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妻と始めるほのぼの闇堕ち錬金術師VRMMO  作者: hama
第二章 第一回闘技大会
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第一回闘技大会 本戦4

技名はジェネレータをお借りしています。

呪文詠唱も探しているのですが中々見つからず、どなたか使用フリーの呪文詠唱ジェネレータをご存知の方がいましたら教えてください……。

《間もなく本戦Bブロック優勝者対Cブロック優勝者の試合が始まります》


待機室の空気に耐え切れなくなりそうだったマリがほっとしたように立ち上がる。ほっとしてるとこ悪いんだけど、試合が終わったらまた戻ってくる事になるよ。



カウントがゼロになって視界が切り替わると対面に和風な女性が現れた。先ずはあの扇が何系統の武器なのかを調べなくては。


集中している様子を装って瞼を閉じ、一呼吸おいて鑑定スキルを発動させ扇を注視する。



ーーー


【宝扇:緋色ノ金糸雀】

ステータス:魔力+26

属性:風

追加効果:なし

重量:6


ーーー



(いや分かり辛ッ!? プレイヤーメイドか……!)


盲点だった。プレイヤーメイドの装備は製作者が自由に名前を変更できるので、例えば鉄の剣に『ひのきのぼう』と命名する事もできるのだ。


(しかも職業は『中級錬金術師』と『中級鍛治士』……尚更判らん)


しかし判った事もある。


(防具は追加効果なし、ステータスは魔力極振りか)


属性武器かつ魔力特化の紙装甲なので、相手は恐らく遠距離攻撃系のプレイスタイルだという事だ。属性武器は同系統の魔法やアーツを底上げする性質がある。

武器は派手なのに防具が軽装なのは総重量の兼ね合いだろう、筋力値がかなり低いので扇と着物の他にはイヤリングを着けているだけだ。


ならば相手は接近戦を嫌がる筈。開始と同時に魔法攻撃が飛んでくると思われるので、初撃を避けつつ試合開始と共に距離を詰めて接近戦に持ち込もう。



《それでは、試合開始!》



「我が敵を薙ぎ払え、『神旋』!」


(呪文詠唱!? 学院の連中か……!)


大きく振った扇から不可視の斬撃が放たれるが、僕には『魔力視』があるので足元を狙ったそれをタイミング良く跳んで避ける。


聞き慣れないアーツらしき技名の前に「我が敵を薙ぎ払え」という台詞があったが、魔法学院に入学すると『呪文詠唱』というアーツ発動前に呪文を詠唱する事で魔法の威力を上げるスキルを取得できるらしいので、それだろうか。


「くっ、『散烈断』!」


今度はサイズが先程より小さいが三十は優に超える風の刃が飛ばされる。とは言え狙いが集中しているので、スッと二メートル程横に移動すれば全く当たらない。


一気に距離を詰めてアイスピックを突き刺そうとした時、相手の口がにやりと笑った気がした。不穏な物を感じたが引き戻せる余裕も無いのでそのまま振り抜く。



「かかったわね」



パキン、と軽い音を立ててアイスピックが破壊された。


(しまった!)


咄嗟にバックステップを踏んで間合いを取る。

よく見ると相手のイヤリングも片方だけ壊れていた。恐らく武器を破壊する効果を付与した魔道具だったのだろう。


(相手を過小評価してたな……もう一度詳しく鑑定しておくか)


さり気なくステータスを確認して、気付く。


(『呪文詠唱』スキルどころか、魔法スキルすら無い!?)



「『空覇衝』!」


驚きのあまり思わず動きが止まる。その隙に地面に突き立てられた扇が起こした凄まじい衝撃波で、僕の体がぽーんと空高く打ち上げられた。


「なっ……!?」

「空中では動けまい! 『神旋』!」


追い討ちのように放たれた攻撃は【忍耐の指輪】が身代わりになって引き受けてくれた。どうやら衝撃波自体にはダメージが無かったようだが、このままでは地面に叩きつけられて落下ダメージを受けてしまう。僕の防御値では致命的だ。


地面に向かって爆薬を叩きつける。


「きゃあッ!?」


爆風で落下ダメージを減らし、着地と同時に回復ポーションを被る。幸運な事に相手は至近距離の爆発で吹き飛ばされたようで攻撃も止まっていた。なんとか持ち堪えたな。


慌てて起き上がる相手に爆薬を投擲する。


「甘く見られたものね……『鏡月舞』!」


扇がバサリと広がって、投げた筈の爆薬がそのまま跳ね返されて戻って来る。『リフレクト』と似たような技だろうか?

