よくある遅刻
入学式のその日
わたしは遅刻した。
「お母さん!!まって!!なんじ!!いまなんじ!!」
廊下に響く虚しい声…
あぁ、、昨日あんな夜遅くまで起きるんじゃなかった…
と心底後悔しつつ最大限早く用意をする
中学生になったからと
気合を入れて切った髪も
そんな髪のためにお母さんにおねだりして
かってもらったヘアーアイロンも
使うことがなくなっちゃった、、、
新しく買ってもらった
自転車だって今日から使う予定だったのに…!
お母さんが起こしてくれないから!!!!!!!!!
なんて思っちゃいけないのはわかってるのに
思っちゃうわたし…
気分は最悪で髪はボサボサ
そんな最低最悪の日に、私は運命の出会いをする。
ーーー
「間にあった…」
全力で用意をした私は
なんとか式には間にあった…
みんなもう集まって先生の話を聞いてるみたいだけど。
同級生が集まって先生が話してる中
途中で教室に行く気にもならないし
あとで合流しようと私は学校探索することにした。
「どこいこっかなぁ」
ぽつり、と呟いた時
グラウンドの方から声が聞こえた
わたしは声のする方に歩いていった
目の前に入ってきたのは
前を向いて汗を流しながら全力で走る
すごくキラキラした先輩だった。
「かっこいい…」
思考回路よりも先に
口から言葉が出ることってあるんだなぁと
割と冷静に分析するわたし。
思えばその時からわたしは
先輩の走る姿に憧れてた。
ゴールをした先輩は
くしゃっとした笑顔で友達に笑いかけていた
その笑顔でわたしはもう恋に落ちてた…と思う
「…?…!! …も」
え、なにあれかっこよすぎる、、
なんであんな笑顔で笑うの…?
えっえっ輝いてる…だれ…だれだあのイケメン…!
「もも!!!!!!!!!」
っ!?!?
名前を呼ばれて振り向くと
小学生の時から仲のいい七実がいた。
「うわっおはよ」
「いや、うわ、じゃないわ。」
そういいながらわたしをこづいて笑う七実。
「もも遅刻。遅刻ですけど?わたし待ってたんですけど???」
「ごめん遅刻だけはしたくないと思ってたら
遅刻していた…」
という謎の言い訳をするわたしの手を
引っ張って同級生が集まってる場所へつれてく七実。
わたしの頭は先輩のことで頭がいっぱいだった…。
誰、、あのイケメンは誰…!
中学校ってこんなにすごいの!?
あんな先輩が存在するの!?
私はドキドキしてる胸を抑えることができなかった。
「っていたい!七実いたいいたい!!」
気がつくと教室に連れてかれていたわたし。
ガラっとドアがあいた。
「おそい」
誰かわからないけど多分教室にいる大人ということは
担任になるであろう先生なんだろう…
「すみません…」
クラスメイトの目が痛い…
初登校初日に遅刻なんて…
わたしの心今日はジェットコースターすぎて
ついていけないな…
「まぁいい、次からはないように気を引き締めてくださいね、あそこの席に座ってください」
窓際の一番後ろだった。
グラウンドが見える。
誰もいないグラウンドに先輩を探すけど
見当たらなかった。
「そりゃそうか…」
「…なんかいった?」
七実はわたしの前の席だった
「うんん、なんでも」
先生が何か話してるけど全然頭に入ってこなくて
考えるのは先輩のことだった。
多分、先輩…なんだけど
何年生なのかそれともそもそも中学生なのか、
何一つ分からなくて
だけどかっこいいっていうことだけは確かで
わたしの心は先輩に惹かれてるのも確かだった。