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妻と始めるほのぼの闇堕ち錬金術師VRMMO  作者: hama
第二章 第一回闘技大会
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マリとの合流(ユキ)

連絡してから二十分ほど経っただろうか。教会に戻ってオバチャン達に絡まれているとマリが迎えに来た。


「お待たせ。待った?」

「いや今来たとこ」


定番の返しをしておく。

そして名残惜しんでくれるオバチャン達の圧に押されながら、なんとかダニエルに別れの挨拶を告げた。

と言ってもダニエルからの連続クエストが途中なので、イベントが終わればまたチップに戻って来るつもりだ。


「ダニエル様、闘技大会が終われば戻って来ますので、その時はまたご指導お願いします」

「ええ、お気をつけて」

「ありがとうございます。行ってまいります」



教会から停泊場に向かう道中には商店街が並んでいるのだが、何故か今日は閑散としている気がする。まぁ俺は動けない怪我人の治療に呼ばれた時しか来た事が無いので気のせいだろう。


「そういえば今日はあそこの雑貨屋で買い物するとポーションがおまけに貰えるらしいよ」

「えっ、さっき行ったけど何も貰えなかったよ?」


この町は物価が低いので丁度素材アイテムを買い込んだところだったらしい。消耗品はいくらあっても困らないので確認のためもう一度行ってみる事にした。


「お会計お願いします」

「お買い上げありがとうございます、こちらはオマケです!」


本当に貰えた。オバチャン情報は正しかったようだ。

雑貨屋を出てマリに報告する。


「うーん、情報を得ている時だけオマケがつくのかな?」

「それか本人じゃないとダメなのかな」

「他に何か情報無いの?」

「えーと……確か酒屋が半額だって聞いたな」


早速酒屋に寄ってみる。今度は俺ではなく、パーティを組んでいる状態でマリが買い物をする。


「嬢ちゃん運がいいな、今日は全品半額だぜ!」

「ではこっちと……これください」

「毎度あり!」


半額になった。


「パーティメンバーがイベントのトリガー引くとパーティ全員に反映されるから、同じ扱いなのかな」

「これも一種のイベントなのかな……セールイベント?」


よく分からないが、今後はNPCの噂話にも耳を傾けてみよう。



停泊場には俺が治療したと思しき人々が出立を見送りに来てくれていた。『思しき』なのは毎日たくさん訪れるNPCの顔を一々覚えていないからだ。申し訳ないがモブは皆同じような顔に見える。


「……すごい人数だね」


マリが引き攣った表情をしている。

俺もちょっと引いている。商店街が閑散としていたのはこのせいだったのか。


感極まったのか涙ぐむ漁師のおじさん達に囲まれて肩や背中をバンバン叩かれながら船に向かう。

ていうかおじさん力強ぇな! ちょっとダメージ食らってるんだが!?


フレンドリーファイアのダメージが無いのはプレイヤー同士だけなのでNPCからの攻撃は普通に通る。盗賊退治のクエストとかがあるらしいので必要な措置なのだろうが、まさか漁師のおじさんからゲーム内での初ダメージを受けるとは思わなかった。浜辺での戦闘も後ろにいたから無傷だったしな。



どうにか抜け出して連絡船に乗ることができた。漸くチップを出発か、長かったな。

ゲームを始めてから現実時間でもう一週間近く経っているのだが、最初の町、それも教会から殆ど出ずに過ごしたのは俺くらいじゃないだろうか?


どんどん小さくなる人集りに手を振りながら海を進む。この連絡船は風魔石を燃料にしている魔道船なので向かい風でもぐんぐん速度を上げていき、あっという間に対岸に着いた。



