謎の鍵
「村川君久しぶり。」
奮えた俺に安心させる言葉を豊島はかけた。
「助けていただいてありがとうございます。また牧草さんから頼まれたのですか?」
「いや。最近総理によからぬ噂がもちあがってきてね。その真相をつきとめるために、娘のともみをマークしてたら、君の危ないところにでくわしてね。それでだよ。」
豊島はいった。
俺は豊島に一部始終をはなした。
「やはり、ともみと工藤みゆきは同一人物か。そうとなるとサクラの黒幕は牧草総理の可能性があるな。やはり噂は本当かもしれないな。村川君。とりあえず、安全なところに案内するよ。そこで数日隠れることにしよう。」
「そうですね。なにからなにまで、ありがとうございます。」
俺は豊島に礼をいいながらも、頭の中では違うことを考えていた。
俺はともみと一緒に暮らした数年間が、たった一日で崩れ去り、偽りの数年間に変わったことを考えていた。
車は雨の中、ひた走る。
携帯は止まることなく鳴り続ける。全てともみからだ。俺は電源を切った。
車はとまり俺は豊島にアパートの1室に案内された。
「ここ、私の仕事部屋として借りてるアパートだから遠慮なく使って。ここからなら君の実家からも近いし、でも実家に帰ることはお勧めしないよ。多分組織の人間が君の実家ではってるから。
必要なものは、揃ってると思うからしばらくここに大人しくしていたほうがいいよ。」
「御迷惑かけて申し訳ございません。」
「いいよ。いいよ。気にしないで。それじゃ。一週間後またくるよ。」
豊島は帰っていった。
俺はソファに横になりながら考えていた。
『そう言えば、ともみも警視庁の佐々木も鍵のことを気にしていた。あの鍵はいったいどこの鍵なのだろうか?多分あの鍵を使う場所をまだともみ達もわかっていないはずだ。もしわかっているなら鍵屋をよんで開けてもらうか、スペアキーを作ってもらうはずだ。ともみに鍵を渡したところで俺は間違いなく殺される。それなら組織の人間より先に鍵を使う場所をつきとめよう。それしかない。あの鍵は・・・。そうだ。あの鍵はみゆきの部屋を出るときに餞別でもらった1000ピースのジグソーパズルの箱の中だ。パズルにまぎれ入ってるはずだ。パズルの場所は実家だ。』
実家には人目のつかない夜帰ろうと決めた。
俺は頭の中を整理した。
ともみがサクラの人間なら、母親の牧草もサクラの人間の可能性が高い。親父の携帯の中にはいっていた、汚れた国という名所ではいっている名前は全て組織サクラの人間ということになる。
汚れた国
みゆき
中村
あきら
ともみ
工藤
M
この中で生き残ってるのは、あきら、ともみ、Mこと牧草だけで、あきらとともみに命令している人物は牧草しかおらず、それが一番高い可能性だった。
俺は明日の夜、実家に行くのを決め、柔らかいソファに体をあずけ眠りについた。