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俺とさとりの日常会話~珍客来訪!?編~

作者: 白黒ゆきち

本編とは関係ない短編回です。

1話完結型になっているので、お話の前後を気にする事なく読んでいただければ幸いです。

では、ゆっくり楽しんでいってください。

雲一つないような快晴が続いた先週と打って変わり昨日、今日と雨が降り続いている

特に外に出かけるほどの用事もないのでベッドに寝転がり、なにか暇をつぶせるものがないか頭の中を模索してみる




…数分考えたものの、特に何もなかった事にほんの少しだけ落胆した


騒がしくても退屈しない毎日ってのはある意味幸せなんだろうな、とベッドで眠りにつく“友人”を見ながら独り言をつぶやいた



しかし家に動物がいるのはいいもんだな

見てるだけで和む


中身は妖怪だけど。




そう考えた矢先に少し強くなってきた雨の音に気づき、窓の外に目を向ける



ここのところ雨が続いてばかりでさすがに気が滅入めいってきた


しとしとと雨粒が一定のリズムで屋根を打つ音を聞いているのも嫌いではないが、それが2日も続いてしまえば少なからず嫌気がさしてくる





孝幸「…たしか買い置きの豆はまだあったよな」



気分転換にコーヒーでも飲むとしようか。


起き上がり、目的の物がしまわれてるであろう戸棚に向かった

さすがにサイフォンなんて代物は持ってないがコーヒーメーカーくらいなら家にも置いてある




孝幸「セット完了っと、さてなんか茶菓子は…」





戸棚にはとっくに期限の切れた饅頭しか入ってなかった





孝幸「せめて煎餅の1枚でもあれば少しは違うんだけどな〜…」



そう言いながら期限切れ饅頭を天国行きの停留所に投げ込んでやる

明日になれば母ちゃんに連れられて片道の旅行を楽しんでくる事だろう

ちょうど明日は燃えるゴミの日だしな



あばよ、饅頭。

お前の事は忘れないぜ




ぴーっ…こぽこぽこぽこぽ



孝幸「おっと、もう落ちたかね」


コンポにCDをセットし、コーヒーを注ぎに向かう




こんな感じで本当にやる事がなくなった時にはコーヒーを飲みながらお気に入りのジャズのCDを聴く

これは俺の雨の降る休日の楽しみ方の一つだ



我ながらなかなか優雅な休日を過ごしているな、と思う



そんな考えが頭をよぎったと同時に寝ていたはずの友人が声をかけてきた



さとり「ふっ、優雅…か。主にはあまり似つかわしくない言葉よのう」



こいつ起きてたのか、人の思考を盗み聞きしやがって



孝幸「よけいなお世話だ、それにこういう日は俺にとっちゃ結構貴重なんだぞ」



普段は何かと遊びに誘ってくる友人たちもさすがに今日は連絡してこなかったからな

たまにはこんな日があっても良いだろう




さとり「なんだ、誰かに連れ回されるのが趣味ではなかったのか」



孝幸「好きでやってる訳じゃねーっての。無視したらあいつら家まで押し掛けてくるからな」ズズーっ



まだ熱いコーヒーを口に含む。

お茶請けは無いが、わざわざ買いには行きたくない





さとり「今日はおやつはリ無いのか?」


孝幸「ああ、戸棚にはシャ何も無かったな。かといって今から買いにリ行くのもな…」


さとり「うむ、確かにそシャこまでして茶請けがリ欲しいかと聞かれればそうでもないな」


孝幸「だろ?めんどくリさいしな。それより、一つ気にシャなる事がリあるんだが」


さとり「おお、奇遇リだな、我が輩もシャだ。場所を移るとしよう」


孝幸「ああ」





———・・・


〜〜〜玄関前 廊下〜〜〜


孝幸「「………………」」さとり






さとり「……うむ、どうやら気のせいではないようだな」



孝幸「ああ、何か変な音が聞こえたよな」



さとり「今この時間は我々だけで間違いあるまいな?」



孝幸「そのはずだ、かあちゃんは仕事だしな。」



さとり「音の方向からして…向こうか?」



孝幸「まさか、泥棒とかじゃないよな…?」



さとり「いや、そのようなやからなら我が輩、とうに気づいておる」



孝幸「だよなあ。…っと、洗面所の方だったな、ちょっと行ってみるか」




———・・・


さとり『こちら我が輩である。孝幸2等兵、はよう応答せんか』



孝幸「へいへい、こちら洗面所の扉前だ。相変わらず音は続いてるぞ。なんか作戦は?」ぼそぼそ







さとり『うむ、突撃だ』



孝幸「おまえ何も考えてないだろ」ぼそぼそ



さとり『失礼な奴め、おそらく敵はまだお主に気づいておらん。この場で突入すれば奇襲として成り立つであろう』



孝幸「ほんとかよ…」



さとり『我が輩を信じよ、いざという時はどうにでも出来る』



孝幸「頼むぞほんとに…。いくぜ!」ガラッ!









