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とある元悪役令嬢は野に下る

作者: きつね耳モフモフ

元々はTS変身ヒーロー物を書こうとして練ってた物を寝かしたままにするのが惜しかったのでプロットを弄って短編に仕上げた物です。長編モノにするかどうかは考え中。

とある貴族が人買いからその少女をはした金で買った。

その世界ではそれが当たり前だったから。

剣と魔法が普通のその世界においては、

ほんの少しでも魔力持ちは貴重な存在なので囲われる運命にある。

例えそれが生まれも育ちも良く分からない子どもであったとしても。だ。

 

 その貴族にも家督を継ぐべき子どもは居たが一人であり、

スペアとしても買っておいて損は無かったから、彼女は買われた。

人売りが何処でその子を調達して来たかなんて気にしない。

必要なのは魔力だけ。後は女の子を育ててみたいという欲望、だろうか。


 でも2人目の男子が授かった辺りから雲行きが怪しくなって来た。

だからと言ってやっぱ要らないや。と捨て去る訳にもいかず

スペア以下になり下がったその子は疎まれながらも駒の一つとして生きていく。

首に巻かれた銀の首輪が外れる日は多分永遠に来ない・・・筈だった。


 その日、教養を身に着けさせる為に通わされていた学校で、

卒業式後の余興として婚約者とその取り巻き達の手で謂れなき断罪を下された

彼女の銀の首輪が彼らの宣言によって外された。

義弟が目ざとく拾って新婚約者だかに嵌めてしまったのには呆れたが。


 釈明やら説明やら禄にさせて貰えずに学校から放り出された

彼女に残された物は何もない。せいぜい着古しのお着せだけ。

でもそれでもまさか何時も腕に嵌めていた腕輪まで外してくれるとは思わなかった。

まぁあれだって今の家の備品の一つである事は分かるんだけれども。


 でも、これで私は ようやっと 元ある姿に 戻れる。

あの腕輪、魔封じの腕輪と言って、魔法の授業の時以外は外せなかったのに。

銀の首輪だってそう。あれは『従属の首輪』という一種の呪いのアイテムで。

家に買われた存在である私を勝手に『解放』してしまって良かったのだろうか?


 あんな騒動を人前で演じた挙げ句に新しい恋人役に『従属の首輪』を

嵌めてしまうだなんていう大失態を犯した彼らの将来なんぞは私には分からない。

今分かったんだけどさ。私、・・・どうやら『人間』じゃ無かったらしい。

道理で皆、扱いが悪かった訳だ。いくら封じられてるとはいっても正体がこれじゃね。


 ちょっと濃ゆい茶色毛皮のピンと立ったケモノ耳が頭に生えててさ

お尻のちょっと上から垂れる金色の太めの尻尾と白い筆先が揺れている状況で。

そのお姿はどっからどう見ても『犬』?の『獣人』です。コンちくしょう。

しかも扱いが悪い方の『半獣人』じゃないですかー!?もぅどうしろと。


 まぁこれで元家からも追手とかは掛からないであろう事は確定ですが。

どうやってこれから生きていこう。いっその事、野にでも下るかなー。

トボトボと街にも向かわず姿を消した私は知らなかった。

私が世にも珍しい『狐』の半獣人だと言う事を。


 私はまだ知らない。『狐巫女』と呼ばれる職業がこの世の中にある事も。

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