表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人魔外交流記  作者:
1/2

新たな旅路

人族と魔族の争いが未だ絶えない世界〈アーティアス〉

そんな世界に生まれた一人の男”シユウ”。


これはそんな彼が様々な種族の娘と出会い、交流を深める、そんな物語です。

かつて、これほど物思いにふけることはあっただろうか。


もっと世界を知りたかった。


幸せな家庭を築きたかった。


空に見えるは、灰の空。

見ていると、全ての感覚が消えていく。


時折聞こえる誰かの声が俺を呼んでいるのか分からない。

けれど、手足も動かぬこの状況でできることは声の主を探すことだけだった。


声の主を探そうと脳に「目を動かせ」と信号を送るが、目は動かない。

まぶたは重く、まるで「この世界を見ていたくない」と言っているように思える。


あぁ、どうやら俺はここまでのようだ。

身体が生を否定している。心は生きたいと願っているはずなのに。


目を閉じる最後の瞬間、見知った顔の誰かを見た気がした。



時は流れ、十年。


ある日の朝、男は少しの食料と書物を持って、馴染みのいる雑貨屋に向かう。

「デイロ、頼んでた物は揃ってるか?」


店内にいる少しふくよかな体型の男性は俺が入って来たことに気づき、店の奥から商品を持ってくる。


「俺を誰だと思ってるんだ、お客相手に不義理を働くわけないだろ」

「ほら、受け取れ。旅用の鞄と軽装備、それにおまけの冒険に役立つデイロ様特製の品だ」


受け取った大きな鞄に持ってきた荷物を詰め込みながら、その上からおまけの品を入れていく。

おまけの品は、日記帳や縄・地図などの旅に役立ちそうな物ばかりだった。

彼の優しさが込められた品に、思わず涙が出そうになったが男のプライドがそれを許さなかった。


「ありがとうな、デイロ」

それでも受けた恩はしっかり返そうと、精一杯の笑顔で返す。


「嫁さんを連れて帰ってきたら、またもてなしてやるよ」

「見てろ、素敵な()を沢山連れてきてやっから」

そうだ、俺はこれから旅に出る。それも途方もない娶り旅(たび)に。


俺の言葉を聞いたデイロは「冗談だろう」と思いつつも、真面目に返す。

「シユウ、お前さんの人生にとやかく言うつもりはねぇが、もし本当に沢山の()を嫁にするなら、半端なマネはするな。やるからにはお前の命が尽きるその日まで嫁さん全員をしっかり支えて幸せにしてやれ」


義理や約束を重んじるデイロにとって、

たとえそれが嘘であっても、俺に言っておきたかったのだろう。優しい奴だ。


俺もその言葉に真剣に答える。

「あぁ、分かってる。だから俺が帰った時の為に花の追加を頼んでおくよ」


デイロは大きな笑い声を上げ、「分かった」と胸に拳を当てる。

帰った時の楽しみが増えたな。

そんなことを思いつつ、デイロが渡してくれた商品を身に着け、旅の準備を整える。


「お前さんの成長も込みで少し大きめに仕上げてみたんだが、どうだ?」


ぶかぶかではなく、少し余裕がある程度、

軽く全身を動かして確認しても特に問題はなさそうだ。むしろ、動きやすい。


「良い出来だ。これならしばらく変えなくても良さそうだな」

「俺が作ったんだ、良い出来に決まってるじゃねぇか」

職人は自信家なくらいがちょうど良いと思うのは、彼からの影響だろうか。

いつもならもっと茶化すのだが・・・まぁ今日くらい彼の言う事を素直に受け入れてやろう。


「色々と世話になったな」

「良いってことよ、シユウも元気でな」


俺はデイロと故郷”アサナギ”に別れを告げ、新たな旅を始めた。



何も考えず、緑が続く道を歩いて1時間。

嫁探しという目的はあっても、それ以外がないことに気づき、

デイロから渡された日記帳にやりたいことを書きだすことにする。


出会いを求めるならどこに行くべきか。

俺にこれといった好みはない。いや、分からないが正しいか。

何せ、争い続きの毎日だったからな。生きるのに必死で勉強なんてする暇もなかった。


なので、この世界〈アーティアス〉にどんな種族が存在するのか、まずは知りたい。


鞄深くから世界にたった一つの種族図鑑、幼い頃、両親が書いてくれた特別な図鑑を取り出す。

内容は久しく見ていないので忘れてしまった。

まぁ、初心に返ったつもりで楽しむとしよう。


中は幼児向けになっており、一種族につき一つの絵と簡単な一言が添えられているだけだ。

本を読み進めながら、会ってみたい種族を日記帳に記す。


獣人、妖精などの森に住む種族から始まり、争ったことのある魔族も書いていく。

色々と書いていたら、いつの間にか次で最後になっていた。


「最後はどんな種族が・・・」


それを見た瞬間、俺の手は動きを止める。

本の最後には、”お母さん”とだけ書かれた一言と女性の絵が描かれていた。


「母さん・・・?」


種族図鑑の最後には自分の母親が描かれている。

はて、これはどういう意味だっただろうか。


過去の記憶を辿るが、思い出せない。


母さんは人間ではなかったということだろうか。

それとも父が家族のことを描いただけなのだろうか。


分からない。


俺はこの本の最後がどの種族よりも無性に気になった。

もしかしたら、母さんと同じような存在がいるのかもしれないと。


俺はこの本と同じように、日記帳の最後に一番会いたい種族として、

”母さんと同じような存在”と書いた。



やりたいことを書き終えた俺は、

日記帳と地図を交互に見ながら、どこに行こうか考える。


デイロから渡された地図は2つあり、アサナギ周辺の地図と世界地図だ。

旅のことを考えての地図だろうが、どちらもかなりの大きさだ。


とりあえず、近場から旅をしようと思い、アサナギ周辺の地図を見る。


「えぇっと地図には・・・人族と魔族が共存する”要塞都市デルミナ”、獣人族が暮らしていると言われる”コモリの森”、海底洞窟が有名な海の町”マリッジン”、後は小さい村と廃村になったところが数か所あるぐらいか」


要塞都市デルミナ以外は、噂で聞くことはあっても、実際に行ったことはない。

デルミナは・・・古傷が痛むので最後に行くことにしよう。


となれば、行き先は獣人が暮らしているであろうコモリの森か、海の町マリッジンだが、

ここまで緑を歩いてきたという自分の気分的にも今は森の気分。


それにコモリの森なら、

道のりにある村や廃村に立ち寄って、住民と色々話せるかもしれないという利点がある。

この旅は交流が目的かつ、一番大切なことなのだ。

そこを忘れないよう、旅に臨むとしよう。


男はこれからの旅路に胸を馳せながら、コモリの森を目指して歩みを始めた。

ただただ交流を楽しむ、大きな起伏こそ少ないですが、

こういったのんびりできる作品が自分は好きです。皆様にも楽しんでいただけたなら幸いです。


上手く進められれば、これをゲームに・・・なんて思ったりしてますよ。

一回目は失敗しましたので、リベンジマッチです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