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妻と始めるほのぼの闇堕ち錬金術師VRMMO  作者: hama
第一章 錬金術師
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飛空艇

コウの現在のプレイヤーネームは『マリー』。マリがゲームでよく使っている名前だ。

このゲームでは同じ名前が使えないので、マリの新しいキャラの方は現在『マリオン』になっている。名前はメニューのアカウント設定で変更できるようだ。


プレイヤーネームは『コウ』にしようとしたが既に使われていて取得できなかった。ありがちな名前なので仕方ない、マイナーそうな『コーエン』にしよう。


「じゃあこっちを『マリー』にして……あっ、マリー取られた!」


流石人気のゲーム。この一瞬で他の誰かに取得されてしまった。

『マリー』もメジャーだしな。


「もうマリオンのままで良いか……」


マリは諦めてそのままの名前で行くことにしたようだ。

その後もメニューの操作方法やこのゲームの基本情報を教えて貰いながら必要な設定を進めていく。



「そもそもマリがキャラを作り直したかった理由ってなんなの?」

「そのキャラは投げナイフをメイン武器にしてるから技術にステータスを割り振ってるんだけど、私の運動神経が無さすぎてね……」


ステータス上げても補正かからなかったのだろうか?

そう思ったコウだが、マリの運動音痴はコウの想像の斜め上を行っていた。


「補正がかかり過ぎて奥の敵を狙って投げても一番近い敵に自動的に当たっちゃうんだよね。補正無しだと見当違いの方向に飛んじゃうし」


ステータス補正は狙いがブレブレだと一番近い敵をターゲットにするようだ。まぁ、人には向き不向きがあるから……。

しかし弓や魔法でも同じ事が起こるだろうから、遠距離攻撃は諦めた方が良さそうだ。


「近接武器や体術は運動神経が物を言うだろうし……残るは盾かテイムかなーって」

「どっちにしたの?」

「両方! だから職業は『農家』と『盾士』にした。モンスターは今からテイムしに行くよ」

「農家?」


『召喚士』もテイム出来るんだけどね、と『農家』との違いを教えてくれる。


まず、どちらの職業も『テイム』を初期スキルで持っており、モンスターを1体テイムすることが出来る。

『テイム』のスキルレベルが上がるとテイム出来る数が増えるが、農家が取得できる『牧畜』スキルは同じ分類のモンスターなら2体でテイム1枠に数えてくれる。

そして『牧畜』もまたスキルレベルが上がると3体で1枠、4体で1枠という風に増えていく。

スキルレベルは10までなので、最終的に召喚士は10体、農家は110体テイムできる事になる。


もちろん召喚士にもメリットはある。

召喚士はスキル『召喚』を取得でき、テイムしたモンスターをカードの中に仕舞っておく事が出来るのだ。

町に入る時にモンスターを連れたままだと拒否される事もあるらしい。

街中でも邪魔にならないし、一度カードの中に入ったモンスターは召喚士の魔力を糧とするようになるため食料が必要なくなり、召喚士のMPを与えればHP回復も出来る。

また、召喚したモンスターへのバフ魔法も取得できる。


「モンスターを連れたまま入れる条件ってなんなの?」

「毒のない小型のモンスターなら大体大丈夫みたい。でも無毒のクモも拒否されたらしいから、門番次第じゃないかなぁ」


意外とアバウトだった。NPCにはAIが積まれているそうだが、門番によって基準が違うのって逆に高度なんじゃないか?


「マリは何をテイムするつもりなの?」

「『キンキッド』の南の草原にポップする出血毒を持つ『吸血ネズミ』にしようと思ってる」

「……毒持ちはダメでは?」

「クモも服の中に隠したら入れたらしいから、こっそり連れてけば大丈夫だと思う」


それは本当に大丈夫なのか……と思ったが、どうやら法的にはテイムモンスターの入場制限自体は無く、人を襲えばテイムしている人の責任として処罰されるらしい。

入場拒否されるのは住民が怯えないように自治組織の裁量で行われているようだ。


「そもそも毒持ちのネズミ自体が珍しいし、普通のネズミだって思われるんじゃないかな」


『吸血ネズミ』など特定のエリアにしか生息していないモンスターは他地域だとあまり知られておらず、キンキッド周辺でなければバレないだろう、とマリは言った。


「変異種とかあるから全部のモンスターが分かる訳じゃないけど、図書館でモンスター図鑑を借りれば大まかな分類と生息地が載ってるよ」


へぇ、図書館があるのか。

まだ行ってないエリアの情報も見れるのはゲーム的に大丈夫なんだろうか。


「他の町だと無かったり、あっても蔵書が少ないみたい。この町は研究職が優遇されてるから情報が集まりやすいんじゃないかなぁ」


しかしこの町では図書館に入るために町への貢献がある程度必要らしい。情報というアドバンテージを得るにはそれ相応の努力が必要なのだ。



そうこう話している内に目的の場所に到着する。

ごうんごうんと低い音を立てながら浮かぶのは、横長の生成りの気球に銅色の船を吊り下げたような飛空艇だ。


「ここから今まで行ったことのある町に飛べるんだよ」

「なんか初期の苦労を飛ばして便利なところから始めるの申し訳ない気もするなぁ……」

「エストまでは大して苦労しないよ。飛空艇のパスを買う資金集めは大変だったけど」


二人分なら倍の資金が必要だったのかと思ったが、共有資産にしたお陰でクランに所属してれば誰でも乗れるため一人分で済んだようだ。


「今更だけどクランって何?」

「んー、サークルとかクラブ活動みたいな感じかな」


クランに所属していると資産を共有できたりグループチャットを送れたり、あとは同じクエストを一緒に受けれるようになるらしい。

メニューにはクランだけでなく『パーティ申請』という項目もあった。こちらもクランと殆ど同じだが、六人までしか所属できない。

また、パーティメンバーは活動ログが共有されるためメンバーが今どんな状況か大体把握できる。この機能がクランに無い理由は、恐らく大人数のログを共有すると通知が煩くなるからだろう。

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