同胞2
四角の部屋のなか、空気が重く静かに時が流れるなか、俺と牧草総理は対峙していた。
コーヒーの苦味が口いっぱいに広がった。
「わかったわ。あなたにお願いするわ。サクラの組織系統は中心が工藤で、その下に長男のアキラ、長女のみゆきがいるわ。そこから各支部にシャワー式に情報をながしてる。他にも幹部が数人いるんだけど、謎につつまれてるわ。あなたはその幹部の正体をつきとめてほしいの。そして組織の動向も。」
牧草総理は言った。
「わかりました。」
俺は首をたてにふりながら答えた。
「工藤は今どこに?」
「地図にのってない孤島といっていました。行く時は気を失っていて、気がついたらそこにいました。帰りはまだ組織の人間ではないからと目隠しされ移動していたので、場所は判明できません。でもそこでは武器の製造、開発が行われていました。」
「なるほどね。そこから海外に武器を流してるのね。私はとにかくあなたの情報をもとに工藤の居場所をつきとめるわ。」
彼女は続けた。
「それとあなたに相棒をつけるわ。この場では紹介できないけど、そのうちあなたの前に現れるわ。きっとあなたの役にたつわ。幸福を願ってる。」
牧草総理は立ち上がり、受話器をとった。
「もしもし、私だけど車の用意お願いできる。千葉まで。」
内線で話してる彼女に話を割ってはいるように。
「すいませんが、都内の高田馬場駅までで結構です。」
俺はみゆきの家に帰ることを決意した。