四天王③
校舎を出て正門に向かってる途中、純也が遠くにいきなり声をかける。
「おーい、光輝!」
純也の声を聴いて正門の横にいた緑色の制服の男がこちらに振り向く。
この距離からでもわかる。かなりのイケメンだ。
その男は立ち止まったまま動こうとはせず、こちらをみている。
どんどんこちらから近づくにつれ確信に変わる。イケメンだ。
スッと通った鼻筋に、ふんわりとした髪、はっきりした目と眉に純也に負けないほどの高身長。
どこか韓国アイドルがちらつく容姿をしている。本人が寄せているかどうかわからない。
「お前も今帰りか?」
「ああ。」
光輝は軽く返事をした。
「俺たち帰りに遊ぶからこいよ!」
「いいけど、どこ行くの?」
確かに誘われたら気になるが、そんなこといちいち聞くのか、ちょっとめんどいやつだなと正直僕は思った。
「いいなら別にどこでもいいだろ、決まりな!行こうぜ」
純也はそんなのおかまいなしに巻き込んでいく。
「君といると疲れる」けだるそうに光輝がつぶやく。
「こいつは光輝。おれと帰る方向が一緒なんだよね。最寄り駅も一個違いで最近引っ越してきたらしい」
「なんで純也がそんなこと知ってるの?」修斗が不思議そうに尋ねる。
確かに。制服の色が違うから純也と接点は特にないはずである。
「いや、俺の家ちょっと遠いじゃん?だから珍しくてこの前声かけたんだよ。それで仲良くなったんだよ!な?」
「仲良しになった覚えはないよ」光輝が突き放す。
「なんだよ、お前いつも一人なんだろ?一匹狼って有名だぜ」
確かに純也の言うとおりだ。
彼のことは僕も何となく知っていた。
イケメンの一匹狼がいると同じクラスの女子が盛り上がっているのを耳にしたことがある。
そんな軽いうわさが校内に流れていた。韓国アイドルブームもあってか彼の顔はかなり女子ウケがいいみたいだ。
「知らないねそんなこと。で、どこに行くの?」
あ、一応ついてきてはくれるんだ。光輝は冷たいというより、クールな印象だ。
「それは修斗にまかせる」
「おれかよ!」修斗が不意打ちをくらうがなんだかんだ四人で帰りにどこか寄ることになった。
三人目は光輝。
これがまた今どきの韓国風イケメンなんですよ。
クールな感じがずるい。
次は主人公の軽い生い立ちに触れていきます。