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妻と始めるほのぼの闇堕ち錬金術師VRMMO  作者: hama
第二章 第一回闘技大会
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第一回闘技大会 本戦2

今日は本戦二日目。昨日とは違って観覧席にはNPCがまばらに座っている。

どうやら勝ち上がるほどに観客が増えていく演出のようだ。


(とりあえず鑑定……)


昨日の学びを活かして試合の前に対戦相手の魔女っぽい女性を鑑定しておく。


試合前の鑑定は本当に有利だ。

他の人の試合は大会が終わって動画化されるまで見れないし、今回は初めての大会で事前情報も碌に無いため特別有名なプレイヤーでもなければプレイスタイルが判らない。

試合直前とは言え僕だけが一方的に情報を得られるのはチートを使っているようで少し罪悪感もあるが、仕様なので使える物は使っていこう。


職業は『中級魔法使い』と『中級神官』、しかし回復スキルがレベル2なので魔法特化型の戦闘スタイルと思われる。ステータスは魔力が特に高いが多少は精神にも振っているか。


(王道の魔法使いって感じかな)


爆薬は魔法攻撃の分類だから効き辛いし、同じく状態異常も精神値が高いと抵抗されやすい。やはりここは炸薬の出番だ。



《それでは、試合開始!》



「『エアカッター』!」


開始と同時に飛んで来た風魔法をするりと避けると共に炸薬を投擲。

風魔法は『隠密』などのスキルを併用するとかなり見え難くなるが、今回の相手は魔法系のスキルばかりなので緑の半透明の刃がハッキリと見えている。風魔法のもう一つの利点である発射の速さも、コウの速度値を持ってすれば至近距離でもない限り問題無く避けられる程度だ。


炸薬を投げつけられた相手は咄嗟に腕でガードしたようだが、パリンと軽い音を立てて砕けた小瓶から溢れた液体が鋭い棘へと一瞬で変化する。


「なっ……『浄化』!」


デバフかと勘違いしたらしく解除を試みたようだが、それは焚火に触れればダメージを受けるのと同じで『フィールドに存在するオブジェクト』によるものなので浄化スキルは効果が無い。そして無駄な抵抗をしている間にも継続ダメージを受けてHPがじりじりと減っていく。


「『ヒール』『エアカッター』! くっ、また……!?」


再び飛ばされる風の刃を避けつつ炸薬を纏めて投擲する。回復魔法で炸薬のダメージをカバーしようとしているようだが、さらに二本追加されて計三本となった継続ダメージに回復量が追いついていない。


「『ヒール』、『ヒール』……!」


こうなれば後はジリ貧だ。炸薬の効果は数分だがMPが尽きるまでは持つだろう。


「『ウィンドボール』『ウィンドボール』『ウィンドボール』……ッ!」


唯一の勝ち筋はHPが無くなる前に相手を倒すこと──なら回復を諦めて一発逆転を狙った攻撃をするのは簡単に予測できた。

連発する為に初級魔法にしてMPの消耗を抑えたのは良い判断だったと思うが、事前に予測していたので乱れ撃ちされる魔法も難なく回避する。


HPもMPも尽きた相手はそのまま光に変わった。



《勝者、コーエン!》


歓声を受けながら待機室へと転移すると、他の三人はまだ待機室に戻っていないようだった。

今日は二試合行うのだが、開始予定時刻はまだ先なので一人だとかなり暇だ。ひとまずソファーに座ってトーナメント表を確認する。


(あ……闇魔術師の人、負けたんだ)


彼は勝ち上がると勝手に思い込んでいたので少し意外だったが、次は闇魔術師に勝った人と当たるのだ。彼よりさらに強い相手なんて大丈夫だろうかと少し不安になる。

しかしその人に勝てば三位以内への入賞が決定するのでここが踏ん張りどころだ。


(竜人か……確か魔力と筋力が高い種族だったな)


攻撃特化で使い勝手は悪いが上手く嵌れば強い、所謂ロマン種族というやつだ。その後も暫くトーナメント表を眺めていたが、顔写真から読み取れる情報はそう多くないので特に新しい発見は無かった。



「早いな」

「お疲れ様。待ってたよ」


暇なのでいっそ外に出て時間を潰そうかと考えているとケイが戻ってくる。


「あーくそ、負けたわ」

「そっか……残念だったね」


どさりとソファーに座って背もたれに両腕を投げ出し、悔しがっているのか天を仰いでだらけている。吟遊詩人のソロで本戦に進んだのは充分凄い事だと思うが、それを錬金術師のコウが言ってもケイは余計に悔しがりそうだ。


「ただいま〜」

「ギリギリ勝った!」


マリとユキも戻ってきたが、そちらは何とか勝ち進んだようだ。


「おー、おかえり。俺は二回戦敗退」

「ありゃ残念……まぁレベル50はガチ勢だろうからねぇ。コウは?」

「僕は勝ったよ」

「おお! おめでとう!」


次の試合まで後三十分以上あるので皆でのんびりと会話を楽しむ。マリ達はダブル盾士という防御特化ペアに当たって大変だったらしく、最終的に時間切れまでユキの回復ゴリ押しで残存HPの量により判定勝ちとなったそうだ。

ケイは不運にも普段組んでる配信者仲間の忍者と当たってしまい、プレイスタイルが筒抜けな上に戦闘面での相性も悪すぎて完敗だったらしい。


「撮れ高無ぇから、いっそ俺の配信でお前らの動画流すかな」

「どうせ本戦は公式アーカイブで配信されるから別に良いよ」


ケイの配信なのに本人が出てなくて良いのかという疑問はあるが、どちらにしろ公開されるので配信自体は好きにして貰って構わない。


「俺はそもそも配信に乗っても気にならない派だし」

「私も公式に無料で使われるなら、ケイのチャンネルで広告料とってほしいわ」

「動画の広告料ってそんなに大した事ないから期待すんなよ」


ユキとマリも許可したので、ここから先は撮影しながら試合に臨むこととなった。

撮影自体はメニューに録画機能があるのでそれをオンにするだけで済む簡単設定だし、動画編集はケイがやるので後で録画データを転送するだけで良い。本当に使うかどうかはケイに任せる。



《間もなく本戦第三試合が始まります》


喋っている内に時間が来たようで、どこからともなくアナウンスが聞こえてくる。転送されるのにも慣れてきたので鏡に映し出されるカウントダウンが少なくなった頃、何も言わずに立ち上がってその時を待つ。


カウントが0になり視界が切り替わる。

闘技場の反対側に立つ竜人を視界に収めると素早く鑑定した。


職業は『火魔術師』と『大剣使い』、ステータスは竜人らしく魔力と筋力に偏った攻撃特化。速度と防御にもそれなりに振っているが、その分精神がかなり低いので魔法攻撃や状態異常には弱そうだ。

気になるのは『大剣使い』なのに杖しか持っていない事だが、魔法だけ警戒させて油断を誘おうとしているのかもしれない。


(このステータスでどうやって闇魔術師に勝ったんだろう……?)


その疑問は試合開始直後に判明することとなる。



《それでは、試合開始!》



開始と共に竜人が杖を担いでこちらに駆けてくるが、距離を詰められれば厳しくなるので爆薬を五本一気に投擲する。──しかしそれを避けるでもなく、彼は杖を両手で高く振り上げて叫んだ。


「『獄炎』!」


途端、ごうっと炎が噴き出す。杖を包んだ火柱が揺らめいて刃を形作り、炎の大剣と化したそれが振り下ろされる。



──ひと呼吸の間を置いて。



何もかも破壊し尽くすような轟音が辺りに響き渡った。

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