パングラムの限界へ
R15です。ご注意ください。
ごきげんよう。パングラム研究所の博士三郎です。
ワシはこれまで全てを投げうってパングラムに身を捧げてきました。女房、子供に愛想を尽かされても、パングラムの研究を続けてきました。うまくいかず酒に溺れたこともしばしば。FXにも手を出しました。浮かれた時期もありましたが、ビットコインで全てを失いました。
もう、ワシにはパングラムしかないのです。
全てはパングラムの探求のため。いったい46文字でどこまで表現できるのか、
それだけが知りたかった……
そして遂に、完成し、辿り着きました。
パングラムの限界。
目指したものが今、出来上がったのです。まさに最高傑作。
ただ、誤解されるといけないので先に言い訳をさせてもらいます。私が目指したものは文学であり、芸術です。そのようにご覧いただきたいのです。なんとも美しい、工芸品のようです。
擬音や擬態語、あるいは会話や人の声を使っていない。それで描写に成功しています。
ひらがな46文字をそれぞれ1回ずつ使って、これだけの表現ができるのです。
どうぞ、花を愛でるように、蝶を慈しむように、
ご覧ください。
『 パングラムの限界 』
寝転んで寄せ、乳房なぞり、這うキッス。
ほどける身に、歪む視野、目眩。
アワビ濡れたら得物を奥へ――
(ねころんてよせ ちふさなそり はうきつす
ほとけるみに ゆかむしや めまい
あわひ ぬれたら えものを おくへ )
も、もしかして……限界……超えた?