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地獄の石

閻魔大王はその罪人を地獄に落とした。


なんの罪かといえば、殺人だ。 


自分を殺すという罪を起こしてしまったのだ。  


地獄に落とされたその罪人の目の前には、その罪人と同じ罪を犯したものたちが多くいた。だれもが地獄の鬼たちにより強制労働をしいられており、なぜ死んでまで苦しい思いをしないといけないのかと嘆いていた。


その罪人もまた鬼によってもたらされた鍬で地獄の土を耕すように命令された。


拒めば、拷問を加えられた。


ゆえに罪人は土を耕しはじめる。


鍬で土をほり、中から出てきた石をどける。


その石は重い。


片手でもてるほどの大きさだというのに重くて重くて、罪人には持つことさえもできなかった。


早くその石をどけろと地獄の鬼が怒鳴り付けて鞭でうつ。


必死に石をどけようとするもまったく持ち上がらなかった。


なぜ持ち上がらないのかと疑問に思う。


なぜだ。


なぜ?


なぜ?



疑問だけが罪人のなかでめぐりにめぐる。



すると、石から音が聞こえてきた。



音というよりも声だ。



罪人は思わず耳を済ませた。


すると、


それが泣き声だということに気づく。


だれの泣き声なのかとまた耳をすませた。


すると、


ごめんねと謝る声、


どこかで聞いたことのある声だと思った。


ごめんね


ごめんね


気づいてやれなくてごめんね



それは母の声



そして、


父の声だった。


そのとき、罪人は知った。



これの石の重みは


両親の後悔と悲しみの重みということに……。




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