第十八話 顛末
「まさか、誰かに俺のことを話すことになるとはな・・・・。俺が審判者であることはこの世では今ここにいるお前しか知らない。」
「そんな奴が・・・なぜ一国の王子なんか・・・・。」
「それは仮の姿。いや、この姿も本来の姿じゃない。それに、セリアとも何の血縁もない。ただ俺は、見届けなければいけないからな。俺のこの判断が正しきもので、加護を受けし者が正しきものかを・・・。そのために、俺は両者の近くに身を置く必要があった。だからこそ、シェーファ・ジェイニアスとしての記憶を関わるであろうものに植え付けた。だから皆俺の存在をなんの疑念も持たず受け入れた。セリアもまた俺を兄として疑ってはいないだろうからな。」
ちらりと倒れている(偽りの)弟をみた。
「そして、今さっきの行動で、お前は加護を受けしものにはふさわしくないと判断した。よって、お前の加護を受けし者としての存在を消す。」
わずかに、シェーファの体が浮かび上がる。そして手をアロウの前に構えた。術を詠唱し、放つ。無数に空間に浮かび上がる魔法陣からさまざまな攻撃が放たれた。しかしそれをアロウの魔術が受け止め、薙ぎ払う。
「ふっ・・・・術の扱いは、セリア以上か・・・。おしいものだ・・・その野心さえなければ、お前は歴代最高の加護を受けし者だったのにな・・・・。」
「ほめられてんのかけなされてんのかわからないな。」
なおも両者の力がぶつかり合う。
アロウの放つ冷気が
シェーファの放つ神気が
拮抗し、反発し、せめぎ合う
しかし、それは定められていたかのような結末
「なるほどな・・・・その審判者ってやつは・・・伊達じゃないってわけね・・・・。」
「人が、俺にかなうわけがない。それが覆されるのは俺が退任する時だ。」
「退任とかあるわけ?」
「何者も永久に続くものはない。太陽も月も永久に輝くことはないかもしれない。いつ途絶えてしまうかわからないからこそ、あいつらは輝き続ける。今一番の光を放って、すべての者の目を引き寄せようと。」
床に座り込んでいたアロウの足元に、シェーファが出現させた魔法陣が現れる。コオォォと魔法陣から光が浮かび上がり、アロウは自らの中から何かが抜けていくのを感じた。
光が収まった時、起きていたのはシェーファだけだった。
「はぁ・・・・また、新たな月の加護を受けし者を見つけなくてはな・・・・・・・。」
そういうとシェーファはどかっとソファーに体を沈めるのだった。
ファンタジーのタグを付けたほうがいいかと、いまさらながらに思いました。
趣味全開ですので・・・あれ恋愛は?というかた・・まぁ、セリア達出てないのでね・・・これから出てきますので・・・