潜入3
二つ目の扉は半分空いており、中はなにもなかった。誰かしらが全て持ち出した後のように不自然になにもなく、壁には一ヶ所だけ色が変色していた部分が目立っていた。大きさ的に何かの絵か写真を飾っていたかのように浮き出でみえた。
俺とともみはさっさと部屋をでた。残りの二つの部屋も同様に何者かが部屋のものを運びだした後のように、空虚感だけ漂わせていた。
「でもおかしいわ。人の死体は放置してあるのに部屋のものは全部ないって、おかしい。よっぽどみられたくないものがあったとしか思えない。」
ともみは俺にいった。
空の部屋には家具などが置いてあった痕跡もなく、唯一変わったところは空の部屋全てに壁に何か飾ってあっただろうと思われる変色した部分があることだ。明らかに他の壁とは違っていた。大きな長方形の窓のような形が不自然で目を引いた。いったいそこには、どういった絵もしくは写真が飾られていたのか想像はしたが、その事については俺もともみもあまり重要視しなかった。
俺達は突き当たりのドアのノブを回しドアをゆっくり開けた。
そのこうけいに俺は手で口をふさいだ。
何人もの人が倒れていた。10人いや20人もの人が死んでいた。フローリングの床が血で満たされ、逃げ叫んだ人々の叫びが死してもその場に残像のように俺とともみに訴えかける。壁の至るところに助けを求める人の血の手形が残っていた。
まさに地獄の光景。
俺とともみは手で口をふさぎ、直視することがでかなかった。
俺は腹から逆流するものをおさらながら、立ちすくんだともみに言った。
「外にでましょう。」
ともみの返事はなかった。
俺はともみの腕を握り、建物の外にあるきだした。
俺達は外の空気をおもいっきり口にすいこみ、気持ちを落ち着かせようとした。
外にでて始めて建物が二階の作りになっていることに気づいた。
二階部分は外の階段からつながってるようだった。
横にはともみが何者かと電話で話していた。
数分後電話を終えた、ともみが俺のほうをみて言った。
「今、工藤ヒロシがこの建物のどこかに潜伏しているらしいわ。」