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四角関係とか冗談じゃない



 ムカムカムカムカムカムカという効果音が聞こえるぐらいにあたしは今すごく怒ってる。いやもうすごくなんか遥かに飛び越えて怒ってる。これだけの怒りを一人の人間の中に溜め込むことが出来るのに驚くぐらいに怒ってる。

 つまりまあ、一言で言えば。


 あたしに話しかけるな。


 だけどいくらオーラで言っても話しかけて来る奴は必ずいる。いや、こいつの場合はあたしの周りの空気がどんな意味をかもし出しているのかを分かってる上で話しかけて来てるわけなんだけどね。

 いい度胸じゃねぇか! しかも学校で堂々となるとてめぇふざけてんのか!?


 現在昼休みである。

 一時間目の物理のクラス以降、あたし達に接触を図った生徒は一人たりともいない。それこそ物理を取っていないクラスメートまでがそうだから、まあ、うちのクラスは空気を読むのが非常に上手ということが分かった。

 だがしかし、そんなことはどうでもいい。

 なぜならば、あたしは今中庭で水無瀬と二人きりでいるからだ。なぜ二人きりなのかって? そりゃーあたしが稔と楽しく話しながら(え? 全然楽しくなかったと思うって? えーいやかましい)お弁当を食べていたのにあいつがいきなり屋上に乱入してきて、『有賀さん、ちょっといい?』とか言って強引にあたしを引っ張って来たからであって、決してあたしの意思でついていったわけではない。あたしの意思でついていったわけではない。ここのポイントは重要。


 中庭に連れて来たのは屋上には人が結構いたからで、ここは日が当たる割には結構狭いスペースで人があんまりこないからだ。...だけど教室の中で弁当を食べている一年生には上から丸見えである。

 あたしは溜息をついて腕を組んで壁によりかかった。水無瀬は後ろに重心を傾けながらベンチに座っていた。

 .....ってあんたが誘ったんだからなんか言えや!!



「...ちょっと、話があったんじゃないの?」



 あたしとしてはとっとと話をして終わらせたい。なぜならばこの場面を二階にいる一年生に見られたら終わりだからである。いや、っていうか一年生じゃなくても変な噂が出回ってる以上、誰に見られても好都合ではない。

 あたしの言葉に木々を眺めていた水無瀬がん? という感じであたしを見た。

 ....ん? じゃねぇよ!



「話。あったんじゃないの?」



 さっきよりも強く言い放つと、水無瀬が少し周りを見回してから息を吐いた。



「話があんのはお前の方じゃねぇの?」

「は?」



 いくら人はいないと言っても、学校内で警戒しているのか、普段よりも水無瀬の声は幾分小さかった。



「人のことを散々睨みつけやがって。俺は何も悪いことはしてねぇっつの」

「.......」



 いやいやいや、そもそもあんたが何も言わなければあたしが噂してた班に殴りかかることもなかったんだけど。

 ってか一日中睨みつけていたことがバレていたか...。いやだからってなんでこのタイミングで呼び出すの!? 今日だだでさえあんなことがあったんだから接触はしないべきでしょうよ!!

 と、顔に現れてしまったのか、水無瀬があたしを見て眉をあげた。



「あんなことが起こった日に俺達がいきなり接触を絶ったら周りの奴らはなんて言うと思う?」

「........『やっぱり付き合ってるから怪しまれない様に距離を取ったんだ』、的な?」

「分かってるじゃねぇか」

「いや、だけど、なんていうか、それでもあんたと一緒に見られるのは嫌だ」

「宮谷と狭川か?」

「........」



 もうこいつ本当に嫌い。



「やっぱり告白されてたんだろ」

「...うるっさいなされてないよ」

「じゃあ今日のお前らの空気はなんだよ? 三時間目の化学でもまったく同じ空気だったぞ」

「あんたはどうして人の空気なんか気にしてんのよ!?」

「面白いから」



 こいついつか絶対にぶっ殺す。



「告白とかされてないから!」

「でも気持ちは知っちまったんだろ?」

「........」



 こいつって、まさか密かに情報屋だったりするんだろうか。いくら洞察力がいいからって、なんで簡単に人の気持ちとか全部分かることができんのよ。物理の時もついにいわれたか、的なこと言ってたんだから、宮谷君があたしのことが好きだって気づいてたんだろうし...。

 え、あ、いや、まてよ?



