深淵の闇と頂の光は
ここは首都ブルテリアの騎士団。
騎士と言っても女子もいるし、なぜかお姫様も一緒にきゃいきゃいするような集まりである。しかし実力はトップレベルであり、国を脅かすようなモンスターや凶悪犯などの取り締まりも行っている。
この騎士団には年も種族も問わず、たくさんの人間や人ならざる者が集まる。
サポートをし、極力戦闘はしないツインテールの女の子。
剣に長けた少年。
などなど、小さな子供までいる。
入団審査は厳しく、最強とも呼ばれる。
そこで、ある噂が話題になった。
「あのさー、お仕事かもよー!」
ツインテールの女の子、ルミが言う。
ルミは不穏な動きがあったり、仕事が発生した場合それをメンバーに伝える役目をしている。
「今回は種族に関わらず殺しまくってる人たちがいるって噂だよ!まずはちょーさからだよ!」
「だんだん適当な説明になってくるな。」
「子供だ、仕方がなかろう。」
「んでもって誰が行くよ?」
結局五人が行くことになった。
「詳しく教えてください。」
可愛らしい声で少女リルムが言えば、ルミが説明を開始する。
「えっとねー、今わかってる情報はこれに書いてるよ!」
と紙を手渡されたリルムが調査メンバーにそれを見せる。
そこには箇条書きで詳しい情報が記されていた。
・双子であり、武器は鋏を使う。
そのことから双子の鋏姫と呼ばれる。
・鋏姫でわかる通り、女性の二人組。
・片腕、両目に包帯を巻いており、見分けがつかない。しかし服装で見分けをつけることができる。
・姉の方は薄い紫とピンクの中間の髪色をしており、まったく同じ色の着物を着ていることが多い。
・妹は髪色は姉と全く同じ。しかし、服装は赤色のドレスを着用している。
「今の所わかってるのはそれだけだよー。首都も広いから探しにくいかもだけど頑張ってねー!調査は明日の夜だよー。今日から動くのは難しいからね!」
えっへん、とドヤ顔を決めるルミに苦笑するメンバーたち。ともかく、調査メンバーは明日に間に合わせるべく支度を始めた。
その日の夜
シャキリ
シャキリ
音が鳴る。
リリアのドレスをさらに真紅に染めるそれと、リリスの着物にかかるそれ。
鋏から滴るそれも同じだ。
「どう?お姉ちゃん?」
「・・・違う・・・」
「またハズレ?」
「チッ」
リリスの舌打ちが全てを表していた。
「帰ろっか。あーあ・・・」
そう言うと、背を向けて歩き出していたリリアがふと振り返る。
「あんたたちが悪いのよ。って、お姉ちゃん!?待ってよー!」
カツカツと歩く双子は、探していた。
親を殺した奴らを。
助けてあげたあの子を連れ去った奴らを。
あいつらに近い奴らは皆殺した。
明日には騎士団がくるらしいが知ったことじゃない。
「待っているわ、あなたたちを・・・」
口角を少し上げ、笑う双子の目もからだも、全ては狂気に委ねられていた。