第十七話 シェーファ
今までシェーファ(セリアの長兄のことです)の名前を忘れてた。(笑)
すっと、黒いフードを外したその下にはセリアと同じ金髪がきらめいていた。顔の両脇だけがやや長く、後ろは短く切りそろえられている。切れ長の青い瞳。その右下には不思議な紋様が浮かんでいる。
「な・・・んで・・・シェーファ兄貴が・・・ここに・・・・?」
「お前は・・・・少し黙っていろ。」
「え・・・ちょ・・・・っ・・・・・・。」
セリアの体が崩れた。それを受け止めたシェーファは、その体を抱えあげた。すでにセリアの髪の色は元に戻っている。能力の発動は阻止されたということだ。
「やっぱりな、来ると思ってたぜ?お前は昔っから俺の邪魔ばかりするんだよな。」
「・・・・お前・・・何をしようとしていたのか分かっているのか?」
「この世の破滅につながる行いってやつだろ?」
「それを知って、セリアを利用して、お前は何を望んでいる?」
「この世界はな。退屈なんだよ。いっそ壊して、新しく作り直したほうがいいほどにな。」
「それだけのために・・・禁忌を犯すか?」
「そうだ。それだけのリスクはあったほうがいいだろ?」
「愚かな。そんな私利私欲のために、破壊されていい世界などありはしない。」
「知ったような口をたたく。お前・・・・・なにもんだ?」
その質問に、シェーファは顔色一つ変えずにそこにいた。そして、ゆっくりとクロウのほうを向いた。徐々に歩み寄り、気を失わせたセリアを預ける。
「え・・・ちょ・・・・。」
「お前はセリアを頼む。」
「は?・・・・・・・・・・っ!?」
クロウの視界が歪んでいく。そして彼もまた意識を失い、セリアとともに床に倒れた。それを見届けたシェーファは、二人を覆う結界を張り、そしてアロウのほうを向いた。
「・・・・やはりお前に、月を預けたのは俺の過ちだったか。」
「なに?」
「俺は審判者。太陽と月を守護し、選ばれし人に加護を与えし者。お前とセリアに、それぞれの加護を与えると決めたのは・・・・・俺だ。」
「な・・・・・・!?」
「審判の結果、お前から月の加護を剥奪する。」
「どこだ・・・・・ここ?」
その時クロウは、何もない白い空間にいた・・・・・・
只者じゃなかったシェーファ。
そしてどっかへんな空間にいるクロウ。
次は・・・シェーファとアロウの話になると思います。