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妻と始めるほのぼの闇堕ち錬金術師VRMMO  作者: hama
第一章 錬金術師
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女子高生

「ユキ遅いねぇ」

「伝言板も見てないようだし、何かあったのかな……」


キンキッドの町に着いてすぐに伝言板を確認するも、ユキからの返事はまだ来ていなかった。


「とりあえずポーション作って待とうか」

「助かるー。手持ちの分無くなっちゃったよ」


農家は召喚士と違ってモンスターを回復するスキルが無い。農家がテイムモンスターで戦うならポーションが大量に必要なのだ。


冒険者ギルドの2階でさくさくと下級ポーションを錬成する。


「やっぱりユキの様子見に行くことにするわ。このゲーム勧めたの私だし、変な所で詰んでたら可哀想だもん」

「じゃあ僕は行き違いにならないように此処で待ってるよ」

「ありがとう。捕まえたばっかの猫連れてくの不安だから預かって貰ってても良い?」

「いいけど飼い主不在でもシステム的に大丈夫なの?」

「よっぽど好感度下げてなければお留守番もできるから大丈夫だよ。でもNPCに怒られるかもしれないから飼い主のフリしといてくれない?」

「分かった。そのくらいなら問題無いよ」



マリが1階に下りて行くのと入れ違いでエルフ女性2人組のプレイヤーが上がって来た。

軽く会釈して錬成に戻る。


(簡易錬成だとすぐに終わってしまうから、手作業で中級ポーションを作ろう……)


ポーションの等級や効果は【使用した素材】と【調合の方法】と【技術ステータスの数値】で決まる。

今回は『アルニカ』に加えてポーションの素材『ヒソップ』を採取できたが、他人の居る場所で効果の高いポーションを作って絡まれたくないので、試行錯誤するのはエストに帰ってからにしよう。


ちなみに錬成のスキルレベルが高いとスキルやアーツの成功率は上がるが、等級とは無関係である。

しかし、どんな職業でもスキルはクエストの発生に関わる場合があり、スキルレベルが低いと起こらないイベントも多いそうだ。



とろとろぽたん、と漏斗に注いだ薬液が落ちていく。


隣の作業台を使っている女性達は何やら盛り上がっているが、こちらに気を遣う心もある様で小声でやり取りしている。

盗み聞きをするつもりは無いが、学校がどうのとか聞こえるので学生のようだ。王都には魔法学院もあるらしいが、まだ第2の町で話題にする可能性も低い。

仕舞いにはウチは女子高だからとか何とか話している。


(……知らない人間がすぐ隣に居るのに、よく身元が割れるような話が出来るな)


彼女達はインターネットリテラシーという言葉を知らないのだろうか?

