モノマネ芸人異世界に行く
アラフォーのベテラン芸人が異世界転生
モノマネ芸人異世界に行く。
僕の名前は小早川 一。
高校2年冬の17歳で素人モノマネ番組に出演し、運良く優勝し、芸能事務所にスカウトされ芸能界デビューと華々しい生活を送っていた、しかし人生はそんな甘いものでは無い。
3年後には芸能界を干される事になる。大物演歌歌手をパロってからは仕事が全くなくなってしまった。
たまに入る営業とバイトで食いつなぎ芸歴20年を越えベテランと呼ばれるようになっていた。
「えっサプライズ?ドッキリ?カメラはどこどこ」と探すが見当たらない。
38歳の誕生日を一人寂しくバイト先のコンビニでケーキと酒を買って家に帰るための川を渡った所で、急に景色が変わる。
周りはうっそうとした森の中で、見渡す限り木、木木。
いつもバイト帰り缶コーヒーで一息つく公園があるはずの場所には、一台の馬車があり、何やら揉めているが、それどころでは無いのでスルーと決め歩いていく。
携帯を見ても圏外で壊れたのか、日付は1542年10月10日。
周りを何度見ても同じ景色。
これが異世界転移ってやつか。
神様からチート的なの貰って無いけど…と思いながら、パニクってフリーズする事…数秒。
決意を決め道を聞くため馬車に近づいていくとゲームおなじみの見たまんまの120センチ程の緑色の化物。そうあのゴブリンが馬車をぐるりと囲っている。そして足元には兵士とゴブリン的な奴の死体が転がっていた…。
これはマズイ逃げなきゃ。しかし、ゴブリン達と目が合う、奴らはギャーギャー言いながら襲いかかってきた。
俺は戦闘には自信がないので、取り敢えず逃げる。 ある程度距離ができたら石を拾って投げることひたすらに続ける。腹に命中し、いろいろ撒き散らし貫通したり、近距離でショットガンで頭を撃たれた某ゾンビゲームのスプラッターな状況をみて、どこの剛腕投手だよとチートだよチートと自分にツッコミ入れながら、猛烈な吐き気と頭痛に耐え逃げては投げ逃げては投げを繰り返していた。
一体何匹?何体いるんだ。この際数え方等どうでもいい、生き延びなくては。30匹程を倒したあたりでゴブリンの襲撃が収まる。
そこへ一人の兵士が走って来た。助かったと思うも先程のゴブリン3倍の大きさな奴がその後から走って来た。また投石を開始する…が身体が思うように動かない、これは死んだ、無理ゲーすぎる。
「起きなさい、起きなさい。」と頭に声が響いてくる。目を覚まし周りをみても何もない。延々と白い景色が続いてる…。
んっ、地平線は無いのかと思いながら、先程の声の主を探すが何も無い。起き上がろうなも身体が動かない。何が何やら分からない、これが死後の世界かと思っていると。また声がする。
「異世界の者、我が庭にようこそ、我はガーゼス。この世界を管理し者、神と呼ばれる存在である。」
声の方をみるもやはり何も無い。
これはヤバイ病気か?キチ○イにでもなったのかと考えていると、うっすらと人の様な物が現れた。
「おい、話を聞けえぇぇぇっと言っとろうが」と頭に大音量で響いて来た。
「ハイッ」
「お前正座な、正座!」動かない筈の身体が何故か瞬時に正座ではなく、DOGEZAさせられていた。
「ヨシ」と言う声共に身体が動くようになる。
目の前には金髪ツインテの幼女がいた。そして口の周りにはクリームが付いている、その手には俺の酒とケーキが…。
「えーっと先程の声のガーゼス様はど「我がガーゼスじゃ」ちらに?」
「お前にはそのまま先程の戦闘に戻るか、転生かを選ばせてやろう」
「転生でお願いします、前世ではモノマネの完成度が低く笑いの方に逃げていました、今度は完成度の高いモノマネができるようにして欲しいです。」
「よかろう、先程の戦闘で我が孫が助かった。」
「孫?」
「逃げた兵士だ、それではまた会おう」
その言葉を最後にブラックアウトした。
これからの僕の新しい生活が始まる。