたっていた。
俺は扉ごしに、
「なにかごようですか?」
「村川さんですよね。豊島のほうから頼まれて伺いました。事情は豊島から聞きました。私は味方です。」
佐々木は答えた。
俺は豊島という名前がでたことに安心し、ドアをゆっくり開けた。
「よかった。無事で。豊島とは、古くからの友人でして、まさか村川さんと豊島がお知り合いとは知りませんでした。あなたにとっては私との出会いは不幸だったかもしれませんが、私はあなたに真実を話す義務があると思いまして。」
俺は佐々木を部屋に招き入れた。
佐々木は椅子に座らず、壁によりかかりポケットから手帳をだした。
「私はね。以前離婚してまして。別れた嫁との間に息子がいたんです。それがあなたの友達の中村なんです。」
俺は口を半開きにしたまま固まった。
「そうだったんですか。中村君とは生前仲良くさせていただきました。」
佐々木は椅子にどっかりと座り、手帳に目を落としていた視線をあげ、俺の目にあわせて言った。
「だからね。私はサクラが憎いんです。」
佐々木は今にも俺を殴りかかるような怒りにみちた目で俺をみつめていた。
「実は青森の事件の時、中山の死体に握られた鍵を僕は持ってます。その鍵は何を意味するのか僕には分かりません。分かっていることは、その鍵を組織の人間が血眼になって探していることです。その鍵をあなたに預けたい。それがサクラ壊滅の糸口になれば。でもその鍵はここにはないです。」
「それはどこに?」
「僕の実家にあります。ここからすぐ近くです。でも実家には組織の人間がはっている可能性があります。一緒にいってもらえると心強いのですが。」
「いいでしょう。是非とも御一緒いたしましょう。」
そして俺達は夜になるのを待った。