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小さな王国  作者: 猫とサカナ
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1:魔物狩り

 まずは、機械技師の俺がなぜ魔物狩りをしているかを説明しよう。


 結論から言うと、「金がない」から。


 俺はさっきの話で云った通り、スギノキ村で暮らしているわけだが、ここが本当にド田舎なわけだ。王都の近くだったら話は別だが、ここで機械なんてものを使う人数は限られてる。

 経済的にも豊かなわけでもないし、第一「機械なんて使わなくたって事足りる」ってのが、ここの村人たちの考え方なわけで。

 そんな村で機械技師を生業にしてる俺が悪いのはわかってる。

 ……けど、とりあえず客が来ない!

 客が来ないから儲けもしない。儲けがなかったら生活もできない。じゃあ、どうするか。


 そんなわけで始めたのが、魔物狩りってわけ。


 なら、魔物狩りは金になるのかってきかれると、なるんだよなぁ、これが。

 魔物には国からの懸賞金がかかってる。

 安全面への配慮からってことも勿論だけど、巷では「魔界からのスパイ駆除」なんて云われている。

 

 世界はどうやら2つあるらしい。

 ――人間界、そして、魔界。

 言い伝えをもし本当に信じるならば、魔界は「憎しみの神」が壊してしまった最初の世界。

 人間と神々が去った後も、空間としては存在し続け、挙句「憎しみの神」が新たに創り出したのが、魔物。

 馬鹿げているとは思うが、俺が生まれる数年前まで魔界と人間界は戦争していたと云うのだから信じざるを得ない。

 しかも、肝心の魔界の場所というのが特定されていないのだから、本当に別世界が存在するのかもしれない。


 だが、俺はそんなことに一切の興味はない。

 魔物が魔界からのスパイだろうが、国が魔物を集めて研究をしてようが、俺には関係ない。

 ただのんびり、平和に暮らしたい。そのためには金が要る。

 だから俺は今日も、魔物を狩る……はずだった。


(いやー、まさか人間がかかるとは……)


 山にはたくさん魔物用の罠を仕掛けていた。

 勿論、人間が引っかからないように、分かりやすい罠を仕掛けるというのが暗黙の了解で、今回のも簡易な罠であるはずだった。


(ふつう、山の中で魚が落ちてても食わねーだろ!!)


 目の前で気絶する青年。相当、腹がへっていたのだろう。

 魚には少量の毒を混ぜていた。毒といっても睡眠薬みたいなもので、命に関わるほどではない。

 よく青年を観察してみたが、見かけない顔であるから、この村の者ではないのだろう。


(だからって、放置するわけにもいかねーしな)


 今日のところは、諦めるしかないようだ。


 本日の収穫……青年1人。

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