?「小豆洗おか♪人取って喰おか♪」じゃぶじゃぶ





孝幸「……………」




孝幸「………」つかつかつか




孝幸「………」ガシッ




?「小豆洗おか♪人取って…ん?」くるっ



孝幸「ふんっ!!」



?「むぎゃっ!?」バシャーンっ!!



…どうしよう、なんか狸みたいなのがいる。


あまりの衝撃につい叩き付けちまったけど…生きてるよな、これ?



洗面台の前でそのまま棒立ちになっていた俺に向かい、狸が話しかけてきた



?「いてーなー、何すんだよ!」



孝幸「………!」


どうやらご立腹のようだ、まあいきなり洗面器に突っ込まれればそりゃ怒るよな

やったのは俺だけど。


しかし…



?「おい!聞いてんのかよー。何とか言え、人間!」



…眼前の狸は激しく尻尾を揺らしながら喰いちぎらんばかりの勢いでこちらを睨んでいる。なにこいつかわいい


お怒りのところ悪いんだがちょっと抱っこしていいか?」



?「…は?なに訳が分からんことを言ってんだ!おいらの事馬鹿にしてんのか!?」



しまった、途中から声に出てた



こうなったら仕方ない…!




『どのような態度で接しますか?』



→友好的

 威圧的






孝幸「いやすまない、まさかこんな所に狸がいるなんて思ってなかったから驚いて手が出てしまったんだ。悪かったね、これで許してくれないか」すっ





俺は紳士的かつ友好的な態度を保ちながらあめ玉で狸を買収する事にした



?「よくわからんけどくれるなら貰うぞ!ありがとうな!」



孝幸「どういたしまして。ところで、きみはこんなところで何をしていたのかな?」



?「おいらか?おいら小豆洗ってたんだ!」



……小豆?

よく見ると洗面台の中に水の入った桶と洗っている途中であろう小豆があった


もしかしてこいつも妖怪なのか?



?「…どうしたー?」


狸からの返答に戸惑っていると代打、とでも言わんばかりにさとりが洗面所にやってきた



さとり「なんだ、今度はアライグマになったのか?お主のセンスはよう分からんな」



?「お?おまえ誰だ?」



…アライグマだったのか。紛らわしい



さとり「我が輩だ、覚りである。久しいな、〖小豆洗い〗よ。」



小豆洗い「なんだ、さとりかー。でもよくおいらの事が分かったな!」



さとり「……姿形が変わってもお主の事は一目で分かるな」



小豆洗い「そうなのか!?相変わらずさとりはすごいな!」



孝幸「……」


なんだろう、今だけさとりの気持ちが読める気がする



さとり「…して、お主は何故にこんな所におるのだ?」



小豆洗い「それがなー、せっかく良い小豆が手に入ったのに近くに川が無くてな。んで、仕方ないからこの家にお邪魔する事にしたんだ」



さとり「うむ、経緯は分かったが、お主はもう少し危機意識というものを持つとよい」



小豆洗い「…?」



孝幸「あー、いやな、その格好で喋ってるところを見られると色々とまずいだろ?」



さとり「喋るアライグマなど普通は居らんからな」



小豆洗い「…そういう事か!分かった、気を付けるぞ!」



なんとも危なっかしい妖怪である

どうやらさとりの知り合いのようだが・・見るからに危険はなさそうだ


このまま外に放り出すのはなんだか危険な気もするので、俺は一つ提案してみることにした



孝幸「なぁ、もし時間があるようなら家でお茶でもしていかないか?」


さとり「なんだ、ナンパか?」


孝幸「違ぇよ、なんて言うか外に出して変なのに捕まっても気分悪いだろ」ぼそぼそ


さとり「・・・まぁ、言いたいことは分かる」



眼前の珍客に目を向けると、キョトンとした表情でこちらを見ている

うん、やはり不安しか無い



小豆洗い「なんだよー、さっきからコソコソと。」


孝幸「いや、気にしないでくれ。それでどうかな?外はこの雨だし、もう少し家でゆっくりしていかないか?」


さとり「うむ、久しく会えたのだ。急ぐ理由が無いのであれば、しばし共に過ごそうぞ」


小豆洗い「そうだな!お言葉に甘えるとするぞ!」


孝幸「それはそうと、君はその…コーヒーとか飲めるのか?」


さとり「あほぅ、まずコーヒーを知らんだろう」


小豆洗い「…こぉひぃ?」


孝幸「っと、それもそうか。コーヒってのは…」


————….


雨の日に現れた珍客に戸惑いながらも、さとりの知り合いである事を知って安堵する孝幸。

その後、小豆洗いは孝幸らとしばらく談笑した後に川を求めて旅に出るのであった…。



いかがだったでしょうか。

今回はアライグマの姿の“小豆洗い”との遭遇回でした。

基本的に短編で出てきたキャラクターは本編には出てきません。


短編に登場したキャラは、同じく短編のお話でのみ再登場する可能性があります。

“小豆洗い”も今後の短編回で登場する…かもしれません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] コーヒーから繰り広げられる面白い話ですね 身近なものから小説に出来るのが凄いと思います めっちゃ勉強になります お互い頑張りましょう^_^
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