泣くのは、もう終わり〜馬面の剣士〜
「レディース、アンド、ジェントルメン!」
「「「…!?」」」
「イッツタイムフォー…スーパースターアクション!」
声がした方へ振り向くと、向こうの公衆トイレの屋根の上に立つ二つの影が。よく見ると、一人は様々な衣服がごちゃ混ぜになったようなカラフルな怪人。もう一人は真っ白でスタイリッシュなボディーを持った怪人。
「ボクちゃん戻って来たぁー!」
「なんと!」
「あいつら…!」
「あれが、話の中に出てきた、『キャラスター』…?」
あれと、尾縞井さんはいつも戦っているの…?
「ボクちゃんの武器も戻ったしぃー。やるそー!」
「行くよ兄さん!」
「どう見ても、折れた柄をガムテープで繋げたようにしか見えないんだけど?」
「なんだか安っぽい…」
「ガム? 食べられるのか?」
「あなた、食べることばっかりね…変身!」
"プリンスアイデンティティー! カーテン・オープン!”
手元でこまごまとした操作をしたかと思うと、尾縞井さんはファンタジーに登場してくる王子様のような姿の戦士へと変身した。
「いくわよ!」
「負けるもんかぁー!」
“オージサーベル!”
尾縞井さんの放った一閃が、二体のキャラスターに命中した。
「俺も行くぞ!」
そのうちお馬さんも加わり、四つ巴の戦いとなった。
「あんた達に、いちいち構ってる暇なんか無いのよ!」
「俺達は鎖役朱音の意志を継ぎ、この世界を守るのだ!」
鎖役さんの意志を継ぐ……。
鎖役さんは、この世界を守るために、自分を犠牲にした。
王子様に、なりたくて。
鎖役さんは、最期までこの信念を貫いたんだ。
鎖役さんに救われたこの命で、私も何か……。
「この状況をなんとかしないといけないわね」
“オージウインク!”
尾縞井さんがバックルのレバーを二回動かした瞬間、私の体が光りだした。
「な、なにこれ……?」
「む?」
◆
気がつくと、私はお馬さんに掴まれていた。
「あれ? 私は……」
二対一の接近戦を繰り広げていた尾縞井さんが、驚きの声をあげる。
「東海林がガントレット型のゲノマイザーに……。 これ、そんなこともできるの!?」
そうだ。私、尾縞井さんと同じになったんだ……。
「お馬さん! 私を使って!」
「……わかった!」
「……あんた達がその気なら……この間見つけたこれ、使ってみなさいよ」
そう言って尾縞井さんが投げ渡したのは、円柱状のアイテム。
「キャラスタルか。……よし!」
「に、兄さん。なんだかまずいんじゃ……」
「逃げよう!」
「待て!」
「「ひっ!」」
「ようやく、俺の新しい名前を決めたぞ。今ここに名付けよう。俺は……フェンサー・ハクバ!」
「いっ!? いったぁ……い……」
“アイ・ワンダー・フー・ウィル・ウィン!”
激痛を伴いながら私のスロットに「キャラスタル」が挿入された瞬間、私の中から私自身の声が響く。
尾縞井さんと、同じように。
“タタカワナケレバイキノコレナイ! イノチヲカケラレケンヲトレ!”
「変んんん……身!」
お馬さん……フェンサー・ハクバが正面のレバーハンドルを左手で押し出すと、ガコンという音と共に私から変身音声らしいものが発せられた。
“グラディエーター・アイデンティティー! ゲート・オープン!”
“殺ッセ・殺ッセ・コロッセオォォォ!”
私達を囲むように鉄の門が現れてそれが開いた後、フェンサー・ハクバは古代の剣闘士を思わせる戦士へと変身していた。
なんか、不謹慎で嫌な音声だけど……。
「またの名を、仮面レイヤー……フェンサー!」




