表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妻と始めるほのぼの闇堕ち錬金術師VRMMO  作者: hama
第二章 第一回闘技大会
46/91

大楯使い(マリ)

「そういえばホームにピアノあるから自由に使っていいよ」

「そうなの? なら久しぶりに少し弾こうかな」

「俺もバイオリンの譜面さらってからログアウトするか」


コウを含むマリ達四人は元々親戚で家も近いためよく互いの家に預けられており、昔から仲が良く何をするにも一緒だった。マリが何か習い事を始めた時コウも着いて来て、それを聞いたユキとケイも一緒にやりたがるというのが幼い頃のいつもの流れだったので、四人ともピアノとバイオリンを習った事がある。


ただしマリは身体能力に恵まれていないのでバイオリンは早々に諦めてチェロに転向したし、ピアノはスローテンポの曲しか弾けない。優雅に見えるバイオリンだが弾く姿勢を維持するには筋力が必要で、ピアノも小さな手では離れた鍵盤を叩くのも一苦労なのだ。


「チェロもあるんだよ。ケイも弾くなら一曲合わせられるように練習したいな」

「それも良いな」

「えー俺ももっと上手ければ一緒にやれたのにな……」


ユキはすぐに飽きたためピアノは簡単な数曲を弾ける程度で、バイオリンは一年かかって音を出せるところまでは行った。

逆にコウはピアノに時間を割くためバイオリンの方はすぐに辞めたが、ピアノが趣味となり嘗てはコンクールで入賞した経験もある腕前だし、辞めた今でも電子ピアノを偶に弾いている。


ケイに至っては演奏の楽しさに目覚めて音大に入るほどになった。基本的に弦楽器が好きで、ピアノやバイオリンの他にもギターやベース、本格的ではないとは言えビオラやチェロなどにも手を出している。


「『演奏』スキルがあれば全く経験無くてもアシストされてそれなりの音になるぞ。譜面も簡略化されたものになる」

「そういえばケイは戦闘の時に一音しか鳴らしてなかったよね。あれもスキルの効果?」


その話はマリも聞きたいと思っていた。

吟遊詩人は戦闘中に歌ったり演奏したりする必要があるのでキャラクリの候補に挙げなかったのだが、たったあれだけの動作で強力なデバフを付与できるのであればかなり強い職業だ。


「ああ。最初の内は一節弾くんだが、スキルレベルが上がるにつれて短くなるんだ」

「じゃあスキル上げさえしてれば楽器初心者でも大丈夫なんだね」

「初心者どころかアシスト機能使えば譜面も音ゲーみたいに表示されるから、楽譜が読める必要すら無いがな。ただ、アシスト無しの方が効果が高くなる」


なら最初はアシスト有りから入っても、段々練習して上達していく人もいるのかも知れない。もしかして、吟遊詩人じゃない相手にも『演奏スキルを付与した楽器』は『音ゲー仕様で演奏できる楽器』として需要があるのだろうか?


「まぁ俺は吟遊詩人じゃないし普通に練習しようかな」

「音ゲー仕様じゃなくても、譜面を簡略化すれば音が少なくなって弾きやすくなるぞ。付与してやろうか?」

「それならバイオリンを弾きたいな。昔は辛うじて音を出せる程度だったから……マリ、バイオリンは無いの?」

「ごめん、今度買っとくわ」


新たな商機に考えを巡らせていると、ユキから急に話を振られたので慌てて答える。マリもコウもバイオリンはそれほど得意じゃないので用意していなかった。

せっかくなのでコウに頼んで『演奏』が付与されたバイオリンを作ってみようか。確かスキュラのレアドロップに演奏スキル付きの爪があったはずだ。


「いやそこまでしなくていいよ」

「俺のバイオリン貸してやる」

「え!? いいの……?」


マリも驚いて思わずケイの顔を見た。

たとえ信頼できる相手でも自分が大切にしている楽器は絶対に貸さないという者は多く、ケイも普段誰かに楽器を貸す事は無い。かなり昔に少し習った程度のユキになら尚更だ。


「VRならデータ上に存在してるだけだから音が変わる事も無いしな。なんなら俺のソフトに入ってる楽器好きに使っていいぞ」


ケイは『楽器大全VR』というストーリーを進めて楽器を集める音ゲームをダウンロードして、弦楽器以外にも片っ端から楽器を試してみたらしい。

現代ではVR技術が発達して楽器を買わずとも気軽に演奏できるようになったので、最初にソフトさえ購入してしまえばいくら範囲を広げても手入れの手間や維持費が発生しないのだ。