「あんた、それ、美智子さんから聞いたんじゃないでしょうね?」

「.....」



 黙り込んだ。

 ...って、...こと、は....。



「ちょっと待ってよおお!! 美智子さんどれだけあんたに情報あげたの!!?」

「....まあ、昨日お前らが話してた大体全部の内容」

「マジかよおおおお!!」



 どうして...っ!! どうして肝心な所で美智子さんっていつも抜けてるのよ!! いや、まあ水無瀬はどうせ分かってたっぽいからいいけど! あれがガールズトークだと思ってたのはあたしだけですかそうですか!

 ああぁぁぁぁ、と両目を覆うあたしに、クックッと水無瀬の笑い声の聞こえて来た。



「まっ、宮谷がお前のことが好きだっていうのには前々から気づいてたから恥ずかしがるほどのことでもねぇだろ」

「.........」



 こいつ今前々って言った?



「ちょっと待ってよ。あんた、去年はあたしと宮谷君と違うクラスだったでしょーが。なんでそんなのが分かるのよ」

「別に去年からって言ったわけじゃねぇだろ? お前は知らねぇだろうけど、俺と宮谷は通ってる塾が同じだったんだよ。俺は去年の途中で止めたけど」

「....塾?」

「そっ。別に仲は悪かねぇからよく話したんだけど、お前の話題がよく上がったんだよ。んで学校でのお前ら見てちゃ結構バレバレだったわけ」

「.........そ、それってさ、いつ頃、くらい?」



 宮谷君が塾に通ってるのは知ってる。中学にいた頃もずっと塾に通ってたけど、水無瀬も中学の間同じ塾に通っていたとなると...。

 あたしの表情を見て何を察したのかは知らないけど、ニヤッと水無瀬が怪しい笑みを浮かべた。



「俺は中二からあいつと同じ塾に通ってるけど、その頃からお前はよく話題に上がってた」

「.......えっ、っていうか、あんた、高校入る前から宮谷君とは知り合いだったわけ?」

「まあな」



 サラッて言ったよこいつ。



「げぇ...言われなきゃ絶対に分かんないよ...。ってまさかあんた塾でも猫かぶってたの?」

「当たりめぇだろ?」



 ソウデシタネ。スミマセンネ。



「...ところで、さっきから宮谷君の話ばっかりだけど、あんた美里ちゃんとはどうしたのよ」

「何が?」

「...え、だからさ、告白とかされてないの?」

「なんで俺が告白されるんだよ」

「いやぁ...だってあんた今『宮谷と狭川か?』って言ってたし...。美里ちゃんと何かあったんじゃないかと思って...。今日もなんか全然話してなかったし」

「あいつとは何もないし、この先どうにかなるつもりもない。話してなかったのは俺とお前の噂のせいでいろいろ思うことがあるからだろ」

「...だといいんだけどなぁ...」



 曖昧な返事をすると水無瀬が眉を寄せた。



「なんだよ」

「いや、あのさ。あたしの口からあんたと何もないって言ったわけじゃないんだよね、美里ちゃんに。あくまで人伝だったから、ちゃんと分かってくれてるのかなぁ...って」

「聞けばいいじゃねぇか」

「そんな簡単に聞けたら苦労してねぇっつの。ってか話ってそれだけだったら帰っていい? 上の一年生がいつこっちを見るのかがすっごく怖いから」



 あたしの言葉に水無瀬は何回か瞬きをしてからスッと視線を上にあげた。そこではじめて一年生がいたことに気づいたかのようにあぁ、と声を漏らした。

 てめぇが気づかずに素であたしと話してるわけがねぇだろーが!


