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妻と始めるほのぼの闇堕ち錬金術師VRMMO  作者: hama
第三章 ハロウィン
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魔石と魔宝石の違い

「ところで、そっちはなんでフィートに?」

「アプデで匂いが追加されましたが、入浴施設が中々見つからなくて。そうしたらフィートに温泉があると聞いたので、皆で来てみたんです」


彼らの話を聞いていたら思い出したように質問を返されたので適当に誤魔化しておく。それも理由の一つではあるので嘘ではない。


「あ〜、そういやそんなんあったな」

「攻略に関係なさそうなアプデだったから読んでなかったっす」


二人はあっさりと納得してくれた。


そこからの情報交換はユキのお陰でスムーズに進んだ。二人の話を要約すると、闇ギルドは先程会った月神の神官である銀髪の男を狙っているらしい。

だが、ヴォルフという強いプレイヤーが護衛についており返り討ちにされてしまった。そこで二人は情報収集を行っていたところ、ヴォルフに加えてプレイヤーの少年とそのパーティーメンバーが仲間入りして益々手が出せなくなってしまう。

しかし盗み聞きした彼らの会話からその神官がイベントに関係していることを知り、暗殺は一旦保留にして様子を見ることにしたそうだ。


コウ達も怪しまれないように、ある程度の情報を開示しなければならない。ユキが神官なのは見た目からして明らかなので、他の神官プレイヤーでも入手していそうな範囲だけを話しておく。

具体的にはハロウィンイベントは収穫祭だということと、冒険者は【お菓子の花】を集めること、それから特殊なモンスターがその花を狙っているといった内容だ。


「いやユキさんメチャクチャ知ってるじゃないすか!!」

「役に立つ情報なら良かったです。でもNPCから普通に聞けた話なので、知ってる人は他にも居るんじゃないかと思います」

「オレらが出遅れてる可能性もあるってことか……」


だがイベントで何が起きるか判ったところで、いつ始まるのかが不明なのはコウ達も同じである。やはり鍵はムービーに出ていたあの神官にあるように思えた。


「やっぱあの神官を見張るしかないか〜。この辺はリゾート地だから宿代高いみたいで、金策ヤバいんすよぉ……」

「良いアイテムがあったら買い取りますよ? 鑑定料も今回はサービスします」

「マジっすか! お願いします!」


営業モードに切り替えたマリがにこやかに対応する。それを受けたカニクリームコロッケが鞄から無造作に取り出したのは原石だった。どれも小石程度のものだが数が多い。それらを机の上にジャラジャラと並べる。


原石とは、宝石や金属といった鉱物が含まれている石である。専門的なスキルがなければ加工できず、しかも含まれているのが金属か宝石かで加工に必要なスキルも違うため採算を取るのが難しい。

自力で加工をするプレイヤーは少ないが、原石をギルドに持ち込んでガチャ要素のように楽しむギャンブラーはかなり多い。


「小さい原石でもたま〜にアタリで宝石出たりするんで、捨てんの勿体なくて」


『鉱物知識』スキルを持っていれば原石の鑑定ができる。しかし鑑定が成功するかはスキルのレベルとアイテムの鑑定難易度による。そしてアイテムにある程度の大きさがないと難易度が上がるのだ。


この難易度はマスクデータなので正確な数値は不明だが、小さいものやレア度が高いものほど難しいと言われている。

例えば拳大の原石を鑑定する難易度が1だとすると、小石サイズの難易度は10。雑魚モンスターの魔石や鉱物は10、レアモンスターの魔石や高価な宝石は100という感じだ。


しかも恐ろしいことに魔石や鉱物は鑑定が失敗しても判らないのだ。鑑定結果がよく似た別の鉱物になったり、同じ鉱物でも価値の表示が違ったりする。鉱物や魔石の鑑定が難しいのはこのせいである。


