第十四話 クロウとアロウ
なんとなーく、解りやすい設定だなぁと思いますね。
題名見てもわかっちゃう気がします。
急に動きが止まり、セリアが顔を上げると、クロウが驚いた表情でセリアを見ていた。
「・・・・・・・・・・だよ・・・。」
「え・・・・?」
「アロウなんか・・・なんで知ってんだよ・・・・・?」
その顔には焦りすら見受けられる。
「え・・・アロウのこと、知ってるの?」
「聞いてんのは俺だ。なんでお前があいつのことなんか知ってんだよ。いつ会った?なんであいつの名前なんか・・・・。」
「お・・・・・おい・・・なんだよ・・・どうしたんだよ?」
明らかに動揺を隠せないでいるクロウを前にして、セリアもまたおろおろし始める。こんなクロウをセリアは見たことがなかったからだ。
「いいから答えろよ、お前はどこまであいつのこと知ってんのか。」
「そ・・・それは・・・・言えない。」
「なんで?」
「や・・・・約束・・・・したから?それに・・・そんな大したことは知らないから・・・名前と年くらいしか・・・ほんとだぞ?」
疑ってるような顔つきだったので、セリアはそういった。でもそれに偽りはない、アロウという名前、そして自分と同い年であるということ以外はなにも知らないのだ。
「そうか・・・・・・・。」
「な・・・なぁ!クロウは、知ってるのか?あの人のこと。」
「・・・・・お前が黒いローブ野郎のこと話すなら俺の知ってるあろうのことを教えてやらんでもない。」
「えぇ!?それはずるいだろ!!」
「ずるくない、等価交換だ。知りたきゃそれなりにこっちも知らないとなぁ?」
だからそのにやにや顔がムカつくんだよ!言いたくない。言いたくないけど・・・・でも知りたい。
セリアにとってアロウは忘れられない存在。別に恋愛対象とかではなく、同い年なのに、何者にも縛られてないあの生き方に憧れを抱いていた。うらやましかった。ただそれだけ。まぁ、あっちがどうだったのかは知らないが・・・・。
「わかった。教えるからさ、だから教えろ。」
「可愛くね-頼み方。つか、それが人に頼む態度かよっての。」
「い・・・・いいじゃんか!!別にいいんだぞ、教えてほしくないなら俺もいい!!」
「はぁ・・・そんなに聞きたいかよ・・・あんな奴のこと・・・。」
「うん。」
「・・・アロウ。アロウ・フォーミット。」
「フォーミットって・・・・え・・・・・?」
「俺の双子の兄弟。生まれた順であいつが兄貴になる。」
双子。なるほど、それでアロウとクロウが似ていたのか・・・・。ふむ、納得。
「兄弟なのに、なんでそんなにつんけんしてんだ?」
「いやなんだよ、あいつの生き方が。あいつがほんとは第一王子のくせに、それを俺に押し付けて自分はふらふらしやがって・・・今だってどこに居んのかわっかんねーしな。この国のことなんかなんも考えてないそんな奴なんだよ。アロウってやつはな。」
「そう・・・・うちと一緒か。」
「は?」
「黒いローブのやつね。あれは・・・・・・・・・・・・・・・。」
すっと、視線を外したセリアは窓の外を眺めるようにしながらこう言った。
「シェーファ。シェーファ・ジェイニアス。俺のもう一人の兄貴だよ。」
再びクロウのほうを向いたセリアは苦々しく笑っていた。
「へぇ、やっぱあれ、お前の兄ちゃんか?」
そんな声が聞こえて、ドアのほうを見るとそこにもう一人のクロウ・・・ではなく瓜二つの存在、アロウが立っていた。
いっきにあいつ二人の正体が発覚ですね。
結構サクサク進めていきたいんです。
がんばらないと・・・ですけど・・・