「ユキが使わなくても演奏スキル付きの楽器を作れないか試すつもりだから、バイオリンは買うよ」

「バイオリンって安くても二万Gだろ。流石お嬢様だな、金銭感覚バグってんのかよ」

「弟なんだからケイもマリと同じでしょ……」

「俺は誕生日プレゼントに防音室を強請ったりしない」


実はマリの父の実家は地元の名家なのだ。父は次男で実家を出ており、マリ自身は分家にあたるとは言えお嬢様育ちと言えなくもない。

割と家が裕福だったので好奇心旺盛なマリはピアノとバイオリンの他にも、演劇、声楽、デッサン、水泳、柔道、算盤、フラッシュ暗算など様々な習い事をさせてもらった。

飽き性でもあるのでその殆どはすぐに辞めてしまったが、新しい事に挑戦するのが凄く楽しかったので好きにさせてくれた両親と、孫娘の望みを叶えんと絶対的な味方になって組み立て式の防音室までプレゼントしてくれた祖父にはとても感謝している。


「強請った訳じゃなくて欲しいか聞かれたらから欲しいって答えただけなんだけどなぁ」

「だとしても普通は遠慮するだろ」

「なんで? くれるって言うんだから貰っておけば良いじゃん」

「そういうとこだぞ。習い事も次々変えやがって」

「それは皆同罪じゃないかな……」


それにケイやコウが音楽に目覚めたように、ユキもまた水泳と柔道を長く続けていたので、人生において楽しめる事が増えたのは良い事なんじゃないかと思う。


「まぁお祖父様が気にして無いんだから良いんじゃない?」

「爺さんはマリに甘いからな……」


ユキの取り成しで話を終わらせる。ケイはマリの防音室が羨ましくて度々このような駄々を捏ねるのだが、お祖父様は孫娘以外にはプレゼントする気が無いのでこの件は堂々巡りである。


「結局バイオリンはどうすんだ?」

「なら今日だけケイのバイオリン使わせてもらおうかな」

「私は転職条件満たしたから教会でジョブチェンジしてくるわ」

「いてらー。俺も明日行こう」


ホームを後にして教会へ向かう。夜のエストはランプの魔道具や仕事帰りの坑夫達が持つランタンの光がそこら中にあるので綺麗だが、少々治安が悪いので酔っ払いに絡まれないように気を付けなくてはならない。

現実ではこちらが気を付けたところで回避できない酔っ払いだが、ゲーム内では一種のイベントのためうっかり目を合わせなければ話しかけて来ないから安心だ。


表通りを抜けて教会に入る。夜は大抵無人の教会だが、祭壇は夜も使えるので転職はいつでも可能なのだ。

祭壇に触れながら転職を願うと、転職可能な職業一覧のウィンドウが表示された。



ーーー

 

・盾士 → 大楯使い

・農家 → 闇商人

・農家 → 商人

・農家 → 中級召喚士


ーーー



(えっ……闇商人!?)


なんかとんでもない職業をおすすめされた。


(考えられるのは、商業ギルドを通さずに露店開いてる事ぐらいか……? でも敷地外のフィールドでやってるから指名手配はされてないんだけどな)


前の職業に戻す事も可能なので闇商人になってみてもいいが、大会を控えているのでもし問題が起きたら困る。それに闇商人は分からないが商人の方は戦闘職ではないので、闇商人も似たような感じではないだろうか。


(テイムと牧畜も出来るだけ上げたいしな……)


職業ごとのスキルは転職するとスキルレベルが上がらなくなるのだ。スキル自体が消える訳ではないので使用は可能であり、元の職業に戻せばまた上がるのだが、闇商人にそこまでして検証するメリットがあるのかは分からない。


(まぁ後で考えればいいか)


とりあえず盾士は大楯使いに変えておく。

闇商人については明日他の皆に知ってるか聞いてみよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