 あたしが苦虫を噛み潰したような表情でそんな水無瀬を見てると、彼の視線があたしの元へ戻って来た。



「見られちゃまずいのか?」

「......じゃあね」



 だめだ。こいつの危機感とあたしの危機感が全く違うからこれ以上話してても無駄だ。

 あいつの場合は『付き合ってないんだから別に一緒に見られても問題はない』って思ってるようだけど、普通だったら『付き合ってるって思われてる以上、一緒にいたら付き合ってるって思われるに決まってる』って思うわけで。

 ....もうほんっと疲れる。


 溜息をついて踵を返すあたしに、おいっ、と言いながら水無瀬が追ってくるのが聞こえる。

 中庭から建物内に入った所で、あたしは再び息を吐くと追いかけるな! というために振り向こうとした。

 したけど、その前にこちら側に歩いて来ている二人組を見て動きが止まる。止まったあたしに追いついた水無瀬も、その二人の姿にチッ、と舌打ちをしたのが聞こえた。


 ...もう言うまでもないけど、こっちに向かって歩いて来ているのは宮谷君と美里ちゃんだった。

 そんな二人もあたし達の姿を見つけて驚いている様子だ。


 ...まさに噂をすればなんとやらだな。



「...有賀、水無瀬...」



 話せる距離まで来て宮谷君が立ち止まってあたし達の名前を呟いた。宮谷君の少し後ろについていた美里ちゃんがやりにくそうに視線を逸らしている。

 ...いやだなぁ、この空気。



「宮谷君も美里ちゃんも、こんな所でどうしたの?」

「...俺達は購買に。委員会があったからお昼食べるのが遅れたんだよ。そういうお前らは?」

「えっ」



 しまったー。ここらへんにいる人なんてなかなかいないから聞いたんだけど、瞬時にそっくりそのまま返された。

 言い訳を考えるために必死に脳の中を探しまわっていると、隣で水無瀬が小さく息を吐いたのが聞こえた。



「俺達はちょっと相談してたんだよね、有賀さん」

「あ、う、うん」



 さすがスラスラと嘘が出る男! 不自然な沈黙に陥る前に絶妙なタイミングで嘘を入れて来た! あ、いや、案外嘘でもないのかな?

 水無瀬の言葉に宮谷君も美里ちゃんも困惑した表情を浮かべた。



「相談?」

「...何の相談?」

「あぁ、ほら、今日の物理での件でね」

「今、なんか、俺達についての噂がいっぱいまわってるでしょ? それについてどうしようかな、っていう相談」



 ...だ、大体合ってる。


 あたし達の言葉に美里ちゃんはそっか、と呟いてから、大変だねも付け足してくれたけど、宮谷君は無言である。

 やめてくれ。本当に無言とかやめてくれ。

 もう本当この四角関係何!?



「...有賀ってさ、」

「あ、え、何?」



 宮谷君が口を開いて何かを言おうとしたけど、一瞬だけ美里ちゃんに視線がいってから、その口から言葉は発せられなかった。ちょっとしてからやっぱいい、と言って首を振ると、じゃあな、と言ってそのまま美里ちゃんと一緒に購買に向かってしまった。

 ...美里ちゃんを見たってことは、水無瀬関係だろうか...。...多分美智子さんのことについてだろうな...。


 充分に距離がとられてから、水無瀬が盛大に溜息をつくのが聞こえた。



「何を聞きたいかは狭川の気持ちと同じぐらにバレバレだな」

「....ちょっと」

「なんでお前と俺の姉貴が知り合いなのか知りたいんだろ? あいつ」

「.........」



 こくん、とあたしが頷くと、再び水無瀬が溜息をついた。



「聞きたいんだったらとっとと聞けっつの。イライラする」

「水無瀬っ!」

「俺は教室戻る。お前は後からついてこいよ」

「はっ!?」



 あたしが声をあげると、水無瀬が呆れた表情をして振り向いた。



「一緒に見られたくないのはお前じゃねぇのかよ」

「....っ.....」



 眉を寄せて視線を逸らすと、ふんっ、と鼻で笑ってから水無瀬が教室の方へと向かって行った。私は宮谷君と美里ちゃんが行った購買の方向をしばらく見てから、溜息をついて、あたしも教室へ戻るために歩を進めた。










 教室に戻ると、ずいぶんと怒りが鎮まったのを感じ取ったのか、稔が気楽そうな感じで話しかけて来た。水無瀬があたしと稔との昼食中にあたしを引き離したのを見ていながらも、彼のことを話題に出さなかったのはこの子の配慮であると考えておこう。

