出会い2
天空から見ると、俺とみゆきの傘は赤と白の花が咲き、その花に水を与えるように雨が傘めがけて降り注ぐ。
俺とみゆきは、園内レストランにむかった。レストランにはいると客は全くというほどいなく、殺伐としていた。
俺達は窓際の端のテーブルに座り服についた水滴を払い落とした。
俺は席を立ち注文カウンターで、コーヒー2つを注文し、待つこと数秒でコーヒーはでてきた。立ち上る湯気は俺の気持ちを落ち着かせ、活力を与えてくれるように感じになった。
俺はみゆきの前にコーヒーを運び、俺もまたみゆきの正面に座り、砂糖とミルクをコーヒーの中でかき混ぜながらみゆきに尋ねた。
「中村は亡くなって部屋で発見されたの知ってると思うけど、中村の死もみゆきさんの組織と関係あるんですか?」
「いいえ。ないわ。中村は仲間よ。死ぬ場所、生まれてきた意味を教えたのは私達の組織かもしれないけど。中村は自分の意志で死を選んだの。」
みゆきは答えた。
俺は更に聞いた。
「事件当日中村は何をしてたんですか?それが死に値することなんですか?」
「当日の中村は情報の伝達に使われてたの。彼はその情報を警察に密告したの。その時警察にいったところで、手遅れよ。
私達は止まらないわ。中村は事の重大性に気づいたのね。私にしてみれば覚悟が足りなかったのよ。それでも中村は警察には事件勃発のことだけ言っただけで、組織のことは言わなかったみたいね。事件後中村は姿を消したの。組織にしてみれば、大したことではなかったけど、中村本人はそうは思ってなかったみたいね。死に値するかどうかは本人次第だけど。裏切り行為とか、人命の重さを実感した彼なりの覚悟じゃないかと思ってるわ。私達はここは汚れた国と教えていたんだけどね。自分が汚れた人だと思ったのね。その行為と考えの変化が彼が死に値すると感じたんじゃないかしら。」
俺は反発した。
「俺はその考えかた間違っているとおもいます。中村もきっと・・・・」
俺の話をみゆきの声が遮断した。
「あのねー。村川君。私は別にあなたの意見を聞くためにここにいるわけじゃないの。あなたがどう思ってようが構わないけど。どうして私があなたにこの事を話にきたのは、私達の組織とあなたのお父さんは密接な関係があるからよ。そろそろ時間だわ。話はここまで。」
みゆきは立ち上がり、背中をみせた。そして振り返り様に、
「コーヒーご馳走さま。」
そのまま彼女は大雨の中、赤い傘に隠れるように消えていった。