第二章 嫉妬と誤解【6】
「あの、李桜? 僕の話、聞いてた?」
「あぁ、聞いてたとも」
そう言って、李桜が僕を見る。
「大和撫子辺りまでな」
「半分ですかっ!」
笑みを浮かべて答える李桜に、驚く僕。
なんということか。
李桜は僕のおっぱい演説を半分しか聞いてくれていなかったのか。
というか、まだあれで終わりというわけでもなかったし、あそこから軽く三十分は語るつもりだったんだけど、まさか序盤も序盤で見切られているとは。
少しショックだ。
いやまぁ、別にいいんだけどね?
僕の価値観を李桜に押し付けるつもりはないし、彼女には彼女なりのおっぱいに対する想いがあるのだろう。
というわけで。
「李桜は、おっぱいが邪魔なの?」
「お前は公然とおっぱいと連呼して、恥ずかしくはないのか?」
「どうして恥ずかしがる必要があるんだい? 素晴らしいものの名称を、素晴らしい呼称で呼ぶことに、おかしいことなんてありはしないでしょ?」
「いやもう、いい」
はぁ、と李桜がため息を吐く。
なんだろう。
李桜も僕と同様に胸の内になにか抱えることがあるのかな。
「なにか悩みごとがあるなら、相談に乗るよ?」
「お前が変態過ぎるというのが悩みなのだが、これに対する処置はどうすればいいんだ?」
「うん。面倒になったら流すっていうのが、響子のやり方だから、さっきの李桜みたく無視してくれたらいいんじゃないかな?」
なるほど、と李桜が頷く。
……あれ。
どうして僕は自分で自分の対処法を教えているんだろう。
なんだか涙が出そうになってきたぞ。
僕の感情部分は置いといて。
「で、どうなの? おっぱい、邪魔なの?」
「……まぁ、なんだ……あまり、あってもいいということはないな……」
少し顔を赤らめて、ためらいがちに李桜は答える。
やっぱりそうなんだ。
よく聞く話だけど、巨乳の人にもその人なりの悩みというものがあるらしい。
重い、とか、肩がこる、とか。
「男が、好きだということは、まぁ百歩譲って理解しよう。しかしだな……大きいが故に衆目に晒されるこちらの身になって考えてほしい」
「つまりは、男に見られるのが恥ずかしいの?」
「まぁ……そうだ」
……。
「なぜそこで凝視する!」
「いやぁ、恥ずかしがる李桜見たさについつい」
「次に私の胸を見たら燃やす」
「制裁が鬼だねっ!」




