一応デッドヒートだけども超絶マッハな終わり〜鎖役朱音の遺志を継ぐ〜
「またの名を、仮面レイヤー……フェンサー!」
彼は、堂々と敵にその姿を晒している。
「フェンサー……ってなんだよ?」
「あれだよ兄さん、人が通るとピピッてなるやつ」
「それは「センサー」よ。あれでしょ? 目玉装填したブレスレットが言うやつよね?」
『それは「イエッサー」だよ尾縞井さん。「フェンサー」は「剣士」っていう意味で……確か、スポーツの「フェンシング」の元の言葉だったはず』
「もうそんなのどうでもいいからさぁ! ボクちゃん倒しちゃうよ!」
「俺も一緒に行くよ兄さん!」
「いいだろう。二人まとめてかかってこい! 鎖役朱音の遺志は、何者にも抑えられない! 行くぞ娘!」
『娘って……あがっ!?』
“ユニコーンエッジ!”
駆け出したお馬さん……もとい仮面レイヤーフェンサーは、私を前方に突き出した。すると私の刀身が伸び、根元が馬の頭部を模していることも相まってユニコーンを模した手甲剣へと変形した。それと同時に、私から変形を知らせるボイスが鳴る。
「セイ、ハァーッ!」
「うぐっ!?」
「おわっ!?」
向かってきた二体のキャラスターをすれ違い様に斬り飛ばし、急停止。
“ペガサスアロー!”
今度は私の持ち手の上に備わっている馬の手綱をイメージしたレバーを引き、回れ右。私からペガサスの羽のような形をした弓の弦が上下に展開すると同時に、変形ボイスが鳴る。
「俺は逃さない、何者も!」
フェンサーが持ち手のトリガーを引くと、私から光の矢が放たれ、瞬く間に二体を撃ち落としていく。
「いたっ!」
「うぐっ!」
二体は石レンガの地面に叩きつけられ、狼狽している。
「俺は誇り高き剣士、鎖役朱音の忘れ形見。今こそ、彼女のやり残した使命を全うせん!」
“リボース・マキシマム! グラディエーター!”
トリガーを長押しし、手綱レバーを三回引き、再びトリガーを引くと必殺技が発動される。私の剣先にエネルギーが集束し、輝きを増してゆく。
「今一度キャラスタルに戻り、反省するがいい」
エネルギーが限界まで溜まり、フェンサーはその切っ先を地面に突き刺した。そこから地割れが起こり、白馬の形のエネルギー体がその上を駆け、二体に迫る。
「お前はボクちゃんが守る……グアァァァッ!」
「兄さぁーーーーん!」
白い怪人をアクターキャラスターが庇い、爆散。白い怪人は、悲痛な叫び声を上げた。
「悪の爆ぜる瞬間か」
「私、出番無しなのね」
「……お前は……許せないことをした……。それは……」
「『「それは……?」』」
「それは、俺の兄さんを倒したことだ! ……兄さん、一緒に戦ってくれ!」
「何よそのどこかで見たような妙に熱い展開」
尾縞井さんの視線は、冷ややか。
「うおぉぉぉー! 俺が、兄さんの代わりに、人間を全員モブキャラに変えてやるんだー!」
『一応悪いけどショボっ!』
思わず、思ったことが声に出てしまった。
「俺は、ずーっと、音速だぁー!」
“リボース・マキシマム! グラディエーター!”
もう一度必殺技を放とうと、フェンサーが構えた瞬間。
「は、速すぎたぁーっ!」
白い怪人は勢い余って、エネルギーのこもった私の剣先に激突し、雲散霧消した。
「……」
『……』
「……」
この珍事には、誰も、何も、言えなかった。
たまーにこういうドジな敵キャラが…………いませんね。