「山を迂回してキンキッドに向かうよ」

「あの山はボスが居たりするの?」

「いや、初心者向けの採取ポイントだよ。鉱石とかが採れるだけだから今回は行かない」

「了解」


馬車が通れるよう広めに作られた土の道を進む。

ボス戦は無いのだろうかとちょっとワクワクして聞いたが、この山に出現するボスは徘徊型しかいないようで狙って会うのは難しいらしい。


「とりあえずこの辺の雑魚敵と戦って戦闘に慣れよう」

「マリと一緒に戦うのは久しぶりだね」

「あの時とは戦闘スタイルが大分違うけどね」


数年前までは一緒にFPSゲームをしていたが当時のマリはスナイパーだった。運動神経の無いマリが盾役というのは正直不安だが、それでエストまで行けているので多分大丈夫なのだろう。


「動くの苦手だから、今は防御ゴリゴリに上げて全部避けないスタイルで戦ってるわ」


全然大丈夫じゃないかもしれない。


「俺防御低いんだけど」

「だから頑張って庇う練習したいんだよね。この辺の敵は弱いから挑発スキル使わずに戦ってみても良い?」

「分かった。回復は得意だから一撃死しなければ大丈夫だと思うよ」



歩いていると何度かモンスターとエンカウントしたが、一匹ずつ出てくるモンスターだけだったのでマリが守るまでも無く俺の光魔法でワンパンだった。

この辺に出現するのはリトルウルフという小さな狼の他に、草原ウサギという薄緑のウサギか、ファイトバードというキーウィが黄緑になったような姿をした子猫サイズの飛べない丸っこい鳥だ。

リトルウルフの群れで戦闘訓練をしたかったのだが、こればかりは運なので仕方ない。


「思ったよりユキの攻撃力が強いから、このままレベリングしながらエストに向かっても良いかも」

「なら二週間で王都まで行かなきゃいけないから急がないとね。大会までに間に合うかな?」

「間に合わなかったら途中で飛空艇に乗ればいいよ」

「それもそうか」

「キンキッドの東にショートカットできるルートがあるから今日中にエストに着きたいな」

「今日中!? 流石に無理じゃない?」


のんびりとイベントまでの予定を相談していたが、無茶なスケジュールに思わず声が大きくなる。


「そうでも無いよ? キンキッドからサイの町に直接行けば、途中の山村を経由してすぐエストだもん。エスト前の山村ではボス戦があるけど正規ルートでもどうせ通るし」

「いきなりボス戦で大丈夫かな……」

「キンキッドの東でもボス戦はするよ。まぁダメだったら戻って南の草原でレベリングしよう」

「そうだね。様子見も兼ねてとりあえず行ってみるか」


そうこう話している内にキンキッドに到着してしまった。結局リトルウルフの群れとは一度も出会えていない。


「まぁ今練習出来なくても、狼は草原や森林フィールドなら大抵生息してるから大丈夫だよ」

「レベル的には大丈夫かな?」

「雑魚敵は大丈夫だと思うけど、エスト前のボスは取り巻きも多いしキツいと思う。ケイが一緒に遊びたがってたらしいから、手伝ってくれないか連絡してみようか」

「いいね、ケイとも久しぶりに遊びたいな」


キンキッドの宿屋でセーブポイントを更新する。これでもし死んでもキンキッドの教会でリスポーンできるので、そのまま休む間もなく東のボス戦へと向かった。



「あー先客か……」


東の浅瀬に辿り着くと、そこには鎧を着て大楯を構えた大柄な男が居た。恐らくプレイヤーだろう。


「ボス戦は一つ前に開始した人が終わってないと戦闘が見えるんだけど、近づくと別空間で同じ相手と戦えるから待たなくて大丈夫だよ」

「へぇ、混雑しなくて良いね」


相対していたデカい魚のようなモンスターが水の球を吐き出して男に攻撃する。


「『リフレクト』!」

「ギャッ!?」


攻撃が盾に当たった瞬間、バチリと紫電のエフェクトが弾けて水の球が魚に跳ね返る。跳ね返された攻撃をまともに食らった魚は短い断末魔を上げ、光になって消えた。


どうやら別空間に飛ぶまでもなく戦闘が終わったようで、こちらに気付いた男が振り返って口を開く。


「ん……? ボスに挑むつもりか?」

今月中に闘技大会の開催まで行きたいのでサクサク進めます。ちなみに作中は現在七月下旬で、大会は八月上旬です。

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