学校へ
「ふぁ~あぁ。やっぱまだ眠ぃな・・・・」
ぼやきながら洗面台に向かって、顔を洗って歯磨きをしていて、うがいをしていると、
「ちょっとお兄ちゃん、早くそこ退いてよ!」
そういいながら俺をどかして、洗顔料やらなにやらを台の下から取り出して泡立ててから顔を洗い出したのは妹の佐藤薫だ。
佐藤薫。一人称は私。身長146㎝(ちなみに俺は169㎝)、体重不明(前に聞こうとしたら死んだと感じるくらいの殺気をだされた。リアルで殺気なんてあるんだと感心した日であった。)スリーサイズも同じく不明(体重とまとめて聞いた。辛い)中学三年生。髪はミディアムロングで、モデルみたいな体型であり、我が家自慢の娘である。(と両親が言っていた。)
とりあえずどかされた衝撃で吹き出しそうになった水をなんとか吹き出す前の一瞬の隙をついて口の中にあった水を吐き出してから言った。が―――――
「お~い、薫さん?俺がまだ使っているんですが?」
「お兄ちゃんは黙ってて」
「・・・・・はい」
俺は素直に退散した。
「と言うことがあってな?酷くねぇかこれ」
「あはははは!それは災難だったね」
「笑い事じゃねぇよ、創」
小松創、一人称は僕。身長153㎝、体重57㎏でスリーサイズは知らない(てか知ってたら普通気持ち悪いよな)。勘が鋭い。見た目は丸い眼鏡をかけていて童顔。そのせいで中学生と勘違いされることが多々あった。この前一緒に映画を観に行ったら中学生料金でこいつは入れてしまって、
「う~ん、悲しめばいいのか安上がりと喜べばいいのか・・・・」
と、凄い複雑な表情をしていたのが一番印象強い、俺の友達である。
そして俺の名前は佐藤錬。一人称は俺。身長169㎝、体重62㎏、スリーサイズは計ったことがないからわからん。そもそも興味がないしな。自分で言うのもあれだが見た目は普通である。もう普通としか言えないレベルの普通さである。中学校のときのクラスの男子に――――
『お前特徴ないのが特徴じゃね!?』
と、言われてしまうほどだ。・・・・・まぁ、言ったやつにはお・は・な・しをしてきたが
「ねぇ、錬、どうしたの?急に苦虫を噛み潰したような顔になったと思ったら能面みたいな顔になってたけど・・・・」
「ん?・・・あぁ、大丈夫だ。問題ないぞ」
過去を思い出していたからかどうやらヤバイ顔をしていたらしい。べっ、別に放送禁止顔まではなってないんだからねっ!・・・・・・ヤバイ。死にたい・・・・・
「うぇっ!?錬!?どうしたの!急に電柱に頭突きしだして!」
「大丈夫だ。ちょっと死にたくなっただけだから」
「それを大丈夫とは言わないよ!?」
「大丈夫だ。頭が痛いだけで」
「そりゃ痛くもなるよ!」
「まぁまぁ、落ち着けって。どうした?急に騒いだりして?」
「君のせいなのにまるで僕が急に騒いでいるみたいになってるじゃないか!」
「えっ・・・・・」
「えっ・・・・・じゃないよ!なにその「えっ?お前気が付いてなかったの?」みたいな雰囲気出さないで!」
「分かった分かった。ほら、そろそろ時間だから行こうぜ」
「はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ。突っ込みで息が切れてきた・・・・」
「だらしないぞ。早く来いよ」
「もとをいえば君のせいだろ君の・・・」
俺は創の小言をスルーしながら学校に向かう事にした。
「はぁ、はぁ、ふぅ。錬が疲れさせるから息が切れちゃったじゃないか」
「わりぃわりぃ」
「・・・・・ほんとに思ってる?」
「思ってる思ってる」
「・・・まぁいいか。これ以上言っても意味がなさそうだしね」
「なぁ、それよりも、あれつけねぇのか?」
「ん?・・・あぁ!あれの事か、すっかり忘れてたよ」
「流石にあれを忘れはしねぇがな」
「あはは、そんなこと言ったって無駄だよ。だってこの前錬はリュックを忘れてきてリュックを取りに行って戻ってきたら今度は勉強道具を入れてなくて全部忘れてくるなんて普通あり得ないからね」
「ばっ、ばか野郎!あれは単純に物忘れだっつの」
「これがほんとの物忘れってやつかな」
「うまい!・・ってうまい分けねぇだろ!?」
「そろそろつけなきゃいけないよ」
そう言われて思い出した。
「あぁ、確かここに・・・・・あったあった」
「僕はもうつけたから先にいくね」
「あっ、先にいくのかよ・・・・」
そう言ってからとりかけていた腕輪を取り出して腕にはめた。
この腕輪は今世紀最大の発明家と言われた博士の川越 由美が作ったもので、全てのバイタルチェックができ、起動させる前はただの腕輪だが起動させると個人登録がされていて、時間や今日の天気、他につけている人を登録して会話もできたり、買い物もできると言う優れものだ。だがしかし、この腕輪をつけることができるのは現役高校生のみとされている。なぜなら開発者が他は嫌だと言ったらしいからだ。従わないなら一切の研究、開発をやめると言い、その博士の開発したものは誰もがほしいと思わせるものばかりなので政府も従ったようだ。
このような経緯があり高校生は必ず腕輪をつけるようにと政府が言ったのだが、つけるのは高校の入り口からという決まりがあり、それ以外では使えなくなっているようだ。
そんな腕輪をつけてから玄関でつけているかをチェックする先生に見せてからさらに起動させるのを見せてから入ろうとした――――――直前にふと足を止めた。
――――――何か違和感がある。
読んでくださりありがとうございます。