アラサーの1日
「自分と違う人間になりたい」
自分の人生に嫌気がさしてきたら、誰だって思う願いだ。
ごくごく平凡でありきたりな人生よりも、華やかな生活を送れる人生のほうがいいし、刺激のない毎日を変えたいと思うのは普通のことだろう?
アラサーになる人間の考えることではないのだろうが、仕事をして飯を食って寝るだけの、目の前のつまらない日々から逃れたくて仕方なかった。
そんなある日、古本屋で気まぐれに買った呪いの本で、冗談交じりに願い事をした。
「もしも、違う人間になれるのならーーー女子高生になりたい」とーーーーー
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「いい加減にしろよ!」
ドスの効いた男の声が社内を静ませた。
さっきまで談笑しながら仕事をしていた社員達は、皆視線をこちらの方に向ける。
その目の色は、またかよ、いい加減にしてくれ、うんざりだーーー様々な思いがこちらの方に向けられていた。
「テメェこの仕事何年やってるんだ!こんな簡単な事務処理一つできないでどーすんだ!新人のほうがまだしっかりやれてるぞ!」
「で、ですが営業の方はどなたも“テキトーに処理しといて”と申されるばかりで…」
「バカヤロー!それをしっかり呼びかけるのがお前の仕事だろうが!」
上司である男は机をバンバン叩きながら吼える。
「ブラック企業、ブラックバイト。残業時間をきっちり計算して、それを支給しなければ一発でブラック認定の時代だ!いくら営業が残業代いらないと言っても、法律で決められている以上、きっちり締めて支給しないといけねーんだよ!!!この会社が訴えられて、倒産なんてことになったらどうする!!!!お前は責任が取れるのか!!!!」
「も、申し訳有りません…!」
「謝って済む問題じゃねーんだよ!もういい、他の奴にやらせるからお前は不要書類の整理でもしとけ!」