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序章の終わり〜遺したもの、残された者〜
「これで…お終いよ!」
「グワァァァァッ!」
私の目の前で、ソファーキャラスターが爆散した。
◆
あれから、私は「鎖役朱音」として生活している。朱音は大学の近くのアパートに暮らしていて、教師を目指していたと、肉体の中に残っていた記憶を頼りに知った。私は朱音の身分を使って生計を立てながら、襲いかかってくるキャラスター連中を討伐している。
あれから二ヶ月が経過しようとしている。もう、三十体は倒しただろうか。キャラスターの脅威が、未だに去る気配はない。
朱音として過ごすようになってから、ふと気づいたことがある。
それは、私が「この形」に改造された理由。
私は、ゲームのコントローラーの形状をしたゲノマイザーに改造された。それはたぶん、女子少年院生活の中で「この状況をリセットして、もう一度やり直したい」という気持ちを自らの深層心理に抱いていたからなんじゃないかと、今になって思う。
キャラスターに、私の心が読めたのかはわからない。もしかしたら、適当に形作った結果なのかもしれない。
それでも。
今のこの姿に、必然性があったのなら…。
私は…。