1/14
No.2「被検体 夏木仁」
No.2「被検体 夏木仁」
「ねぇ、起きて…起きてって!」
夢と現実で微睡んで、二度寝してたところをシーツを剥ぎ取り、力の入っていない仁の体を乱暴に揺らす。
意地でも起きたくないが起きるまで続くことはこいつとの長い付き合いで分かってる様だ。素直に従っている。
「……起きた、起きたから、揺するな」
「わっ、オハヨー」
「あー、ハイハイオハヨー」
「もう、相変わらず覇気がないなあ」
「雫が元気すぎるんだよ」
体を起こして伸びをする。雫が制服とシャツを無造作にベットにポイ捨てする。
口を結び、じーっと雫を睨めつける。
服をクローゼットから持ってきてくれるのことに、手間が省けて感謝はしているようだ。けど、その後の行動に不満げだ。
「んじゃ、下でご飯準備してるからね」
抗議の視線で目を合わせてもニッコリと笑顔が帰って来るだけで、こっちの意図は何も伝わってないと悟った様だ。
雫はドアをバタンと優しく閉めて階段を降りていった。
朝は気怠い感じが濃い仁と対照的に元気に騒がしく、エネルギーに満ちている雫。
「今日は曇りか……」
窓から空を見れば厚い雲で覆われていた。