謎の孤島3
ここにきて一ヶ月がすぎた。みゆきは俺のために毎日朝食を運んできてくれた。
「おはよう。傷の具合どう?」
不安げな顔で俺の顔をのぞきこんだ。
「おかげさまで大分よくなったよ。ありがとう。」
「なら、よかった。今日もリハビリしなくちゃね。」
俺は肩の撃たれた傷の後遺症で右手にあまり握力がはいらなかったが足の傷は、なんとか松葉杖で歩行できるまでに回復していた。
リハビリは建物の外を日に日に距離を増やしつつ歩き、みゆきはそれにいつも付き添い、肩を貸してくれた。
その日も、朝食をとってから外にで松葉杖をつきながら歩いた。いつものようにその横にはみゆきがいた。彼女は俺の歩く速度にあわせながら歩き話した。
「俺の父親が死ぬ前に携帯でみゆきさんと話した 履歴があったんだけど何話してたの?」
俺はここにきて、始めて父親と組織の関係をみゆきに聞いた。
みゆきは秘密事項を守ることを諦めたというように話した。
「私達の組織を作ったのは私の父とあなたのお父さんなの。あなたのお父さんの村川さんは犠牲を払ってまでの革命を死ぬ間際まで反対してた。建設という仕事をしていた村川さんは物を壊す容易さより、作り上げる大変さを実感していたと思うわ。中村も事件直前の警察への密告も村川さんの影響が大きかったからだと思う。その逆が私のお父さん。戦後祖父が立ち上げた造船会社の後を継ぎ、法外な物を沢山輸入し、闇の組織にばらまき、 多額の財を築いたわ。
今は爆薬、銃器の製造するようになり、世界中の闇組織に商売してる。父は世界中の闇組織、イスラム教、ヒンズー教、キリスト教、仏教の有力者とコネクションを持ってる。根底にあるのは暴力的支配。」
最後に村川さんがいってたことが
「『お前たちがやってることは革命じゃなくてテロだ。お前らこそ、汚れた国を作ろうとしてるだけだ。』といってたわ。」
俺は父から譲り受けた時計をみながら巻き直した。
俺は時計以上に父親から引き継ぐことをみゆきから聞いたような気がした。
「そして、ここがその製造工場なの。」
とみやきは言った。