Q(きゅー)けつきデビュー!
よっしゃこーい!
乃木 守。16歳。
親は海外でイチャイチャ。
好きな女の子は隣のクラスの奈々。
「で、間違いないな?守くん。」
僕は、夢を見てるのだろう。きっとそうだ。
目の前に、背の高い泥棒がいる。
夢だろう。きっとそうだ。
「乃木 守かと聞いている。」
そう言うと背の高い大男は、思い切り僕の頭をひっぱたいた。
夢じゃない。
「そ、そうです…」
「ふむ。では、失礼するぞ」
カプッッ。
僕は、大男に首をひと噛みされた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
噛まれたのは僕のはずなのに、大男も叫ぶ。そして一言。
「まずい。」
吸血鬼は伝説に登場する存在で、生命の根源とも言われる血を吸い、栄養源とする蘇った死人または不死の存在。 その存在や力には実態が無く、完全に〝フィクション〟とされる。
「なるほど…つまり、あなたは吸血鬼だと。そう仰ってるんですね?」
「うむ。その通りだゴミ乃木。」
…
「警察に行きましょうか。」
「黙れカス乃木」
平手打ちを一発。
「私は吸血鬼族の王の後継者、サキエルQ6世だぞ。口をつつしめ。」
蹴りを一発。
「痛い!痛い!」
「いいか。吸血鬼は不死の存在とされているが、正確には最初から不死という訳ではない。」
男はしみじみと語り出した。
何を言ってるんだこの男…
「吸血鬼は人間1人分の血液で3日生きれる。が、人間の血を吸い続けて生きた場合、寿命がある。一般的には300年生きればちゃんと死ぬ。
300生きるには一生のうちに100回も下界に下りて食事をしなければいかん。不死身などではない。」
「…はぁ…」
話が難しいな…
「ならばどうして不死の吸血鬼が存在するか。いいか?吸血鬼にはそいつにあった人間の血ってもんがある。自分に最も合った血の人間を食えば、不死身になれるのさ。二度と人間を食わなくても良い。
まぁ自分に合った血を持つ人間なんてそうはいないがな。」
「…」
「で、私は見つけたのだ。」
なるほど。話が理解できた…僕がこいつにとっての(合った血)なんだ。どうやら僕は血を吸い尽くされるらしい。
「だが、一つ問題がある。」
「…?」
「お前の血は不味すぎる。」
「は?」
裏拳を一発。
「は?ではないわカス乃木!一体どんな食生活をしたらあんなドロッドロな血液になるっ!」
「ぁ〜…」
確かに、1人暮らしの俺の食生活はヒドイ。毎日カップ麺だし、ポテチは大好物だ。
「そこでだ。クズ乃木。」
「…?」
「これから私は、お前の血液をサラッサラにするまで、この家に住むことにした。」
「!?!?」
「乃木 守の血液サラッサラメニューのスタートだ。」
悪夢。それは終わりを知らない。
Qが家に住み込んで1週間。
あまり悪くない。
というのも、Qが食生活を管理してるため、毎日美味しいご飯が食べられるのだ。(激しい運動もあるが)
おかげで体が身軽で、毎日スキップで登校するほど。
余談になる。Qは吸血鬼と名乗っているが、それは本当らしい。周りの人には見えないし、触れない。Qいわく、「自分が殴りたい奴だけは触れる。」だそうだ。
そして、Qは吸血鬼だが、決して日の光が弱点。というわけではない。あれは人間の勝手な妄想だと言っていた。
「なにをニヤニヤしている。気持ち悪い。」
「エヘヘ〜これから奈々ちゃんと一緒に帰るんだ。」
「あぁあの雌猿か、わからんな。私には貧乳の良さが全くわからん。」
「…」
そんな会話は、奈々の叫びで切り裂かれた。
「いや、止めて!」
「!?奈々ちゃんの声だ!」
数人のガラの悪い高校生?が、奈々を囲んでいた。
「ヒュー。可愛い♪食べちゃいたいでちゅー」
「ぎゃははははは」
「やめてください!返して!」
奈々ちゃんが危ない!
「おい!お前ら、奈々ちゃんを離せよ!」
「あ?なんだお前。」
「守くん!」
「あー。あれか。彼氏君か。冴えね〜顔だな!」
静かに男は歩みよってくる。
「お前みたいなもやしより、俺の方が彼女を美味しく召し上がれるんだよ!!」
ドゴッ
腹を思いっきりメリケンサックで殴られた。
「かはっ…」
惨めにも倒れ、動けなくなってしまう。
「喋られちゃ面倒だ。コイツも連れてくぞ」
僕の意識は途切れた。
「!」
「やっと起きたか。カス乃木。」
「…!な、奈々ちゃんは!?」
あそこだ。
「いや、離して!やめてよ!」
「奈々ちゃん!」
「ちっ、もう目が覚めたか。とっととやっちまうぞ。」
男の手が、奈々のスカートに伸びる。
「や、やめろ!」
「おい。見苦しいぞクソ乃木。あんな女。はやく終わってもらって帰るぞ。」
「…なに言ってるんだQ!ふざけるな役立たずめ!クソォォォォ!」
繋がれた錠を無理矢理引っ張って手の肉が引っ張られる。
役立たず…そうだ。このままじゃ…!
「…ポテチだ。」
「?」
「ポテチ。100袋食ってやる!」
「なっ!貴様クソ乃木!」
「僕は本気だ!カップ麺だって50杯食ってやる!」
「あ?コイツなに言ってやがる?」
僕の独り言に不良共は苦笑する。
不良共の手が奈々の手に触れる。
触れるな!触れるな!触れるな!
「嫌なら…力を貸せ!!クソQ!」
「……ちっ」
Qが重い腰を上げる。
「おいザコ乃木。言っとくが血のためだからな!歯ぁ食い縛れ!」
「!!!!!」
バキンッッ!
「なんだぁ?」
「こいつ!鎖の錠を…!」
「カカカカ!どうだアホ乃木!吸血鬼の力は!」
「あぁ。」
「最高だよ。」
こうして高校生の僕はめでたく吸血鬼デビューをした。
初めて食べた血は、トンコツ味に近かったかな。
初投稿作品!!読んでいただきありがとうございます!
いかがだったでしょうか?Qけつきデビュー。
「読みずらい」
「展開が急すぎる」
などのクレーム覚悟で投稿しました笑
実は僕、漫画を描くのが好きなんです。
今回の作品はまんがを描く時に友達にボツくらった作品なんです笑
僕個人としてはキャラが結構好きで捨てるにも捨てきれず…
この場に置かせて頂きました笑
僕の世界観を好んでくれる方が一人でもいれば幸せです。