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光と風の境界  作者: 770
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武闘都市ガルディナ

(^^)/

砂塵の舞う街道を、二人の若者が歩いていた。

ヴェントは片手に地図を持ち、腰のダガーを揺らしながらため息をつく。


ヴェント「なぁ、ルミナ。冒険者って言ってもさ、いったい何すりゃいいんだ?」

ルミナ「そんなの決まってるじゃない。ギルドに入って、クエストを受けて、名を上げていくの」

ヴェント「ふーん、クエストねぇ……お前、受けたことあんの?」

ルミナ「当たり前でしょ。ノルヴェルでもプラチナランクまでいってたし」

ヴェント「ふーん……そうなんだ……って、は!? プラチナ!?」

ルミナ「年齢制限でダイヤとかブラックにはなれなかったけどね」

ヴェント(ブロンズ、シルバー、ゴールド……その上って、マジかよ……)

ヴェント「ふ、ふーん、まぁまぁやるじゃん」

ルミナ「“まぁまぁ”じゃないわよ。あんたが落ちこぼれてるだけ」


ヴェントは悔しそうに舌打ちし、地図を指差す。

ヴェント「ここからだと……“武闘都市ガルディナ”。クエストも多いし、武闘大会があるんだってさ」

ルミナ「確かに。砂漠地帯を越えればすぐね」

ヴェント「うへぇ、砂漠か……。暑いの苦手なんだよなぁ」

ルミナ「文句言ってると日が暮れるわよ、ほら行くわよ」


二人は砂を踏みしめ、灼ける風の中を進んだ。

蜃気楼が揺れる道、風に混じる砂粒が頬を打つ。


やがて地平線の先――黒光りする巨大な影が姿を現した。

それは、全身を硬い甲殻で覆ったサソリ型の魔獣。


ヴェント「げっ……あれ、もしかしなくてもモンスターだよな?」

ルミナ「当たり前でしょ。逃げる?」

ヴェント「冗談。行くぞ!」


サソリの尾がしなり、毒針が閃く。

ヴェントは風の刃を纏い、飛びかかる。


ヴェント「エアロスラッシュ!」

刃が毒針を斬り裂く。だが、砂煙の中からもう一体のサソリが現れた。

ルミナ「ライトランス!」

光の矢が二体目のサソリを貫く。

熱風の中で、ルミナの金髪がきらめいた。


ヴェント「ふぅ……危なかった。二体は予想外だな」

ルミナ「油断しすぎなのよ。ちゃんと魔力の流れを読まないと」

ヴェント「はいはい、先生」


汗をぬぐい、ふたりはようやく砂の丘を越える。

遠くに巨大な石壁と、街を囲む塔の群れが見えた。


ヴェント「見えた!あれが……武闘都市ガルディナ!」

ルミナ「活気がすごい……!あれだけの人が集まるなんて」


街門に着く頃には夕暮れが差し、風に太鼓の音が混じっていた。


門番「登録証を確認する……通れ」

ヴェント「くぅ~、やっと着いたぜ! これが噂の武闘都市か!」

ルミナ「人が多い……何かお祭りでもやってるのかしら?」

ヴェント「お、立て看板があるぞ。……なになに――」


《国王生誕70周年記念 武闘大会・三対三チーム戦 開催決定》


ヴェント「おおっ!来週開催じゃん!出ようぜこれ!」

ルミナ「よく見なさい、“三対三”よ。二人じゃ出られないわ」

ヴェント「最悪、頭数だけ合わせればいい。誰か誘えばなんとかなるだろ」

ルミナ「……自由ね。まぁ、まずはギルド登録からよ」


二人は街の中央にそびえる「冒険者ギルド・ガルディナ支部」へ向かった。

重厚な扉を開くと、ざわめきと酒の匂いが溢れ出す。


受付嬢「ガルディナへようこそ。登録証はお持ちですか?」

ルミナ「はい、こちら」

受付嬢「ルミナ=アーデンさん……え、プラチナランク!? 若いのにすごいわね!」

ヴェント「へぇー、褒められてるじゃん」

受付嬢「そちらの彼氏さんは?」

ヴェント「彼氏じゃない! 兄貴だよ! 俺は初めての登録なんでお願いします!」

受付嬢「それでは、ブロンズランクからのスタートですね。同じクエストは受けられませんが、よろしいですか?」

ヴェント「えっ!? ちなみにブロンズのクエストって?」

受付嬢「主に採集、調査、採掘……」

ヴェント「えぇ!? モンスター討伐とかじゃなくて!?」

ルミナ「雑用ね……」

ヴェント「頼むよ! 俺ならやれるって! 戦わせてくれ!」

ルミナ「せめてゴールドランクくらいから受けれません?」

受付嬢「うーん……それはちょっと」


背後から低い声が割り込んだ。

???「威勢だけはいいじゃねぇか。おもしれぇ」

振り向くと、長いコートに金のバッジをつけた男が立っていた。


ヴェント「なんだお前?」

バロウス「俺か? ガルディナの金槌・バロウス。ゴールドランクの冒険者だ」

バロウスは大きな斧を肩に乗せ、にやりと笑う。

バロウス「お前が俺に勝てたら、ギルドマスターに進言してやる。どうだ?」

受付嬢「えっ、バロウスさん! 本気なんですか!?」

バロウス「もちろんだリーファちゃん。勝ったら、君とのデートもお願いしたいな」

リーファ「ひゃっ……は、はい!? い、今マスター呼んできますっ!」


ざわつくギルド内。

ルミナ「厄介なのに絡まれたわね……」

ヴェント「あぁ、わかってる」


やがて人々が闘技場に集まった。

バロウスは斧を掲げ、威嚇するように叫ぶ。


バロウス「覚悟はいいか、若造!」

ヴェント「あぁ、いつでも」


周囲が息を呑む中、バロウスが突進した。

砂を蹴り、斧が唸りを上げる。


バロウス「十字斬!」

鋼の音。ヴェントの短剣がその斧を弾き返す。


ヴェント「遅いな。エアソード」


風が鳴いた瞬間、バロウスの体が後方へ吹き飛んだ。

地面に転がり、彼の斧がガランと音を立てる。


観客「な、なんだ今の速さ!?」「見えなかったぞ!」「あの金髪の子、めっちゃかわいい!!」


静寂の中、ヴェントは剣を収め、リーファの前へ歩み寄った。


ヴェント「悪かったな。やっぱりブロンズからでいいよ」

リーファ「そ、そんな……! 上級魔法学校次席のヴェント=アーデンさんですよね?

     マスターに報告したら“そんな逸材に雑用をやらせるな!”って怒られました!」

ルミナ「まぁ……当然ね」

リーファ「ですので、ルミナ=アーデンさんと同じくプラチナランクからのスタートになります!」

ヴェント「えっ、マジで!? やった!」

ルミナ「“無駄に”上級学校まで行ってた甲斐があったわね」

ヴェント「“無駄に”は余計!」


リーファは少し頬を染めて笑った。

リーファ「それと……先ほどの失礼のお詫びに、お食事をご馳走させてください♡」

ヴェント「えっ、いいのか!? やったー!」

ルミナ「……は?」

ルミナの口角がひくりと動く。

ルミナ「まさかヴェントがモテてる……? ば、ばかな……」


ギルドの喧騒の中、兄妹のような二人の言い合いが再び始まる。

外では夕日が赤く街を染め、遠くで太鼓の音が鳴り響いていた。


新たな冒険者としての生活――

それはまだ、ほんの序章にすぎなかった。

(^^)/

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