金属は有用性と純度で価値が決まる。これは分かりやすいのでまだ良い。しかし宝石は純度、レア度、美しさなど、多くの要素で価値が変化するため鑑定がかなり難しい。

そして魔石。モンスターの魔石なら石自体には大した価値は無いが、鉱物が魔石に変化したものだと石そのものの価値と魔力含有量で価値が決まる。


「触れても良いですか?」

「どうぞどうぞ」


コウは許可を得て原石の一つを手に取った。



ーーー


【原石】

ボーキサイトの原石。

純度:低

魔力:0/0

重量:1


ーーー



「ボーキサイトですね。買い取れません」


ボーキサイトは何の役にも立たないゴミアイテムだ。ボーキサイトからアルミニウムを作れないかという話も出ているが、まだ成功した人はいない。

軽くて硬度も高いアルミニウムが作れるようになればボーキサイトの価格も跳ね上がるだろう。しかし現状では安値で売られるどころか、重量があるせいで持ち帰らずにその場で捨ててしまうプレイヤーが多い。


「ハズレか〜」

「原石は難しいですよね。ギルドはアーティファクトで鑑定するので精度は高いですが、入ってるのが銅とかだったら売値より鑑定料の方が高くつきますから。かと言ってギルド以外の鑑定だと、屑石だって言われたものが実は高価な魔宝石まほうせきだったりますし」

魔宝石まほうせきってミミックの魔石ませきっすよね。それはヤバ過ぎでしょ!」


カニクリームコロッケの言葉にマリが笑う。


「あはは、魔宝石は鉱山でも見つかりますよ。魔石と魔宝石はちょっと違うんです」

「えー!?」


カニクリームコロッケが大袈裟なリアクションを取る。流石は配信者、ノリが良い。

コガ・シノビの方はどちらかと言うとクールキャラなので黙っていたが、内容には興味を引かれたので静かに耳を傾けていた。


「簡単に言うと魔石はモンスターの胃石みたいなものです」

「そうだったの!?」


今度は素で驚いたカニクリームコロッケが話の続きを強請ねだる。マリは「正確に言うと胃石ではありませんが……」と説明を始めた。


「体内にできる石にも種類がありますよね。胃にできれば胃石、尿道にできれば尿路結石。魔石は魔蔵まぞうという臓器に出来るので魔石という名称なんです」

「ほぇ〜、知らんかった……」

「そして魔宝石まほうせきとは魔力を多く含んだ宝石のことです。つまり、モンスターの体内に出来るのが魔石で、宝石が変化したのが魔宝石です」


ふんふんと興味深く聞いていた二人だったが、今まで沈黙していたコガ・シノビの方が不可解そうに口を開く。


「ならミミックの魔石が魔宝石なのは?」

「良い質問ですね。ミミックは非生物系のモンスターなので魔蔵を持たないんです」


空気中に散っている魔力は魔素まそと呼ばれ、魔素が多い場所を魔素溜まそだまりと呼ぶ。

坑道をモンスターが住処にしたり、鉱山がダンジョン化したり。何らかの理由により宝石が魔素溜まそだまりに長期間置かれていると、稀に宝石が魔力を帯びて魔宝石となる場合があるのだ。


この性質を利用して人工的に魔宝石を作ろうとした貴族が領地内のダンジョンに宝石の詰まった宝箱を設置した結果、宝箱自体がモンスター化してしまうという事件が大昔にあったらしい。


しかもこのモンスター化した宝箱、なんと繁殖するのだ。管理されていたダンジョンから脱走した個体が別のダンジョンで繁殖し、現在ではミミックという名称で王国全域に生息している。

肉体が無いのにどうやって繁殖しているのかは謎だ。


「ゴーレムなどの魔蔵を持たない非生物系のモンスターは魔石ではなく魔宝石が核になっています。まぁ大抵は不純物の多い屑石で宝石としての価値が低いため、一般的には魔石として扱われていますが」


しかしミミックは宝石としても価値のある魔法石が核になっている。しかもカット済みだったりアクセサリーに加工されていたりする場合も多い。

出現頻度が低い上に素早い動きと転移魔法であっという間に逃げてしまうミミックだが、一攫千金を狙い血眼になって探すプレイヤーもいるようだ。

だいぶ期間が空いてしまいました。

書きたい時に書くので頻繁に更新するかは分かりませんが、エタらないようにのんびりペースで書いていきます。

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