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光と風の境界  作者: 770
33/39

牙と雷の邂逅

(^^)/

ケルベロス「グォォォォォォォォォォ!!」


地を揺らす咆哮と共に、三つの首を持つ黒炎の魔獣が一斉に牙を剥く。灼熱の息と腐臭混じりの風が吹き荒れ、セリナの髪とマントを大きく煽った。


セリナ(……会場に映像を送られていますね。ここで大技を重ねれば、完全に手の内を読まれる……)


ケルベロスは地響きを立てて突進してくる。四肢が地面を削り、爆音と共に距離が一気に縮まる。


セリナ(まずは低級魔法で様子見……)


セリナ「フレイムランス! サンダーランス!」


詠唱と同時に、炎と雷の二本の槍が空を裂き、一直線にケルベロスの胸部へと突き刺さった。


ケルベロス「グアアアアアアアア!!」


苦悶の叫びと共に、傷口から黒煙が噴き出す――が次の瞬間、肉体が不気味に膨張し始めた。


セリナ「……っ、ダメージイート!?」


与えた傷を“喰らって”肥大化する異常な回復。皮膚が盛り上がり、筋肉が蠢き、三つの首が不自然に太くなる。


ケルベロスは一斉に噛みつきへと転じた。


ケルベロス「ガァッ!! グルルルル!!」


セリナ「くっ……!」


セリナは浮遊魔法で強引に宙へ逃げる。牙が空を噛み、炎のブレスが足元をかすめる。


セリナ(このまま削り合いは不利……一撃で仕留めなければ)


魔力を一気に引き上げる。周囲の瘴気が渦を巻き、背後の空間が歪む。


セリナ「……フレイムテンペスト」


低く、しかし確かな詠唱。直後、背後に巨大な灼熱の球体が出現し、闘技場の半分を焼き尽くすほどの熱量を帯びた。


セリナ「これなら――!」


セリナが杖を振り下ろすと同時に、炎の大球が落下。ケルベロスを包み込み、轟音と共に爆発する。


ケルベロス「――――――」


咆哮は途中で途切れ、肉体は一瞬で蒸発した。


システム音声「遊技場へ転送いたします」


光に包まれ、セリナの身体が再びすごろく盤上へと引き戻される。


セリナ(魔力も削られる……手の内も晒される……本当に最悪のゲームですね……)


アリア「セリナ、大丈夫ですか!?」


セリナ「ええ、なんとか……ありがとうございます」


ルミナ「なるべく相手より遅く進まないと不利ね、このゲーム……」


後ろのマスでは、ゼゼルとテオが楽しげに身を乗り出していた。


ゼゼル「すごい魔法だったわね〜。対策、考えないと♡」


テオ「ビエッヘ……」


デンチャン「さぁさぁ続いてぇ!3ターン目の開始だぁ!!」


テオが無邪気にサイコロを抱き上げる。


テオ「ビエビエ!」


デンチャン「テオ様、ダブルダイスを選択ぅ!!」


ルミナ「なんで今ので分かるのよ……」


テオは両手で二つのサイコロを転がした。


テオ「ダーブッ!」


デンチャン「出目はぁ……6と5!合計11だぁ!!」


アリア「……まずいですね」


セリナ「一気に9マスも離されました……」


ルミナ「ならこっちもダブルで行くまでよ!」


アリア「……その目、ギャンブラーの目です……」


ルミナ「行くわよ!えいやっ!」


デンチャン「出目はぁ……4と5!合計9ィ!!」


セリナ「あ……」


盤上の駒が進み、ルミナの駒はテオの駒と同じマスに重なった。


ルミナ「同じマス……こういう場合はどうなるの?」


セリナ「罰ゲームはありません、ただし……」


テオ「ニヤー……」


テオは口元を歪め、不敵な笑みを浮かべた。


セリナ「……相手プレイヤーとの“直接バトル”になります」


その言葉と同時に、ルミナとテオの周囲の景色が歪んだ。


ルミナ「え、ちょ――」


テオ「アッパー」


視界が反転し、次の瞬間、二人は別次元の闘技空間へと投げ出されていた。床は黒水晶のように透き通り、天井は雷雲に覆われている。


ルミナ「え? なにこれ……強制バトル……的な?」


テオは人懐っこい笑みを浮かべたまま、両腕をゆっくりと構える。次の瞬間、瘴気が一気に跳ね上がった。


テオ「ビエエエエ……」


空間が軋み、紫電がテオの身体を這い回る。


ルミナ(……この子、さっきまでの間抜けな雰囲気とまるで別人……)


観客席では、ゼゼルとレットが興奮した声を上げていた。


ゼゼル「来た来たぁ!テオの本気!」

レット「くく……人間の魔術師がどこまで耐えられるか、見物だな」


ルミナは杖を強く握り締め、深く息を吸う。


ルミナ「……いいわ。久しぶりに本気で“喧嘩”しようじゃない」


紫電が走る魔界の闘技空間で、ルミナとテオの視線が正面から激突する。その背後では、盤上で動けないアリアとセリナが、ただ固唾を呑んで見守っていた。


沈没船の歯車は、確実に“死”へと近づいて回り始めていた。

(^^)/

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