表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と風の境界  作者: 770
7/39

武闘大会・予選

(^^)/

 翌週、武闘都市ガルディナは朝から人の波に包まれていた。

 露店の香ばしい串焼きの匂い、屋根の上にまで並ぶ見物客、空を覆うような魔導幕――十年に一度の大祭が始まろうとしていた。


ヴェント「ここが……武闘大会会場か!」

ルミナ「すごい人ね……」

シルフィナ「あそこに予選会場って書いてあるわ」


 熱気に満ちた空気の中、ヴェントは壁一面に飾られた歴代優勝者の肖像へ駆け寄った。

ヴェント「うおっ、六十周年記念大会の優勝チーム! 勇者アルディスじゃん! 本物だ!」

 目を輝かせるヴェントに、シルフィナは肩をすくめて微笑む。

シルフィナ「六十周年大会は泥仕合ばかりで退屈だったわ。私はその前の大会の方が好き」

ルミナ「……その前って二十年前よ? あなた一体何歳なのよ?」

シルフィナ「ひ・み・つ」


試験官「次! 一撃だ、魔力を込めてもいいぞ!」

戦士「でぇいっ!」

試験官「総合評価九二〇、失格!」

武闘家「てやぁっ!」

試験官「一二五〇、合格!」


 列の後方、ヴェントが拳を握りしめる。

ヴェント(魔力を込めた攻撃もありか……これなら武器を使うまでもないな)

試験官「次!……ん? お前は最近名が売れてる小僧か。面白い、魔力なしでやってみろ」

ヴェント「えぇ!? なんでだよ!……っしゃーねぇ! おらぁっ!!」


 拳が木人形を貫き、爆風が砂煙を巻き上げた。

 結晶が白光に包まれ、試験官が目を見開く。

試験官「そ、総合評価一六二〇……! ……チッ、合格だ」

ヴェント「おっしゃあ!」


 別会場では、観客席からどよめきが起こっていた。

試験官「魔力二六六〇……!? 人間の域ではない!」

ルミナ「ふん、どう?」

シルフィナ「すごーい。人間では過去最高じゃない?」

試験官「いや、二十年前に二九〇〇を記録した者がいる」

ルミナ「また二位!? キィィィィ!」


 シルフィナが軽く詠唱を済ませる。

試験官「魔力一一二〇、合格!」

ルミナ「あら? シルフィナって意外と魔力ないのね」

シルフィナ「精霊魔法だから........予選だし全力じゃないもの」

ルミナ「うぐ……」

シルフィナ「本戦は明日。今日は体を休めましょ」

ヴェント「結果見ないのか?」

シルフィナ「ヴェントが突破してくれれば十分。三人全員通過できるチームなんて滅多にないんだから」


リーファ「ヴェント様♡ 予選はどうでしたか?」

ヴェント「余裕だったぜ。なんかいいクエストないか?」

リーファ「それが……さっきバーンさんが帰ってきて……」

シルフィナ「じゃあ今はまともなクエストは残ってないわね」

リーファ「はい、ゴールド以上は全部持っていかれました……」

ルミナ「多重受注は禁止じゃないの? 何個持ってったのよ」

リーファ「えっと……全部、です」

シルフィナ「バカバーン」

リーファ「でも実力で全部クリアするから文句も言えなくて」

ヴェント「じゃあ魚釣りのクエストでもやるか」

ルミナ「はぁ……地味ねぇ……」


ヴェント「よっと!」

 糸を引き上げると、大きな魚が跳ねた。

ルミナ「うまいもんね」

シルフィナ「でも、今日の森は静かね」

ヴェント「静かな方がいいじゃねぇか」

 火のはぜる音と川のせせらぎだけが響く。


シルフィナ「ねぇ、二人とも。師匠は誰?魔法の詠唱もないみたいだけど.....」

ヴェント「師匠ってほどじゃないけど、母さんだよ。戦い方も魔法も全部」

ルミナ「母さんも無詠唱だったから、子どもの頃から詠唱したことないわね」

シルフィナ「……やっぱり。無詠唱でそこまで威力出せる人は滅多にいないわ」

ヴェント「母さん、元冒険者なんだ。それで俺も冒険者になったんだ」

シルフィナ「お父さんは?」

ルミナ「生まれた時からいないの。母さんと一緒に冒険してたらしいけど」

シルフィナ「そっか……ごめん」

ヴェント「別に。いなくて困ったこともないしな。――お、焼けたぜ!」

 夜空に流星が走り、三人の笑い声が森に溶けていった。



翌日ーーー


ヴェント「よし! そろったな!」

ルミナ「なんでアンタが仕切ってんのよ!」

シルフィナ「まずは結果を見に行きましょ」


 三人が掲示板に駆け寄ると――


ヴェント「……いや、なんだこのチーム名!」


『本戦出場チーム 第4位:ルミナとその他チーム』


シルフィナ「おかしいわね……私が登録した時は“ウキウキワクワクヴェントとシルフィナのハッピー新婚ライフチーム”だったのに」

ルミナ「え? “ヴェント様ラヴラヴチーム”って書いてたから直したんだけど」

シルフィナ「……あのリーファね」

ヴェント「全員センス終わってるじゃん!!」


ルミナ「まぁいいじゃない。4位なら上出来でしょ」

シルフィナ(ルミナが歴代2位の魔力出して4位……やばい予感)

ヴェント「見ろよ! 1位のチーム、勇者アルディスチームだってよ!」

ルミナ「はっ、偽物でしょ」

シルフィナ「仮に本物でも、敵じゃないわね」


 闘技場に響く轟音、天を裂く号砲。

 光の幕が空に散り、歓声が爆発する。

(^^)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