 水無瀬の方も同じ感じで、ちょっとだけツンツンしてる様子もあったけど、朝とは打って変わって何人かの女子と会話を繰り広げていた。若干笑顔が強ばってる気がするけど、あいつ、ああいう時は猫かぶってるの嫌だろうねぇ。あたしだったら絶対に嫌だし。


 五時間目、六時間目と、特になにも起きずに時間が流れて、気づけば放課後になっていた。稔を待つことが日課となっているあたしは今日ばかりはずっと教室にいるのはつまんないと思ったから、学校をウロウロしようと思った。

 いや、多分気のせいだとは思うんだけど、今日はどこに行っても誰かに見られてる気がして殆ど座ったままだったんだよね。だから気晴らしに誰もいない学校の中を歩き回ろうかと。ついでに職員室に寄って明美先生に謝って来た方がいいかなぁ...。結局あの後は怒り度MAXだったから全然明美先生と話してなかったし。

 よしっ、そうしようと思って階段を降りるために角を曲がろうとした瞬間、



「有賀のことなんだけどさ」



 シュバッとものすごい速さであたしは柱に身を隠した。

 ...今の声は...宮谷君...。ちょっと遠めに聞こえるってことは、階段を上がって来ているのか、下の階で話しているのか...。



「有賀さんがどうかした?」



 ...........水無瀬...。

 トンッ、トンッと階段を上って来る音が聞こえる。声の大きさからして上って来てるのは水無瀬だ。

 って、いや、ちょっと! ここで隠れてるあたしを見られてはすごくすごくまずい! 教室に戻っても良いんだけど、すぐそこまで水無瀬が来てるから、今動いたら絶対に勘づかれるよ! や、ヤバい!



「お前って有賀のこと好きなの?」



 トンッと足音が止んだ。ホッとしたけどそんなのもつかの間、宮谷君の言葉にあたしは口あんぐり。窓に薄く移っている水無瀬を盗み見ると、同じく目を大きく見開いてる。

 ...ってか、ここからだとあたしは二人のことが窓に反射してるからよく見えるけど、あっちからは見えないんだな...。仕組まれたかのように都合よくここにいるよねぇ、あたしも。

 とか呑気なことを考えてるのはただちょっぴり現実逃避に走りたいからである。


 目を見開いていた水無瀬が、スッと目を細めてから宮谷君の方へ振り向いた。



「...そういう宮谷こそ有賀さんが好きなの?」

「.......だったら悪いかよ」



 ....え、ちょ....っ!! あたし超気まずい場所にいるんだけど! ちょ、もう教室帰っても良いですか!? 水無瀬がもうちょっと離れてくれたら確実に聞かれずに走って帰れると思うんですけど! そのまま階段を降りてくれませんかね水無瀬君!!

 とあたしの心の叫びが聞こえるはずもなく、宮谷君の言葉に水無瀬が息を吐いて壁に寄りかかった。



「俺と有賀さんはなんでもないよ」

「俺は付き合ってるのかを聞いたんじゃない。好きなのかって聞いたんだ」

「...好きと嫌いだったら好きだけどね」



 .......あの...水無瀬を嫌ってる自分からしたらすっごく複雑な一言であります。本当に。しかも宮谷君がそんな水無瀬にだんだん苛立って来てる...っ! はっきり答えてやれよ! 本当にあいつは意地が悪いな!



「俺が言いたいことは分かってるだろっ」

「...恋愛対象としては別に好きじゃないよ」



 好きだったらこっちが困るわ。

 宮谷君の眉間のしわが寄った。



「...だったらなんで最近お前と有賀関連の噂が増えてるわけ? 前から何回か噂は聞いたことがあったけど、こんなに流れたのははじめてだろ」



 前も噂なんてあったのかよ!? とか驚愕に満ちた表情を浮かべていると、水無瀬が呆れた表情を浮かべたのが分かる。



「そんなの俺が知るわけないでしょ? 俺と有賀さんが学校外で一緒なのを誰かが見て、そこからいろいろ作り話が発展したんじゃないの? 噂なんて殆どそうじゃん」

「...じゃあ、」



 先程よりも静かに宮谷君が口を開いた。



「どうして有賀は、お前の姉貴と知り合いなんだよ」

「.........」



 壁に寄りかかっていた水無瀬の目が少し見開いたのが見えた。あたしの目も大きく見開く。あたしじゃなくて水無瀬に聞いちゃうの!? そこ水無瀬に聞いちゃうの!?

