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14.瘴気の水をゲット

エミリア姉上をなんとか説得したアデル兄上は、続いてローランド兄上を説得し、クライス達と共に『プリミチブの樹海』へと出発していった。


アデル兄上は言い出したら頑固だし、最近は政務ばかりで鬱憤が溜まっていたから、旅に出るのは息抜きになって良かったかも。


さてアデル兄上が『プリミチブの樹海』から戻って来るまでに、僕達は道具作りのアイデアを進めておこう。


僕とエミ―は部屋にこもって話し合いを続けた。

できればエルファスト魔法王国をアッと驚かせるような道具を作りたい。


連日の検討により僕達は、魔導車を作ることにした。


魔導車とは魔石の魔力を動力源として走る自動車のことだ。


自動車といえば、前世の日本の機械の代表みたいなモノだからね。

これを作れば、エルファスト魔法王国に対してもインパクトがあるだろう。


かと言って僕は自動車の内部構造は詳しく知らない。


だからエミ―が部品のアイデアを考え、僕がそれを補足するかたちで、魔導車の設計図を描いていった。


そんなことをしているうちにアッという間に日にちは経ち、王宮騎士団の訓練所で野営しているドワーフ達のための建物が、王都の空地に建設され、ドワーフ達はそこへと移っていった。


その建物にはカラクリ機械や魔道具を作る炉と工房が併設されている。


アデル兄上が『プリミチブの樹海』へ出発してから一ヵ月が経過した。

うまく瘴気の沼は見つけられたんだろうか。

アデル兄上のことだから、騒動を起こさなければいいけど……


私室で優雅に紅茶を飲んでいると、扉が開いてエミリア姉上が駆け込んできた。


「アデルが戻ってきたわよ。今、城内に入ったらしいわ」


「では出迎えに行きましょう」


僕は椅子から立ち上がり、エミリア姉上と一緒に王城の一階へと向かった。


階段を降りて、長い廊下を歩いて、広場に向かうと、アデル兄上がボロボロの恰好で兵士達に指示を出していた。

その隣になぜか、リアムとルーネの姿があった。


僕達に気づいたアデル兄上は、片手をあげて嬉しそうに笑む。


「イアン、約束通り瘴気の沼を発見したぞ。樽の中に沼の水を入れて運んできたんだ。沢山あるからジャンジャン使ってくれ」


「それはありがとう。『プリミチブの樹海』に行ったのはわかるけど、どうしてそんなにボロボロなの?」


「聞いてくれよ。アデルってばいきなりベアケルの街に現れて、冒険者ギルドで冒険者達と大喧嘩を始めるし、『プリミチブの樹海』の奥へ案内しろというから、一緒に樹海に入ったんだけど、魔獣を倒すことに夢中になって、なかなか先に進めないしさ。瘴気の沼を発見したら、沼の水を持って帰ると言い出すし」


なんだかアデル兄上の無茶振りの様子がリアルに目に浮かぶ。

色々な人に迷惑かけたんだろうな……


「なんか色々とごめんなさい」


「イアンは何も悪くない」


僕が頭を下げると、胸の前で両拳を握りルーネが励ましてくれた。


リアムとルーネはベアケルの街のギルドマスターのベルドさんに言われて、荷馬車の護衛として王都まで一緒に来てくれたという。


その話を聞いたエミリア姉上は、二人に軽く会釈をする。


「すっごくお世話になったようね。お礼もしたいし王城に泊っていく?」


「いやいや、王城なんて緊張しすぎてゆっくりと休んでいられない。アタシ達のような冒険者は街の安宿がお似合いさ」


「それなら、これを持って行ってください」


エミリア姉上は懐から貨幣の入った革袋を取り出し、リアムの手の平の上に置く。


革袋の中を見たリアムは、「ゲッ」と言って、金貨を数枚手に取り、エミリア姉上に革袋を返した。


「簡単に光金貨なんて渡してんじゃねーよ。アタシ達の取り分はこれで十分だ」


光金貨は クリトニア王国で流通している貨幣の中で最上位のモノだ。


日本円に換算すると、約一千万円ほどの価値がある。

通常は大商会や貴族しか目にすることのない貨幣だ。

リアムが驚くのも無理はない。


エミリア姉上は王宮育ちだから、冒険者の報酬料なんて知らないよね。

僕も詳しくは知らないけど。


二人は一週間ほど王都に留まり、その後にベアケルの街へ戻るらしい。

せっかく王都まで来たんだから、ゆっくりと都内観光を楽しんでもらいたいな。


兵に命じて樽を私室へ運んでもらおうとすると、エミリア姉上に止められた。


「その樽の中に入ってる水って、瘴気の沼から汲んできた水でしょ。もし樽の蓋を開けて瘴気が出てきたらどうするの。そんな危険なモノを城内に入れるのはダメよ」


真偽のほどはわからないけど、瘴気は微量であれば、体が異変を起こすことはないけど、大量に浴びた時には体を毒すると信じられている。


瘴気の水を持ち帰ったアデル兄上達は元気そうだから、何も問題はないと思うけど、エミリア姉上が心配するのももっともだ。


「せっかく運んできたんだから、ケチケチすんなよ」


「そういう問題じゃないでしょ。アデルはホントにバカなんだから」


「あー、バカって言う奴がバカなんだよ!」


エミリア姉上とアデル兄上が口喧嘩を始めた。


二人のじゃれ合いはいつものことなので放っておく。


このまま瘴気の水の入った樽を王城に置いておけないし、どこで実験しようかな?

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