闇の組織 サクラ2
工藤からの申し出に俺はたじろぎ即答できなかった。
「お父さん。村川君は友人の中村が亡くなって、組織について批判的なの。無理よ。」
みゆきが口をはさんだ。
俺はワインを一口飲んだ。
「その組織サクラの目的はなんですか。」
俺は工藤にきいた。
「ヒロシ君。アドルフヒットラーを知ってるかい?第一世界大戦中のドイツの首相であり、ユダヤ人の大量虐殺をした独裁者だ。しかし私は彼が第三帝国という帝国をつくり、強いドイツをつくりあげ、ドイツの進歩を加速させた英雄だと思ってる。日本の歴史も、どの時代も何者かに支配されている。その中で人は自分の一生を終え死んでいく。今生きてる人間よりも、死んだ人間の数のが圧倒的に多い。人は誰かに支配され、その支配される人や物や思想の犠牲者になって死んでいく。今の日本は中心になる物がない。生きてる目的を見失っている人ばかりと私は思う。人は勝手に生き死んでいく。それがこの有り様だ。私はヒットラーのような革命を起こしたい。質問の答えになっているかな。」
俺は工藤の話を半分は理解したが半分は理解できなかった。
「僕は今の時代に生まれた人間です。人命第一と学んできました。工藤さんに比べると、若干18歳という若輩者ですので、工藤さんのいうことは理解できないのは当然だと思います。組織に入ることは今まで学んだことを否定することになると思いますので、少し考えさせていただけないでしょうか。必ず近いうちにはっきりとした答えをだしますので。」
俺は言った。
工藤は俺の話をきき、笑顔でこたえた。
「君は、お父さんに似て頭がいいなぁー。よし。分かったいつでもいいから。その時は私でも、みゆきにでもいいから言ってくれ。」
俺はついでとばかりに工藤にきいた。
「サクラの展望というか、最終的な目的はなんですか?」
「第三次世界大戦の勃発だ。」