 水無瀬の視線がチラッと宮谷君に向いた。



「.....俺だって良く知らないよ。いつの間にか姉さんと有賀さんが知り合いで、俺は何も知らされてなかったって感じ」

「........」



 白水無瀬君|(白水無瀬とは猫をかぶってる時を指します)だと美智子さんへの呼び方も変わるのか...。

 水無瀬が答えると、ギリッと宮谷君が歯ぎしりをした。



「...俺は苛立ってんだよっ。お前は有賀のことが好きでもなんでもないのに、ああやって噂が出回って有賀が振り回されてることにっ。あいつはあんだけ悩んでんのに、今日だってお前は飄々としてたじゃねぇかっ!」

「..........」



 怒りを露にする宮谷君とは反対に、水無瀬の表情は変わらない。それが余計癪に触ったのか、宮谷君が拳を握りしめた。



「あいつは殴り掛かろうとしてたんだぞ!? それだけ酷いことを言われたってことなのに、お前は殆ど顔色を変えずに止めてたじゃねぇか! あんだけ叫んでて、あれだけ怒ってたっていうのにお前は—」

「じゃあそのまま殴り掛かってたら?」



 言葉が遮られて宮谷君が言葉を詰まらせた。

 予想外に水無瀬がドスの聞いた声を出したからだ。水無瀬が言葉を続ける。



「そのまま有賀さんが殴り掛かってたらどうなってたと思う? 本当に違うから殴り掛かったんだって人は思うかもしれないけど、殆どの場合はムキになって否定をすると肯定だととるバカが多い。別に俺達は付き合ってないんだから俺はどうでもいいんだけど、有賀さんはああいうのが許せないたちだから、性格的に余計疑われる。そのまま俺が有賀さんに殴らせてたら、やっぱり付き合ってるんだって周りの人に言われて、最後に傷つくのは誰だと思う?」

「.........」



 宮谷君が黙り込んで、あたしも目を見開いてしまった。

 ......そんなに.....考えてくれてたとは.....。


 水無瀬が苛立ったように頭をかいた。

 猫かぶってるのに怒りを露にする水無瀬はあんまり見た事がないから、なんとなく新鮮な気がする。こんなこと思ってる場合じゃないけど。



「話したいことってそれだけ?」



 いらだちを込めた水無瀬の言い方に、しかし、宮谷君は終わってない、と一言。

 水無瀬の眉が寄る。



「....お前は、本当に有賀のことはなんとも思ってないのか」

「しつこいよ。思ってないって言ってるじゃん」

「それじゃあ、有賀が他の誰かと付き合ったら、なんとも思わないって言い切れるのかよ」



 瞬時に水無瀬の目が鋭く変わる。



「......どうして言い切れないっていうの?」

「...お前らは、傍から見てもお互いのことを大切にしてるように見えるから」

「.........」



 ......宮谷君も、そんなこというのかよ....っ!!

 水無瀬もさっきとは打って変わって目を大きく見開いてる。



「大切?」

「普段の何気ない会話とか、特に物理の時の班では、なんつーか親密そうにしてるじゃねぇかよ」

「.....してるの?」

「...今日の一時間目だって、お互いのことちゃんと分かってたっぽいし」

「.........」



 これはさすがの水無瀬も黙り込んだ。いやいやあたしも同じ立場だったら黙り込んでるよ。

 なんでこう、嫌いな人に限って周りからは仲がいいように映るんだろう?



「...有賀さんとは勉強関係で普段からよく話すし、性格も親近間が湧きやすいからそう思うだけじゃないの?」

「じゃあなんとも思ってないんだな」

「何回言えば分かるんだよっ」



 ....水無瀬が語尾を荒げたけど、以外と宮谷君はそれに対して驚きはしなかった。

 だけどそんなことも吹き飛んでしまうほどに宮谷君の次の言葉は衝撃的だった。




「...じゃあどうして、この前有賀とキスしてたんだよ」




 .........神様。いっそのこともうあたしを殺してください。












 タイトルミスったかな....。あんまし四角関係な感じが、しない....。

 まいっか!


 ここまで読んでくれてありがとうございますorz

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