表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
汚れた人  作者: 透水ミート
20/81

父親のメッセージ2

迎えの車は一時間後にきた。傷1つない黒のレクサスは玄関の前にとまり、エンジン音が消えた。玄関口でまつ俺は運転席にちかずいた。運転席の窓が下がり、紺色の背広をきた40代風の男が俺のほうをまじまじとみた。男は運転手というより、秘書的な感じで煙草の匂いが俺の鼻についた。

「村川さん?」

男はいった。

「はい。牧草さんから車を待つようにいわれまして。」

俺はこたえた。

「結構道こんでて遅くなって悪かったね。」

男は気さくな感じで話し、名刺をさしだした。

名刺には思ったとおり、牧草総理大臣第一秘書、豊島と書いてあった。

「村川さん、ぼーとしてないで後ろに乗ってよ。」

俺はきずいたとばかりに後ろのドアをあけ、柔らかな後部座席に腰かけた。

「ここからだと、一時間くらいかかるから、寝ていてもいいよ。トイレいきたくなったらいってね。」

俺を乗せた車は静かに走りだした。車内は煙草の煙で充満し、馴れた手つきでギアを変える。

後部座席はやわらかく、体が沈み、十分すぎるほど足をのばすことができた。緊張から解き放たれたような快適な空間だった。ただ1つ煙草の匂いをのぞけば。

柔らかいソファーは俺に眠りを与えた。五感の全てが休息をとるように、ふかく意識が沈んでいく。遠くから声が聞こえる。『もどりたくない』と思う俺に反して声はどんどん大きくなっていく。

「村川君着いたよ。」

運転手の豊島さんの声だった。

目を覚ました俺は車の中だということを思い出すのに数秒かかり、数秒後に。

「すいません。気がついたら寝てまして。」

「いいよ。いいよ。」


車から降りると、目の前に、牧草総理が出迎えとばかりに、一人でたっていた。俺はテレビで見慣れた顔なので、それが牧草総理と一目でわかった。

「はじめまして。牧草といいます。お父さんそっくりね。」

彼女は昔を懐かしむような笑顔で俺に言った。

「急に電話してしまい。申し訳ございません。父の亡くなった知らせと、牧草さんにどうしても聞きたいことがありまして。」

「私に聞きたいことって?」

俺は彼女に聞こえるようにつぶやいた。

「組織サクラ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