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哀しみと恨みの果てにpart1

結局、エージは幽霊探索部に入り活動をすることになった。

そして五人は心霊館に移動し、一年間合宿を始めた。

いかにも何か現れそうな雰囲気の館だった。

そこの大広間にて僕らは集まっている。


「いいか、この館の二階は寝室になってる。そんで、男子の部屋と女子の部屋に分かれてるから、今日からそこで寝よう。食料は、歩いて30分のところにコンビニがあるから、そこで調達な。これからの生活で喧嘩は絶対ナシだぞ。あと、みんなあだ名で呼び合うこと。」


ノブの説明が終わると、僕らは部屋に戻った。


「いやー、ワクワクするね。」


ノブが胸を踊らしているの対し、僕は気落ちしていた。


「ノブさぁ、怖くないの?こんな雰囲気の館にいて。」


「怖くねえよ!俺は昔から非現実的なものに会ってみたかったんだ。こんな雰囲気だからこそ会えるかもしれない。超ワクワクだよ。なあ、マルダイ!」


「俺は幽霊は怖くないけど、生活が大丈夫なのか怖い。」


「大丈夫だって!任せとけ。」


とりあえず僕とノブは食料を求めて、コンビニに向かうことにした。


「おい、お前ら!俺とエージでコンビニ行ってくっから。留守番頼むぜ。」


何のためらいも無く、ノブは女子部屋を開けた。


「勝手に開けんなよ!女子部屋だぞ!」


イワナが怒るのも無理はない。


「俺が外出中に幽霊に会ったら引き止めとけよ!」


「馬鹿!怖いこと言わないで。」


そんなこんなで僕らはコンビニに向かった。


それで、様子がおかしいと思ったのはコンビニから30分かけて帰ってきた時。

館の中に三人の姿が見つからない。


「おーい、マルダイ!ユウアン!イワナ!」


ノブが館に響くほどの大きな声で呼びかけても返事ナシ。


「とりあえずこの館中ぜんぶ探そう!」


僕とノブはところどころぜんぶ探した。


「この部屋か!?」


使っていない納戸の扉をノブが勢いよく開けた。


「!!」


そこには、青ざめた三人が固まって座っていた。


「ノブ・・・っ!!」


やっとこさマルダイが口を開いたという感じだった。


そこで僕が何が起こったのかを聞こうとしたその時、三人が僕とノブがいる扉の方向を指差して、さらに青ざめていた。


ゆっくりと振り返る...

そこには目を疑う光景。


白い服を着た女性が血だらけで立っていた。


「ひっ・・・ッ!!」


長い髪の向こう側に隠れた黒目がこちらをギョロリと見つめた。


「で・・・出てけ・・・」


暗く不気味な声が納戸に響いた。


「ワァーーーーーーーーーッ!!」


僕ら四人は一斉に大声を出して奥に固まった。


「すっげーーーー!!」


「!?」


ノブは何のためらいも無く幽霊に近づいていった。


「本当にいたんだ。幽霊!!ちょっと触らして!てか、触れんの!?」


ついにはノブの方から幽霊を追いかけ始めた。


「あいつ・・・やるな・・・。幽霊の方が逃げてやがる。俺たちも追うぞ!」


僕たち四人はノブとそれに追われる幽霊を追いかけた。


追いかけて10分後...


僕たちは幽霊を館の隅に追い込んだ。


「やっと・・・捕まえた・・・。いろいろ研究させてもらうぜ・・・!!」


そして少しずつ幽霊に近づいていった。

ノブが色々な意味で恐ろしい。


『ちょ・・・ちょっと待ってください!!』


「!!」


幽霊が人間めいた声でタンマをかけた。


「どーした??俺ら幽霊探索部だから、研究結果を高校に持って帰らないといけないんだけど。」


『すみません・・・っ!幽霊の存在だけは人間にバレてはいけないんです。』


「じゃあ、何で俺らの前に出てきたんだよ!?」


『えーと・・・元々ここには私が住んでまして、住むところがなくなってしまうと困るんです・・・。だから、驚かして出ていってもらおうとしたんです。すみません・・・っ!』


ここで僕たちは全員、幽霊があまりにも怖くないものであるということを学んだ。

そして、この幽霊を今後どうするかを話し合った。


(どうすんだよ、エージ!こいつとここに住むわけにはいかねーよ。お前頭いいんだから考えろ)


(でも、幽霊ってことは成仏するってことだよ。まだ成仏してないのはきっとこの世にまだ未練があるってことだよ)


(なるほど、お前頭いいな!)


しばらくの時間コソコソ話をしていた結論をノブが幽霊に言った。


「お前を今まで通りここに住ませるわけにはいかない。それは俺らの勝手ってわけじゃなくて、やっぱり幽霊ってこの世にいちゃいけない存在だろ?成仏しなきゃいけない存在なんだ。あんた心残りはなんだ?なんでこの世に留まってる?」


『心残りですか・・・。あるとしたらきっと、ある人に会いたいってことですかね・・・。』


「ある人?」


『そう、昔付き合っていた人です。どうしても彼にお礼をしたいんです。殺される前に言えなかったから。今まで付き合ってくれてありがとうって・・・。』


「あんた・・・殺されたのか・・・。」


僕たち五人は哀しみに包まれた。


『でも、もう叶わない想いなんですけどね。』


幽霊はケロっとしていたが、その瞳には涙が浮かんでいた。


「いや、俺らが会わせてやる。必ずその人に会わせてやるよ!」


ノブが決意を表明した。僕らも気持ちは同じだった。


「私たちで幽霊さんを成仏させてあげようよ。」


「ここに住んだ俺たちが悪いもんな。」


「暇だし・・・やるか・・・。」


「じゃあ、みんな行こう!」



こうして僕たち幽霊探索部は幽霊を成仏させることになった。

「哀しみと恨みの果てに」次回に続きます。

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