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光と風の境界  作者: 770
27/39

積み上げた一年、開かれる道

(^^)/

 北方の修行小屋から、少し離れた雪原。

 吹雪の切れ間から陽光が差し込み、地面に積もった白を青く染めている。


 その白銀の世界を、鋭い氷刃が裂いた。


ルミナ「アイシクルブレード!!」


 空気が一瞬凍りつき、巨大な氷の剣が魔獣の胴を貫いた。

 雪煙が舞い、黒い巨躯がスローモーションのように倒れ伏した。


魔獣「ギャアアアアアアアッ……!」


 大地に響く絶叫。

 だがルミナはすでに次の魔力を練り始めていた。


 少し離れた場所では、赤と青の光が交差していた。


セリナ「獄炎――嵐ッ!!」


 炎の渦が天へと燃え上がり、空間そのものが熱で歪む。

 まるで世界を焼き払うかのような凶悪な炎。


シルフィナ「水と風の精霊よ――すべてを拒絶せよ《アクア・シェル・ウィンド》!」


 シルフィナがそっと手を振ると、彼女を中心に透明な水壁と風の護膜が展開された。

 炎が触れた瞬間、波紋のように掻き消えていく。


 炎と水風の境界線で空気が爆ぜ、雪が溶けて蒸気が舞った。


 少し離れた丘の上。

 セレナが、湯気の立つマグカップを片手にゆったり見下ろしていた。


セレナ「いい感じだねぇ……。どうだい、ルミナ?」


 ルミナは黒蛇を倒した時よりも、はるかに力強い魔力を放ちながら振り返った。


ルミナ「かなりいい感じよ!この杖、魔力を吸うだけじゃなくて“貯蔵”してくれるのがマジで便利だわ!」


 彼女の持つ魔樹ディアブロの杖は、根元が脈打つように明滅している。

 一年前は触っただけで倒れた代物。それをいまは軽々と振り回す。


セレナ「一年でここまで扱えるとはねぇ。魔力の出し方が当時の7割増しだよ。

 ……本当に化けたね、あんた」


ルミナ「ふふん!魔力操作には自信があるの!多めに出すのなんて朝飯前よ!」


 するとセレナは、ちょっといたずらっぽく笑った。


セレナ「一つ教えたげるよ。

 あんたの魔力操作術――“当時のヒマワリより上等”だよ」


 その瞬間、ルミナは息を呑み、ほんの一瞬だけ涙を浮かべた。

 すぐにぷいっとそっぽをむき、袖で目を拭う。


ルミナ「当たり前でしょ!天才なんだから!」


シルフィナ「私も複数精霊の呼び出しと、呪文の短縮に成功したわ、天才だから」


セリナ「私も単純威力の上昇に成功しました、やはり天才なので」


ルミナ「茶化さないでよ!」


 同時刻。

 森の奥では剣戟の雨が降っていた。


アルガス「もっとだ!殺意を込めろ!!」


アリア「見盗り!ウィンドスラッシュッ!――15連!!」


ヴェント「なんの!ウィンドスラッシュ!――20連ッ!!」


 風の刃が乱れ飛び、雪を削り、木々を裂く。

 しかし、その全てをアルガスは“見切り”続ける。


 弾く。

 躱す。

 受け流す。


 まるで歳月だけが重ねられた幻の達人技。


アルガス「次は避けろよ……居合術――天、一閃!!」


 白光が一直線に走った。


ヴェント「あぶねっ……!ジャン!!」


アリア「ありがとう! てやっ!」


 アリアはヴェントの肩を踏み台に跳躍。その刃先がアルガスの胸をかすめた。


アルガス「ほう……」


 老人はほんの少しだけ後ろへ下がり、胸に走った細い傷へ指を添えた。


アルガス「いいコンビネーションだ。ようやく“連携”が形になったな」


 アリアは膝をつき、肩で息をしながら笑った。


アリア「はぁ……はぁ……ありがとうございました……!」


ヴェント「腕も脚もパンパンだぁ……少し休もうぜ!」


アルガス「この一年、大きく成長したな。

 ……ヴェント。

 お前の親もここで修行した時、俺と戦ったものだが――

 “お前の方が上だ” 」


ヴェント「……ッ!!ほんとか!?やったぜ!!」


 アリアは満面の笑みでヴェントの背に手を置く。


アリア「よかったね、ヴェント!」


ヴェント「ジャンもありがとな!一年間ずっと付き合ってくれて!」


 その瞬間。

 アリアは少しだけ、顔を赤く染めた。


アリア「あ……あの、そのね……呼び方、なんだけど……」


ヴェント「ん?」


アリア「“アリア”って……呼んでほしいな。いつまでも苗字呼びは……いや、その……」


ヴェント「確かにな!生涯の友にそれは失礼だよな!

 な!アリア!!」


アリア「あ……あわわわ……あ、ありがと……!」


 耳まで真っ赤にしてうつむくアリア。

 その微笑ましい光景にアルガスはひげを撫で、満足げに頷いた。


アルガス「……さて。そろそろこの先の話も、進めねばなるまい」


 雪がまた一つ、静かに舞い落ちる。


 彼らの修行は、もはや山場を越えた。

 だが――“本当の旅”はこれからが始まりだった。

(^^)/

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