第4話 そしてくせ者どもが現れる
小休憩が終わり、質問タイムに入った。
やはり皆考えることは同じで、
『元の世界に戻れるのか』
『何故、何の力も持っていない高校生を召喚したのか』
『勇者とは1人では? 何故こんなに多く召喚したの』
『王様に会わせないのは何故だ』
『そもそもどうやって戦えというのか』
『この世界で生きていくための保障はしてくれるのか』
等である。
そう質問をしていた者の中でも頭の回転がよさそうな奴は、この国についてあえて聞かないようにしているようだ。
帝国の人間に警戒をされたくないからだろう。
能ある鷹は爪を隠す、とも言うしな。
質問に対しお姫様は次のように返した。
『元の世界へと戻る方法は未だ分からず、現在探している状態です。』
『この世界へと召喚された際に、力を授けられておられるはずです。』
『過去の召喚でも人数は決まっていなかったようです。確かに勇者様の力はお一人ですが、他の方々も勇者様と同様に素晴らしい力をもっていたそうです。また、国としては救ってくださる皆様全員が【勇者】様として扱われます。』
『父は現在、会議中ですので暫くお待ちください。』
『皆様の生活については、できるだけ支援させてもらいます。しかし、邪神や魔族と戦争を起こしている状態で、資金不足になると考えられています。ですので、大変申し訳ないのですが、皆様にはお早く力を身につけてもらい、冒険者ギルドや商人ギルドなどをご利用いただく必要があります。本当に申し訳ございません。』
そのように質問を返していくと、最後にお姫様は頭を深く下げる。
「勝手なことだとは十分理解しております。ですが、国を民を守るためには、皆様の力が必要なのです。……どうか、どうかこの国を、この世界を御救いになられてくだい。」
その言葉は心からの願いのように思えた。
それまで不満を表に出していたクラスメート達が口を閉じ静かになると、お姫様の前へと1人男が近寄る。
「どうか頭を上げて下さい姫様。僕達が必ず邪神を倒してみせますから。」
あいつ、凄いな。有無も言わさず俺達全員が戦うように宣言しつつ、お姫様に近づき慰める役をとっていやがる。
お姫様の顔が桃のようにほんのりと染めてるよ。
この男の名前は白木 祐。茶髪でイケメン、文武両道であり優しい。曲がったことは嫌い。自分が決めたことは変えない。
男女共にモテて、人気が高い奴である。あと、クラス委員長でもある。
「おい、白木。勝手に俺達まで戦うように言うな。俺は死にたくないんだ。戦場になんてでたくもない。」
「僕だって死にたくはないよ。だけど、僕達は必要とされているんだ。それを見捨てることなんてできない。この国の人達のためにも戦おうよ。皆だってそう思ってるはずだよ。」
「だから、勝手に人の気持ちを決めるな。能力もまだ分からないし、俺以外にも戦いたくないと考えてる奴はいるだろ。」
そうだ。頑張れ黒田。
俺は戦いたくないぞ。
白木と言い合っている男は黒田 明人。黒髪で、目が隠れるように髪を伸ばしている。
だが、別に根暗ではなくクラスにも何人か友達はいるようだし、俺も何度か話したことがあるが、なかなかいい奴だ。
今も正当なことを言っている。
なのに何故か、白木信者に罵倒されている。
どうも黒田のことを、空気のよめない男だと思っているようだ。
むしろ信者達の方が空気よめよ。
しかし、この空気はまずいな。クラスメイト同士で争っている場合ではないだろう。
「白木よく考えろ。与えられた力が戦闘に優れたものでないと戦えないだろ。お姫様、その辺りはどうなっているんです?」
「は、はい。過去には商人としての才能を持った方もおられたそうなので、全員では困りますが、基本的に戦闘職以外の方は必ず前線に出てもらうという訳ではありません。」
「ということらしいぞ。」
俺の杞憂も無視して白木との言い合いを終わらせる黒田。
お前、なんかかっこいいな。
あいかわらず、白木信者には睨まれているけど。
そう考えているとお姫様は話を続けた。
「大昔には国民を集めて戦わせる徴兵制度というものがあったそうですが、無力な者を戦わせても流れる血が多くなるだけで戦力にはならなかったそうです。今では、国が率いる騎士や魔術士、また冒険者ギルドから協力者の方々が集まり戦っておられます。そのような背景から、戦う力が無い者は前線に立つではなく、後方での支援や一人一人が自らの力が発揮できるような職種へと別けられるようになりました。」
まぁそうだわな。
例えばだが、商人が商売やらずに戦場の真っ只中で剣を振りかざしていたところで、ただやられるだけ。
商人が輝ける場所で働かせていれば、食糧や武器などといった物が出回り、結果戦いに役立つことになるのだから。
その事が分かってるってことは、それなりにこの世界の人間も知恵はあるようだな。
と、黒田も分かっているんだろうな。
それよりももっと深く考えているかもしれない。
なんとなく、そんな気がする。
毎回文字数をどうすればいいのか困惑中です。
後、主人公が第3者視点で物語が進んでますね。
彼はそういうタイプです。