謎の孤島
撃たれた傷から血がドクドクと流れるのがわかった。建物が大きな揺れと同時に傾き、カーテンごしの形がかわった窓ガラスは重みにたえきれず、粉々に割れ、一階から登り上がる火柱が俺の視界を真っ赤に染めた。
俺の意識は激痛に耐えきれず意識が遠退き、体を動かすことができなかった。赤く染まった絨毯に顔を埋め、黒煙が体を覆う。
その時煙をかき消すかのようなひととき風が部屋を通り抜けた。俺の部屋のドアが勢いをつけて開いた。
「村川君。大丈夫? 村川君、村川君。」
それはみゆきだった。
俺の傷ついた体を強引に引きずり立たせ、部屋の外に投げ飛ばされた。俺はあまりの出血の多さに気を失い、それからのことは覚えてない。
気がついたのは、その二日後だった。意識が戻った俺は肩と足に激痛が走った。レースのカーテンがかかった視界の中、医者らしき男とみゆきがいた。
俺は乾ききった喉から、精一杯声をだした。
「水・・・・。」
みゆきは俺の口に水を流し込んだ。渇いた喉は潤いをまし、再び眠りについた。
目覚めた俺は見知らぬ場所のベットにいた。
そこは目覚めた俺の視界には収まりきれないくらいな大きな部屋だった。クラシックな家具、ガラス張りの開放的な空間、豪邸の一部屋と思わせる大きな観音扉、開けっぱなしの窓からは潮の香りが漂い、落ち着いた気持ちにしてくれる。
「気分はどう?」
そこにはソファーに座ったみゆきがいた。
俺はかすれた声で
「みゆきさん、ありがとう。」
と礼をいった。
「いいわよ。別に。暫くここで安静にしたほうがいいわよ。ここには必要なものがすべて置いてあるから。」
「ところで、ここはどこですか?」
「私の家よ。ここはね。日本海にある地図にも載っていない孤島なの。」
みゆきは言った。
俺は状況が把握できなかったが、俺を助けてくれたみゆきを信用し、俺にとって安全な場所だと悟った。俺は体力が回復してないせいか話す事が異様に疲れた。俺は彼女の目を、じっとみ心から目で礼をした。
彼女は笑顔で返してくれた。
「ここまで、あなた運ぶの大変だったのよ。でも多分あなたを傷つけたのは、組織の人間だと思うから私に責任あると思うし。あなたのこと巻き込んじゃったみたいね。だから私があなたを助けるのは当然のこと。とにかく今は休みなさい。」