ガルディナ武闘大会 本戦開幕 ―― 「火蓋」
(^^)/
朝焼けが闘技場を照らしていた。
十年に一度の祭典――武闘大会。
空を覆うほどの歓声が、まるで嵐のように渦を巻く。
王都ガルディナの中心、白亜の競技場。
外壁には旗と花が飾られ、空気そのものが熱を帯びている。
ヴェント「うおおお……本戦って、こんなに人が集まるんだな!」
ルミナ「確かに、すごい人ね...」
シルフィナ「ふふ、ねぇルミナ。どのチームが“本物”?」
ルミナは腕を組み、観客席の上から静かに戦士たちを見下ろした。
剣を磨く音、魔法陣を確認する詠唱の声。
その中で、彼女の瞳がわずかに光る。
ルミナ「まず、あれね。金の鎧――勇者アルディス。前回王国代表の優勝者。
まぁ、あれはそこそこって感じだけど。
……あの赤髪の魔術師。なかなかの魔力ね。
あと一つ。“ブレイカーズ”ってチームのあの戦士.....
まぁどのチームも、そこそこやりそうね」
ヴェント「へぇ……強そうなやつらばっかだな!」
ルミナ「全員、私たちが戦う可能性があるんだからしっかり見ときなさい」
そこへ角笛が鳴り響く。
観客の視線が一点に集まり、王家の席が開かれた。
白銀の外套に身を包む老王――レオンハルト。
その背に二人の王子を従え、ゆっくりと立ち上がる。
レオンハルト「勇気ある者たちに戦う資格を。勝者には栄誉を、敗者には名を。
そして――戦場に立つ者すべてに、神の祝福を」
観客が総立ちとなり、歓声が闘技場を震わせた。
始まる――本戦が。
最初に現れたのは、金の鎧の戦士。
勇者アルディス。
剣を構えるだけで風圧が生じ、地面が軋んだ。
対するは黒衣の魔導士たち――黒炎の牙。
漆黒の魔法陣が地を這う。
ヴェント「うわ、なんか禍々しいな……」
ルミナ「でも……勝負にならないわ」
次の瞬間、光が閃いた。
剣が一閃しただけで、闇が掻き消えた。
観客の目が追いつく前に、黒炎の牙は地に伏していた。
アルディス「……次」
わずか一言。
その余裕に、ルミナはニヤリと笑う。
ルミナ「……やっぱり、この世界の“英雄”だけはあるわね」
ーーー
続くヴェント達の試合
続いての戦場に、白銀の鎧が並んだ。
天使教直属の白翼騎士団。
聖光の槍が空に舞い、聖歌が響く。
ルミナ「気持ち悪いくらい神聖ね」
シルフィナ「嫌いなの?信仰心」
ルミナ「理屈で動かない人たちって苦手なの」
光の矢が放たれた瞬間、ヴェントが飛び出した。
ヴェント「ストームシフト!」
風が走り、光を切り裂く。
騎士団が驚く間もなく、ルミナが詠唱を重ねた。
ルミナ「《ライトニング・ドロップ》!」
天空から雷が落ち、地面が白く焼ける。
続けざまにシルフィナの声が重なる。
シルフィナ「精霊よ、我に集い、神聖な流れを築きたまえ《水精霊の詩》」
水が雷を導き、光の結界を焼き切った。
爆風が止み、静寂の中で観客が息を呑む。
実況「勝者――ルミナとその他チーム!!!」
ヴェント「いや、だから名前どうにかしようぜ!」
ルミナ「そんなことより、勝ったのよ!」
シルフィナ「……“勝つ”のって気持ちいいね」
ーーー
午後。
陽が高くなり、闘技場の空気はさらに熱を増していた。
鉄の匂い、砂の熱気。
ルミナは手帳を取り出し、戦士たちの動きを観察していた。
ルミナ「あれが“ブレイカーズ”のリーダーね」
舞台の中央に立つのは、鍛え上げられた巨躯の男ドライブ。
黒い拳布を巻き、鋭い眼光を放つ。
その横には二刀を構えたシグナス、背中を預けるように立つ盾士オグル。
対戦相手は“深淵の眼”。
未来を読む予言士ナオが、ゆっくりと目を閉じた。
ナオ「三秒後、貴様の右拳が砕ける」
ドライブ「へぇ、未来が見えるのか。……じゃあ、殴って壊してやる」
爆音。
ドライブの拳が大地を叩き割った瞬間、未来そのものが崩れた。
観客席の砂が跳ね上がり、ルミナの頬に熱風が当たる。
ルミナ「筋肉で未来を殴るって、何それ……」
シルフィナ「理不尽の権化だね」
ヴェント「すげぇ……あんなのと戦うの?」
ドライブは拳を下ろし、にやりと笑った。
ドライブ「お前らも、壊しに来いよ」
ーーー
夕陽が差し込み、空が朱に染まる。
紅の閃光が闘技場を照らした。
セリナ=ヴァルガ。
燃え上がるような紅髪を揺らし、炎の剣を構える。
対するは氷の魔女エレーネ。
空気が凍るほどの冷気が会場を包み、観客が息を呑む。
セリナ「燃えろ……《紅蓮舞踏》!」
炎が空を覆い、氷が蒸気となって霧散する。
光と熱の奔流。
その中心で、セリナは静かに微笑んでいた。
ヴェント「……やばいな」
ルミナ「バカ。あれは本物の“戦士”よ」
シルフィナ「制御の精度が異常……魔力の密度が完璧」
観客席は嵐のような歓声に包まれた。
ーーー
夜が近づき、最後に登場したのは王家チーム。
老王レオンハルトと、二人の王子。
その姿だけで会場の空気が変わった。
レオンハルト「王の剣は民のために。容赦はせぬ」
雷のような一閃。
対戦相手の武器が粉々に砕け、地面が光に包まれる。
王子たちが風のように動き、敵を無力化した。
ディルク「詰みです、父上」
ニコル「終わりました」
レオンハルト「ならば――《聖王斬》」
光が世界を裂いた。
試合終了の鐘が鳴るまでに、敵はすでに倒れていた。
ーーー
観客の歓声が天を突き、ルミナはただ呆然と立ち尽くす。
ルミナ「……人間の枠、超えてる」
ヴェント「王様、普通に強ぇ……」
シルフィナ「十年前より...強くなってる……」
夜風が吹き、魔導幕に勝者の名が浮かび上がる。
火花のような文字が夜空を照らした。
ベスト8進出チーム
勇者アルディスチーム
金狼の誓い
ルミナとその他チーム
大地の盾
王家チーム
青の黎明
ブレイカーズ
レッドファング
ヴェント「やったな、俺たちも残った!」
ルミナ「当然よ。ここまでは想定通り」
シルフィナ「次からが本当の戦いよ」
闘技場の片隅で、ドライブがこちらを見て笑っていた。
セリナの炎が風に揺れ、アルディスが静かに剣を拭う。
ルミナはその光景を見つめ、ふと空を仰ぐ。
星々の瞬きが、次の戦いを告げているようだった。
ルミナ(勇者、王、炎使い、筋肉の怪物……全部、倒す)
静かな夜風が吹いた。
その風の奥に、確かに――かつて“暴風”と呼ばれた男の匂いが混じっていた。
(^^)/




