名探偵明智小十郎の事件簿
「犯人は、野本鈴子さんあなたです。」
「違います、犯人は私ではありません。」
「埼玉県警の小林です。少し状況を整理しましょうか。まず、被害者は野本さんの隣人の柏原通人さん、59歳。独身でフリーランスのウェブデザイナー。連絡が取れなくなって、編集部の安西さんが自宅を訪ねてみると、自宅には鍵がかかっていて、家の中に柏原さんのご遺体があったと、間違いないですか、安西さん。」
「はい、間違いないです。」
「そして凶器は出刃包丁で、野本さんの指紋がついていた。これも間違いないですね。」
「はい、間違いありませんが、私は犯人ではありません。柏原さんちのカギを私は開けられません。」
「いえ、犯人は野本鈴子さんあなたです。」
「いいえ、私は犯人ではありません。鍵をどうやって開けたとおっしゃるのですか。」
「シリンダー式のカギは道具があれば開けられます。」
「動機は何だとおっしゃるのですか。」
「痴情のもつれです。」
「具体的にどうゆうトラブルだとおっしゃるのですか。」
「あなたは結婚を望んでいるのに、柏原さんはそうではなかった。それを不誠実だと思ったあなたは柏原さんを刺してしまった。そうですね。」
「さすが名探偵さん、何でも御見通しなんですね。そうです、私がやりました。だってひどいじゃないですか。十年もかけて付き合ったのに、本気じゃないなんて。」
「言い訳は署で聞こう。野本鈴子さん。あなたを殺人の容疑で逮捕する。」
「あれ、でもどうやってカギを閉めたんでしょう。」