しかしマリとの模擬戦でリフレクトに慣れている僕には効かない。爆薬を避けて距離を詰める。


先程打ち上げられたのは技の有効範囲に居たからだ。しかし逆に距離を取り過ぎれば跳ね返される。

ならば、超至近距離ならどうだろうか。


これは僕の推測だが、技自体はノーダメージという事はフレンドリーファイアが起こらないので、あれは自分も巻き込まれてしまうタイプの技だと思う。

先程は間合いを取ってしまったのが逆に悪手だったのではないだろうか?


──つまり、接近戦をするしかない。



走る。



アイスピックは壊れている。

投擲武器も攻撃力こそ低いが持ったまま戦えるので、ホルスターから指の間に挟むようにして引き抜いた三本の棒手裏剣をそのまま握り、拳から爪のように突き出させた。

このまま殴れば攻撃力は三倍になる。剣などの攻撃力の高い武器には遠く及ばないが、武器を振るう速度より拳を打ち込む方が速いので手数で補うしかない。


(狙うは、急所……!)


首は殆ど全ての生物系モンスターや人類共通の急所に設定されている。急所への攻撃は確定でクリティカルが入るため、狙って殴ればダメージがさらに加算されるのだ。


突出した能力値に任せた速度で一気に距離を詰め、躊躇なく振り抜いた拳が狙い過たず喉を穿つ。


「くぅっ、『空覇衝』!」

「! またか……失礼します」

「ひっ!?」


どうやら至近距離でも発動できるらしい。

女性に対して申し訳ないが、一応一言断りを入れて喉をガッと掴み遠慮なく巻き込ませていただく。


再びぽーんと打ち上げられたので先程と同じく地面に向かって爆薬を投擲し、続いて喉を引っ掴んだ対戦相手も投げつける。着地は勿論その無防備な腹を思いっ切り踏みつけてだ。

これで爆風や落下のダメージをかなり軽減できた上に、相手のHPはミリ残りとなった。


「ど、きな……さいよッ」


腹を靴底で踏みつけたまま立ち上がり、脳天に棒手裏剣を投擲する。相手は僕をキッと鋭い眼差しで睨みつけたまま光となって消えた。

とん、とクッションが無くなった地面に降り立つ。



《勝者、コーエン!》



待機室に戻されたので対戦表を確認すると、今の試合結果がもう反映されていた。それによると先程の相手は二連敗だったようなので、実質次の試合が決勝戦となる。

マリ達の対戦表も見たが、そちらはまだ勝負がついていないようだ。


「勝ったんだな」

「うん、次で最後だから頑張らないとね」


同じく対戦表を見ていたらしいケイが声を掛けてくれたので言葉を返していると、ユキが取り乱した様子で待機室に転送されて来た。マリは居ないが、まだ戦っているのだろうか?


「大変だ! マリオンが強制ログアウトになりましたって通知来た! パルス……ナントカがどうのって」

「はぁ!?」

「分かった、すぐログアウトする」


動揺しているユキの言葉は要領を得ないが、マリに何かあったという事は分かる。ベッドに行く時間も惜しいのでソファーに横になったのと、無機質なシステムメッセージが流れたのは同時だった。



《間もなく本戦Aブロック優勝者対Cブロック優勝者の試合が始まります》



構わずウィンドウを開く。一分一秒が惜しい。


「コーエン様には次の試合が……」

「家族の健康の方が大切です」

「お待ちください! 今ログアウトすると試合は棄権となりますよ!?」

「棄権します」


スタッフの静止を切り捨ててログアウトを強行する。


「ログアウトするのは他の方でも──」


ゲーム内の音声が遠くなっていき、自室のベッドで目を覚ます。ヘッドギアを脱ぎ捨てて起き上がり、マリの部屋へと走る。


「マリ!」

「……コウ?」


VRカプセルの中から半身を起こしたマリが、緩慢な動きで振り返った。

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