危機管理能力が死んでいるとしか思えない。

だが心配してやる義理も無ければ、注意してやるほどお人好しでもないので放っておく。



ビーカーに溜まった薬液を試験管に移してコルク栓を押し込む。


「『錬成』」


1本ずつ錬成を繰り返す内にMPが枯渇した。

スキルレベルがもう少し上がれば一度に複数錬成できるアーツも手に入るらしい。

細かい作業は苦ではないが、MP消費を減らせるのは助かるので早いところ手に入れたいものだ。



「すみません、ちょっといいですか……!?」


2人組のエルフ女性の、背の高い方が話しかけてきた。

もう一人も一歩引いたところで見守っている。


「何でしょう?」

「あの、その試験管ってどこで手に入れたんですか?」


しまった。

目立たないように気をつけていたのに、保存容器が特注だったことを忘れていた。

この試験管はコウが用意した訳ではなくマリの工房に元々ストックされていた物だ。


一般的にポーションを入れるのは『薬瓶』という小瓶であるが、この試験管は薬瓶と同じ『容器』アイテムの一つで、薬品を入れる容器として使用できる。

マリはエストのガラス工房のNPCと契約して定期購入しているらしい。


バッグやホルダーなどの『収納アイテム』は触れながら目視すると操作ウィンドウが開いて中のアイテムを取り出せるが、戦闘中に取り出すのは難しい場合もある。

だが、ホルダーはウィンドウを開かずとも、アイテムを直接引き抜いて取り出すこともできるので戦闘中でも手探りで使用できる。

試験管は薬瓶よりも長いため、腰の薬品ホルダーから取り出しやすい形状なのだ。


「……これはエストのガラス工房で作っていただいたものですよ」

「エスト? ってどこかな……」

「分かんない……」


ひそひそと会話しているが目の前でやられれば丸聞こえだ。もしかしてわざとやっているのだろうか。


(さっさと解放してもらおう)


「此処から3つ程先のエリアですよ。鉱山があって、錬金術師が多く住んでいる町です」

「3つ先!? えっ、もしかしてトッププレイヤーの方ですか!?」

「すごい、攻略組ってこと……!?」


(昨日初めてログインしたばかりだが?)


「いえ、エンジョイ勢です。攻略組はもう王都に行ってるみたいですよ。エストはその2つほど前のエリアですね」

「でも凄いですよ……!」

「そんな人がどうしてキンキッドにいるんですか?」


背の低い方の女性も会話に加わって来た。

エンジョイ勢だと言っているのだから何処に居たって良いだろう。放っておいてくれ。


(……もしかしてカモだと思われているのだろうか?)


今思えば女子高生だという情報もわざと聞かせたのかも知れない。

このゲームは容姿も性別も変えられるし、本当に学生なのかも怪しいものだ。


(パーティに入りませんか、って言われたら面倒だな。自分の情報は極力渡したくないが、他に組む人が居るのは言った方が良いか……)


「弟が今日からゲームを始めるので、フレンド登録しに来たんです」

「えー仲良いんですね!」



ぽこん。


タイミング良くマリからチャットが届いた。

助かった。このまま抜けて早くユキと合流しよう。


「チャットが来たので少し失礼しますね」


そう断ってウィンドウを開く。

……どうやらユキはイベントが発生していて時間がかかるようだ。


「すみませんが、そろそろ帰ります」

「弟さんから連絡ですか?」


ここで「はい」と言ったら矛盾が生じる。

だが中身がオッサンかも分からない相手に妻の話をしたくない。濁しておくか。


「いえ、弟とはまだフレンド登録できていないので、別の方からの連絡です」

「……あの、もし良かったら私達ともフレンド登録しませんか?」


フレンド登録か。

フレンドはいつでも一方的に解消できるし、しつこく連絡してくるならブロックしてプレイヤーごと見えなくすることもできる。

断って食い下がられても面倒だ。


「構いませんよ」

「やったー!」

「ありがとうございます」



フレンド登録を終えてギルドを出た後、飛空艇の発着場がある浜辺へ向かう。

飛空艇はパスが無いと乗り場自体に入れないので追いかけて来ることも無いだろう。落ち着いたところでマリに連絡する。


〈何か手伝う事ある?〉

〈ううん。しばらくチップに居る。どれくらい時間かかるか分からないから好きなように進めてていいよ〉


(うーん。好きなようにか。僕はマリとは違って明確な目標があってゲームをしている訳ではないからなぁ)


彼女と遊ぶのが楽しいだけで、ストーリーを進めたいという気持ちは薄い。

さて、何をしようか。


〈そういえば何処かの町のクエストがレーティングで変わるんだっけ?〉

〈セイレンだね。そこそこ大きい町だから飛空艇で行けるよ〉

〈そこに行ってみようかな〉

〈了解。また何かあったら連絡するね〉


以前話していたセイレンの町に行くことにした。丁度飛空艇が降りてくる。



上空から見るキンキッドの町は、あっという間に遠ざかっていった。

更新した後に読み返していると、ちょこちょこ誤字が見つかります。更新前に何度も確認したはずなのですが……。

スマホで入力しているため誤字脱字が多いかも知れません。

間違いがあったら誤字報告してくださると助かります!

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